遺留分対策としてできる生前の工夫

「のこされた家族には争ってほしくない」「特定の相続人に多く財産を遺したい」──相続をめぐるこのような願いを叶えるために、生前の対策は不可欠です。特に、遺留分という制度がある日本では、これを意識した対策が非常に重要になります。

ここでは、遺留分対策として有効な生前贈与遺言という二つの方法に焦点を当て、その活用法について詳しく解説します。

遺留分とは?なぜ対策が必要なのか

まず、遺留分について理解しておきましょう。遺留分とは、兄弟姉妹以外の法定相続人に保障されている、最低限の遺産取得分のことです。

たとえ有効な遺言書があったとしても、この遺留分を侵害する内容であった場合、遺留分を侵害された相続人は、遺留分を侵害している人に対して「遺留分侵害額請求」を行うことができます。

この請求がなされると、せっかく遺した財産が意図しない形で分配されたり、相続人同士の争いに発展したりする可能性があります。つまり、遺留分を考慮しない生前の対策は、かえって将来のトラブルの火種になりかねないのです。

だからこそ、円満な相続を実現するためには、この遺留分を意識した対策が不可欠となるわけです。

生前贈与を活用した遺留分対策

生前贈与は、被相続人が生きている間にその財産を贈与する方法です。この生前贈与を遺留分対策に活用する際には、いくつかのポイントがあります。

贈与の時期と種類

遺留分の計算において、生前贈与は原則として相続開始前1年以内に行われたものが対象となります。ただし、以下のケースでは1年より前の贈与も対象となる可能性があります。

遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与がなされた場合

相続開始より相当以前の贈与であっても、遺留分を侵害することを知って行われた贈与は遺留分の対象となります。

特別受益にあたる贈与

婚姻、養子縁組のため、または生計の資本として行われた特別受益にあたる贈与は、相続開始前の期間に関わらず遺留分の対象となる可能性があります。

これらの点を踏まえ、早期から計画的に贈与を進めることが重要です。

特別受益証明書・遺留分放棄の検討

特定の相続人に多くの財産を贈与したい場合、将来の遺留分侵害額請求を避けるために、特別受益証明書の作成や、贈与を受ける相続人から遺留分の放棄をしてもらうことを検討できます。

  • 特別受益証明書
    贈与を受けた相続人が、その贈与が特別受益であることを認め、将来の遺産分割において考慮しないことを明確にする書面です。

    これにより、他の相続人との間で不公平感が生じるのを防ぎやすくなります。

  • 遺留分の放棄
    相続開始前に遺留分を放棄することは、家庭裁判所の許可を得ることで可能です。ただし、これは放棄する側にとって大きな決断となるため、慎重な検討が必要です。

    弁護士に相談し、適切なアドバイスを受けることを強くお勧めします。

贈与契約書の作成と記録

生前贈与を行う際は、後々のトラブルを防ぐためにも贈与契約書を必ず作成しましょう。贈与の対象、時期、金額などを明確に記載し、双方の合意があったことを証明できるようにします。

また、贈与の事実を客観的に示すため、銀行振込を利用するなどの記録を残すことも重要です。

遺言を活用した遺留分対策

特定の財産の承継を確実にする

遺言を設定することで、「この不動産は特定の子供に、株式は孫に」といったように、特定の財産を特定の人物に確実に承継させることができます。これにより、遺産分割協議の対象となる財産を減らし、遺留分侵害額請求の対象となる財産を限定的にすることが可能です。

受益者の指定と遺留分考慮

遺言では、誰を受益者にするか、どのように財産を給付するかを細かく定めることができます。例えば、特定の相続人には遺留分を侵害しない範囲で遺贈したりするという形で、遺留分に配慮した設計が可能です。

遺留分侵害額の支払い準備

遺留分侵害額の支払いに充てられるように指定しておくこともできます。これにより、将来のトラブルを未然に防ぎ、スムーズな解決を促すことが期待できます。

生前贈与と遺言の組み合わせ

生前贈与と遺言は、それぞれ単独でも有効な遺留分対策となりますが、これらを組み合わせることでより効果的な対策を講じることが可能です。

例えば、

  • 生前贈与で特定の相続人に確実に財産を渡し、遺留分を考慮した上で、遺言で残りの財産の管理・処分方法を詳細に指定する。
  • 生前贈与で遺留分に配慮しつつ、遺言で特定の財産を承継させ、同時に遺留分侵害額の支払い準備も整える。

