終わらない相続争いの悲惨な末路|弁護士が教える4つのリスク

終わらない相続争いの悲惨な末路|弁護士が教える4つのリスク

相続が「争族」となってしまうと、その解決には多くの時間と労力がかかります。しかし、相続争いの恐ろしさは、単に感情的な対立だけではありません。遺産分割が長期間にわたって完了しないことで、法的に、そして経済的に大きな不利益を被る可能性があるのです。

今回は、相続争いが長期化することによって生じる、見過ごすことのできない4つのリスクについて解説します。


1. 遺産を有効に活用できない

遺産分割が終わらない限り、各相続人は遺産を自由に活用することができません。特に不動産は、売却や賃貸といった収益化の機会を逃してしまうことになります。

例えば、遺産分割が成立しないまま不動産を共有名義で放置してしまうと、売却するには共有者全員の同意が必要です。もし単独で自分の持分だけを売却しようとしても、買い手を見つけることは非常に困難で、見つかったとしても本来の価値よりもはるかに低い金額でしか売却できないのが実情です。

さらに、不動産の維持にかかる固定資産税などの費用は、遺産分割が成立するまで相続人全員で負担し続けなければなりません。

2. 「特別受益」や「寄与分」を主張できなくなる

遺産分割が長期化することの最大の落とし穴の一つが、特別受益寄与分の主張ができなくなることです。

  • 特別受益:生前に特定の相続人が受けた、学費や住宅購入費などの特別な利益
  • 寄与分:被相続人の事業への貢献や、献身的な介護など、財産の維持・増加に貢献した分

これらの主張は、相続人全員の公平性を保つための重要な制度です。しかし、遺産分割が10年以上もこじれると、たとえどれだけ貢献したとしても、その主張が認められなくなり、大きな不利益を被る可能性があります。

3. 親族間の関係性が悪化する

相続争いは、単なる財産問題にとどまらず、家族関係そのものを破壊してしまいます。感情的な非難の応酬は、家族の歴史に深い溝を刻み、一度壊れた関係の修復は極めて困難です。

相続争いをきっかけに親族間の縁が断絶し、家族の絆が失われてしまうケースは決して珍しくありません。

4. 相続税の優遇特例を受けられない

相続税の申告には期限があり、通常は被相続人が亡くなった日から10ヶ月以内です。この期限内に遺産分割が成立していないと、「配偶者の税額軽減」や「小規模宅地等の特例」といった、相続税を大幅に抑えることができる特例を適用することが原則としてできません。

申告期限内に分割が間に合わない場合は、「申告期限後3年以内の分割見込書」を提出することで、後日遺産分割が成立した際にこれらの特例を適用できる可能性があります。しかし、この手続き自体にも手間がかかりますし、3年以内に解決できなければ、特例を受けられず多額の相続税を支払うことになります。


まとめ:相続争いは早期解決が鍵

相続争いは、時間とともにリスクが膨らみ、解決が困難になる一方です。

これらのリスクを避けるためには、早期に専門家である弁護士に相談し、解決に向けて動き出すことが何よりも重要です。

弁護士は、法律と交渉のプロとして、お客様の代理人となり、複雑な遺産分割協議や調停をスムーズに進めます。また、特別受益や寄与分の主張、税金に関する手続きなど、見落としがちな法的リスクについても的確にアドバイスします。

相続争いで時間と心労を無駄にしないためにも、ぜひお気軽にご相談ください。

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