相続
弁護士を遺言執行者に選任するメリット
弁護士を遺言執行者に選任するメリット
遺言執行者は相続人や友人でもなることができますが、相続手続きには多岐にわたる専門知識と煩雑な事務作業が伴います 。特に、相続人間で感情的な対立がある場合や、相続財産が複雑な場合、中立的な専門家である弁護士に遺言執行を依頼するメリットは大きいと言えます。
弁護士を遺言執行者に選任することで、遺産分割を巡るトラブルを未然に防ぎ、相続人同士が直接やり取りをすることなく、冷静かつ円滑に手続きを進められます 。また、遺言執行者の業務は、財産の調査から名義変更、遺産分割内容の実現まで多岐にわたりますが、弁護士であればこれらの手続きを一括して任せることができ、依頼者の精神的・時間的負担を大幅に軽減できます 。
遺言書作成の段階から知っておくべき最新の法改正と注意点
遺言書が真に有効なツールとなるためには、作成段階から最新の法律や社会の変化に対応しておくことが重要です。
2024年4月からの相続登記の義務化
2024年4月1日から、不動産の相続登記が義務化されました 。不動産を相続した人は、取得を知った日から3年以内に登記申請をすることが求められ、正当な理由なく期限内に申請しなかった場合は、10万円以下の過料が科される可能性があります 。
この義務化は、過去に発生した相続にも遡及して適用されます 。遺言書の内容が明確で、不動産を特定の相続人に「相続させる」と明記されていれば、遺言執行者がいなくても比較的スムーズに登記手続きを進めることが可能です 。しかし、曖昧な記載や、複数人の相続人に包括的に遺贈する内容では、遺産分割協議が難航し、義務化された期限内に登記が完了しないリスクが高まります。
デジタル遺産への対応
近年、ネット銀行やネット証券、仮想通貨、電子マネー、NFTアートなど、目に見えない「デジタル遺産」が増加しています 。これらの財産は、故人のIDやパスワードが不明だと存在すら把握できないことが多く、発見が困難です。遺言書に記載がなければ、財産目録作成や遺産分割協議の段階で大きな課題となります 。
遺言書を作成する際には、これらデジタル遺産の存在を忘れずに記載し、必要に応じてアクセス情報や管理方法を明確に指定しておくことが、将来のトラブルを防ぐ上で極めて重要です。専門家は、故人の財産全体を正確に調査するノウハウを持っており、目に見えにくいデジタル遺産も漏れなく把握し、適切な遺言書作成をサポートします 。
まとめ:遺言書は「終わり」ではなく、「始まり」です
遺言書は、ご自身の意思を明確にし、相続争いを未然に防ぐための非常に有効な手段です。しかし、遺言書さえあれば全てが解決するわけではありません。遺言書の不備や記載漏れ、相続人の心情、そして遺留分などの法的権利が絡み合うことで、かえって遺産分割協議が必要となるケースも存在します。
遺言書を単なる財産の分け方を記した文書ではなく、「円満な相続を実現するための設計図」と捉えることが大切です。この設計図を法的に有効かつ、ご家族の状況に合ったものにするためには、相続問題に精通した弁護士に相談し、適切な助言を受けることが不可欠です。
遺言書の作成から、相続手続き、そして万が一のトラブルまで、相続問題に精通した弁護士にご相談ください。私たちは、皆様が安心して相続を迎えられるよう、専門家として全力でサポートいたします。

私たちは、大阪市北区(梅田)を拠点に、ご家族にとって大切な「相続」の問題を専門的に取り扱う法律事務所です。
大阪府全域、兵庫県、京都府、奈良県、和歌山県、滋賀県の皆様からご相談を承っております。
「何から始めればいいかわからない」「家族と揉めずに解決したい」といったご不安に、親身に寄り添い最適な解決策をご提案します。
初回の法律相談は無料ですので、安心してご利用いただけます。平日お忙しい方のために、事前予約制で夜間・休日相談も可能です。
相続に関するお困りごとは、ぜひ一度私たちにご相談ください。
【大阪の弁護士が解説】あったはずの遺産がない!遺産の使い込みを解決する方法
【大阪の弁護士が解説】あったはずの遺産がない!遺産の使い込みを解決する方法
皆さま、こんにちは。弁護士法人かがりび綜合法律事務所の弁護士、野条健人と申します。当事務所は、大阪市を拠点に、日々多くの相続問題に向き合っています。
親御さんが亡くなり、いざ相続手続きを進めようとしたとき、**「あったはずの預貯金がない」「不動産が勝手に売却されていた」**といった、予期せぬ事態に直面することがあります。これは、特定の相続人や同居人による「遺産の使い込み」である可能性が高いです。
今回は、この遺産の使い込みについて、その典型的な事例から、解決に向けた具体的な手続きまで、大阪の弁護士として分かりやすく解説します。
1. 遺産の使い込みとは?
