「不動産共有と自営業」

ご依頼ありがとうございます。今回は「不動産共有と自営業」というテーマで、相続ブログの記事を作成いたします。自営業を営む方が相続で不動産を共有することになった際に、どのような問題が起こりうるか、そしてその解決策について、弁護士の視点から解説します。


【弁護士が解説】自営業者が直面する相続問題|不動産共有の危険性と解決策

皆さま、こんにちは。弁護士法人かがりび綜合法律事務所の弁護士、野条健人と申します。当事務所は大阪市に拠点を置き、日々、様々な相続問題に向き合っています。

事業を営む方にとって、相続は単なる財産分割に留まらない、事業の継続に関わる重要な問題です。特に、事業で使用している土地や建物が相続財産に含まれる場合、他の相続人と「不動産を共有」する状態になることが多く、これが後々の大きなトラブルに発展するケースが少なくありません。

今回は、自営業者が直面する不動産共有の危険性と、そのリスクを回避するための解決策について、具体的な事例を交えながら解説します。


1. 自営業者が直面する「不動産共有」の危険性

相続によって不動産が複数の相続人の共有名義となった場合、特に自営業を営む方にとっては、事業の継続に深刻な影響を及ぼす可能性があります。

危険性①:事業の継続が困難になる

事業で使用している不動産を他の相続人と共有している場合、その不動産を自由に活用したり、売却したりすることができなくなります。

  • 増改築や大規模修繕ができない: 不動産の増改築や大規模修繕には、原則として共有者全員の同意が必要です。兄弟間で意見が対立すると、事業拡大のために必要な改修が進められず、事業の成長が阻害される可能性があります。
  • 担保に入れられない: 事業資金の融資を受ける際、共有不動産を担保にしようとしても、他の共有者の同意がなければ銀行は融資に応じてくれません。これにより、資金調達の選択肢が狭まります。
  • 売却ができない: 共有者の一人が「事業を辞めて不動産を売却したい」と主張した場合、他の共有者は売却に同意せざるを得ない状況に追い込まれることもあります。

危険性②:固定資産税や維持費の負担で揉める

共有不動産にかかる固定資産税や修繕費用などの維持費は、共有者が各自の持分割合に応じて負担するのが原則です。

しかし、「実際に不動産を使っているのはお前だけだ」「事業で利益を上げているんだから、お前が全額払うべきだ」などと、他の共有者から不当な負担を求められ、トラブルに発展するケースが多々あります。

危険性③:将来的な相続でさらに複雑化する

共有状態が解消されないまま、共有者のうち誰かが亡くなると、その持分はさらにその相続人に細かく分割されてしまいます。いわゆる「数次相続」です。

世代を経るごとに共有者は増え、権利関係は複雑化し、最終的には面識のない親戚と共有する「共有不動産の塩漬け」状態に陥るリスクが高まります。こうなってしまうと、もはや話し合いで解決することは極めて困難になります。


2. 不動産共有の危険性を回避する3つの解決策

このような危険性を回避し、円滑な事業継続を実現するためには、事前の対策が不可欠です。

解決策①:遺言書を作成して単独相続させる

被相続人(親)がご存命であれば、最も有効な手段は遺言書の作成です。

**「事業で使用している不動産は、長男(事業承継者)に単独で相続させる」**と遺言書に明記しておくことで、他の相続人と共有状態になることを防ぐことができます。他の相続人には、代わりに預貯金や他の不動産など、遺留分に配慮した財産を相続させる内容にすることで、円満な解決を目指します。

解決策②:遺産分割協議で代償分割を利用する

被相続人が遺言書を残さずに亡くなった場合、遺産分割協議で解決を図ります。

事業承継者が不動産を単独で相続する代わりに、自己資金などから他の相続人へ「代償金」を支払うことで、公平性を保ちつつ共有状態を解消することができます。これが代償分割です。

ただし、代償金の額や支払い方法について、他の相続人と合意に至る必要があります。

解決策③:弁護士に相談して「共有物分割訴訟」を検討する

遺産分割協議がまとまらず、事業継続が困難な状況に陥った場合は、共有物分割訴訟を検討することになります。

これは、裁判所を通じて不動産の共有状態を解消する手続きです。裁判所の判断によって、不動産を事業承継者が単独で取得し、他の共有者には代償金を支払うよう命じられたり、不動産を売却して代金を分けるよう命じられたりします。


3. お悩みなら、まずは大阪の弁護士にご相談ください

自営業における不動産共有の問題は、事業の未来に関わる重大な課題です。

「事業用の不動産を共有することになり、どうしていいか分からない」「遺産分割協議で代償金について揉めている」といったお悩みをお持ちの方は、一人で悩まずに、まずは弁護士にご相談ください。

当事務所は、大阪の事業承継や相続問題に精通しており、お客様の状況を丁寧にヒアリングした上で、事業の継続を最優先に考えた最適な解決策をご提案します。

初回のご相談は無料です。ご予約いただければ、土日祝のご相談も承ります。

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