といった方法が考えられます。

弁護士に相談する重要性

生前贈与や遺言を活用した遺留分対策は、その性質上、複雑な法律問題が絡むことが少なくありません。個々のケースによって最適な対策は異なり、一歩間違えればかえってトラブルを招く可能性もあります。

遺留分の正確な計算

どの財産が遺留分の対象となるのか、いくらになるのかを正確に計算することは専門知識を要します。

契約書・遺言書の作成

法的に有効な贈与契約書や遺言書、信託契約書を作成するには、専門的な知識と経験が必要です。

税金対策

生前贈与や相続には贈与税や相続税が課されます。遺留分対策と合わせて税金対策も考慮する必要があります。

将来の紛争予防

漠然とした対策では、かえって将来の紛争につながる可能性があります。専門家のアドバイスを受けることで、紛争のリスクを最小限に抑えることができます。

当事務所は、大阪で相続問題・遺産分割に強い弁護士として、これまで数多くの相続に関するご相談を承ってきました。遺留分対策はもちろん、生前贈与や遺言の活用、その他相続に関するあらゆるお悩みに対応いたします。

「遺留分を考慮した対策をしたいが何から始めればいいかわからない」「生前贈与を考えているが、税金や遺留分が心配」「遺言に興味があるが、どうすればいいか教えてほしい」──このようなお悩みをお持ちの方は、ぜひ一度、弁護士法人かがりび綜合法律事務所にご相談ください。

あなたの状況に合わせた最適な解決策をご提案し、将来の不安を解消できるよう全力でサポートいたします。

お客様の声

早期解決に感謝!(30代 女性)
早期解決に感謝!
相談当初から、弁護士法人かがりび綜合法律事務所の井上先生には親身に話を聞いていただき、嬉しさのあまり涙が止まりませんでした。依頼後は、まるで強い味方がついたようで、不安な気持ちも解消され、心強く過ごすことができました。
メールや電話での相談にも気軽に応じてくださり、私の言葉にならない気持ちや伝えたいことを的確に汲み取り、代弁してくださったことに心から感謝しています。
何よりも早期解決を実現してくださり、本当にありがとうございました。先生に依頼して良かったです!
30代 女性
祖父の遺言書作成、安心してお任せできました(40代 女性)
祖父の遺言書作成、安心してお任せできました
祖父の公正証書遺言の作成でお世話になりました。弁護士法人かがりび綜合法律事務所の井上先生は、祖父の希望と財産状況を深く考慮し、祖父の意思を最大限に実現しつつ、将来のトラブルを未然に防ぐ遺言書を作成してくださ
いました。孫である私にも親身に相談に乗ってくださり、あらゆる要素を考慮した上でしっかりと作成していただいたことに深く感謝しております。
迅速かつ丁寧な対応で、安心してお任せすることができました。
40代 女性
親身な対応で不安が解消されました(40代 女性)
親身な対応で不安が解消されました
精神的にも肉体的にも追い詰められ、深く悩んでいた時に、弁護士法人かがりび綜合法律事務所の水野先生にお会いしました。初対面とは思えないほど物腰が柔らかく、緊張していた私でもすぐに打ち解けて話すことができ、心からホッとしました。
法律の知識が乏しい私にも、非常に分かりやすくご説明いただき、信頼してお任せできる先生だと確信しました。
不安な気持ちを察してこまめにご連絡をくださり、私の気持ちを汲み取って迅速に進めていただけたことに、心より感謝申し上げます。本当にありがとうございました。
40代 女性

弁護士法人かがりび綜合法律事務所は、相続問題でお悩みの方に寄り添い、最適な解決を目指します。初回相談も承っておりますので、まずはお気軽にご相談ください。

keyboard_arrow_up

0664793766 問い合わせバナー 無料相談について