遺産の使い込みとは、亡くなった親御さんの財産(預貯金、不動産など)を、本来権利がないはずの人が、自分の利益のために勝手に使ってしまう行為です。多くの場合、被相続人と同居していたり、身近で面倒を見ていたりした相続人が関わっています。
【典型的な使い込みの事例】
- 親と同居していた兄が、親の預貯金を勝手に自分の生活費や借金返済に充てていた。
- 親が認知症になり判断能力が低下したのを良いことに、同居の姉が親の通帳を管理し、お金を使い込んでいた。
- 親が亡くなった後、特定の相続人が親の預貯金をまとめて引き出し、独り占めしようとした。
- 親の所有する不動産を、生前に勝手に売却し、売却代金を着服していた。
このようなケースは、残念ながら珍しくありません。
2. 使い込みは「相続発生前」か「後」かで考え方が変わる
遺産の使い込みを解決する際、その行為が**「被相続人が亡くなる前」に行われたのか、「亡くなった後」**に行われたのかによって、法的な考え方が異なります。
相続発生後の使い込み
親御さんが亡くなった後、特定の相続人が勝手に遺産を使い込んだ場合、これは明確な違法行為です。亡くなった時点ですべての相続財産は、法定相続人の共有財産となります。したがって、他の相続人は、使い込んだ相続人に対し、自分の法定相続分に相当する金額の返還を請求できます。
親御さんはすでに亡くなっているため、「親のために使った」といった言い訳は通用しません。
相続発生前の使い込み
問題になりやすいのは、被相続人が生きている間に使い込みがあったと疑われるケースです。この場合、使い込まれた財産が、本当に使い込みなのか、それとも親御さん自身の意思で使われたのかを慎重に見極める必要があります。
たとえば、同居している子どもが親御さんの生活費を一部負担してもらっていたり、親孝行としてお金を渡されたりした程度であれば、法律上の「使い込み」には該当しません。
しかし、多額の預貯金が不自然に引き出され、使途が不明である場合は、使い込みが強く疑われます。この場合も、他の相続人は使い込んだ相続人に対し、不当利得返還請求や不法行為に基づく損害賠償請求を行うことができます。請求できる金額は、使い込まれた金額のうち、請求者の法定相続分に相当する金額です。
3. 遺産の使い込みを証明するための証拠
使い込みを巡る話し合いや裁判では、「証拠」が何よりも重要です。相手が「そんなことはしていない」と否定する可能性も高いため、説得力のある証拠を事前に集めておく必要があります。
1. 預貯金口座の取引明細書
使い込みが疑われる銀行や郵便局の口座の取引明細書は、最も重要な証拠です。金融機関に申請して取得し、不自然な高額出金がないか、繰り返し多額の引き出しが行われていないかを確認しましょう。
2. 介護記録や医療記録
被相続人が高齢で、介護サービスを利用していた場合は介護記録が、入院していた場合はカルテなどの病院の記録が役立ちます。
被相続人の判断能力が低下していた時期や、入院中でご自身がお金を引き出すことが物理的に困難だった時期に、多額の出金があった場合、使い込みの可能性は極めて高くなります。
4. 遺産の使い込みを解決するための手続き
使い込みが発覚した場合、以下の手順で解決を目指します。
- 証拠の収集: まずは、上記で解説したような証拠をできる限り集めます。
- 話し合い(交渉): 証拠をもとに、使い込んだ相続人に対し、不正に引き出された金額の返還を求めます。
- 訴訟手続き: 話し合いで合意に至らない場合、不当利得返還請求訴訟や損害賠償請求訴訟を提起し、裁判で解決を図ります。
これらの手続きは非常に専門的であり、個人で進めるには大きな負担が伴います。また、不法行為や不当利得には消滅時効もあるため、迅速な対応が不可欠です。
お悩みなら、まずは弁護士にご相談ください
遺産の使い込みは、大切な家族間の信頼を揺るがし、感情的な対立を生みやすい問題です。
