遺言書があっても遺産分割協議が必要なケース

弁護士が教える!遺言書があっても遺産分割協議が必要なケース

「遺言書があれば、遺産分割協議は必要ない」と思っていませんか?実は、遺言書があっても、遺産分割協議を行わなければならないケースがあります。

今回は、遺言書と遺産分割協議の関係、そして「遺言執行者」の重要性について、相続の専門家が解説します。


遺言書の効力と遺産分割協議

遺言書は、被相続人の最後の意思を尊重するためのものです。法的に有効な遺言書があれば、その内容が優先され、遺産分割協議は原則として不要となります。

しかし、以下のようなケースでは、遺産分割協議が必要になります。

  • 遺言書の内容に遺産分割の指示がない: 例えば、「全ての財産を長男に相続させる」という包括的な内容の遺言書の場合、具体的な財産の分け方について、相続人全員で協議が必要になることがあります。
  • 遺言書の内容と異なる分割を望む: 遺言書があっても、相続人全員の合意があれば、遺言書と異なる内容で遺産を分割することができます。この場合、遺言書の内容は無視して、相続人全員で遺産分割協議書を作成する必要があります。

遺言執行者の役割と重要性

遺言執行者は、遺言書の内容を具体的に実現する役割を担います。

遺言執行者の就任は義務ではありませんが、遺言書で指定されている場合は、遺言執行者が責任を持って手続きを進めることになります。

特に以下のようなケースでは、遺言執行者がいることで手続きが円滑に進みます。

  • 特定の財産を遺贈する場合: 不動産や預貯金など、特定の財産を相続人以外の第三者に遺贈する場合、遺言執行者がいなければ、相続人全員の協力が必要となります。
  • 遺産分割方法の指定: 遺言書で遺産分割の方法が指定されている場合でも、具体的な手続きを進めるには、遺言執行者がいるとスムーズです。

遺言執行者の職務は、相続財産の調査から、不動産の名義変更、遺贈の実行まで多岐にわたります。遺言執行者がいない場合、これらの手続きは相続人全員が協力して行わなければならず、手間や時間がかかってしまうことがあります。

まとめ:遺言書は「終わり」ではない、円満な相続のための「始まり」

遺言書は、ご自身の最後の意思を明確にし、相続争いを防ぐための非常に有効な手段です。しかし、遺言書があれば全てが解決するわけではありません。

遺言書の内容に不備があったり、相続人が納得いかない場合、遺言書を無視して協議を進めることもあります。

このような事態を避けるためには、遺言書を作成する段階で、相続問題に精通した弁護士に相談し、法的に有効かつ、ご家族の状況に合った内容で作成しておくことが重要です。

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