弁護士は、法律の専門家として、使い込みの証拠収集をサポートし、相手方との交渉や訴訟手続きを代行します。これにより、感情的な衝突を避け、冷静かつ円滑な解決を目指すことができます。
「もしかしたら、親のお金が勝手に使われているかもしれない…」そんな不安を感じたら、一人で悩まずに、まずは私たち弁護士法人かがりび綜合法律事務所にご相談ください。大阪の相続問題に精通した弁護士が、皆様のお悩みに寄り添い、解決への道筋を共に探してまいります。
初回のご相談は無料です。お気軽にお問い合わせください。
弁護士法人かがりび綜合法律事務所

私たちは、大阪市北区(梅田)を拠点に、ご家族にとって大切な「相続」の問題を専門的に取り扱う法律事務所です。
大阪府全域、兵庫県、京都府、奈良県、和歌山県、滋賀県の皆様からご相談を承っております。
「何から始めればいいかわからない」「家族と揉めずに解決したい」といったご不安に、親身に寄り添い最適な解決策をご提案します。
初回の法律相談は無料ですので、安心してご利用いただけます。平日お忙しい方のために、事前予約制で夜間・休日相談も可能です。
相続に関するお困りごとは、ぜひ一度私たちにご相談ください。
弁護士が解説】大阪でよくある不動産相続トラブルとその解決策
皆さま、こんにちは。弁護士法人かがりび綜合法律事務所の弁護士、野条健人と申します。当事務所は大阪市の地に根ざし、地域の皆様の様々な法律問題に取り組んでまいりました。今回は、特にご相談の多い「相続における不動産トラブル」に焦点を当て、その具体的な事例と解決策についてお話ししたいと思います。
大阪は地価が高く、被相続人が不動産を所有しているケースが非常に多いです。そのため、不動産が相続財産の大部分を占め、結果として相続トラブルに発展するケースが少なくありません。「うちは大丈夫」と思っていても、不動産が絡む相続は複雑になりがちです。この記事が、皆様の相続への備えの一助となれば幸いです。
こんなときどうする?不動産相続のよくあるトラブル事例
皆様からご相談いただく不動産相続のトラブルは、多岐にわたります。ここでは、特に頻繁に起こる3つのカテゴリーに分けて解説します。
1. 遺産分割に関する対立
- 「誰が相続するか」で揉める: 被相続人の自宅や収益物件など、特定の相続人が「自分が住むから」「自分が管理してきたから」と独り占めを主張し、他の相続人が納得しないケースです。また、誰も不動産を相続したがらず、押し付け合いになることもあります。
- 不動産の評価額で意見が合わない: 不動産の価値をどのように評価するかで意見が対立することがあります。相続人の一人が提示した評価額が不当に低いと感じたり、不動産鑑定士の評価に納得できなかったりする場合に起こります。
- 「分け方」で対立する: 不動産を「現物分割(そのままの形で分ける)」、「換価分割(売却して現金を分ける)」、「代償分割(不動産を相続した人が他の相続人に代償金を払う)」のどの方法で分割するかで意見が分かれることがあります。
2. 金銭に関するトラブル
- 相続税や税金の負担: 資産価値の高い不動産を相続した場合、高額な相続税が発生し、支払いが困難になることがあります。特に、不動産以外の現金資産が少ない場合には、相続税の納税資金をどう捻出するかが大きな問題となります。
- 代償金の支払い: 不動産を単独で相続する代わりに、他の相続人へ支払うべき代償金を支払うことができない、または約束された代償金が支払われず、トラブルに発展するケースです。
- 固定資産税や維持費の負担: 不動産を相続人全員の共有名義で相続した場合、固定資産税や修繕費用といった維持管理費を誰がどれだけ負担するかで意見が食い違うことがあります。
3. 不動産の管理・処分に関するトラブル
- 空き家の管理・放置: 相続した不動産が空き家になったまま放置され、その管理や修繕費用を巡って相続人同士が揉めることがあります。特に、遠方に住んでいる相続人がいる場合、管理の負担が特定の相続人に集中しがちです。
- 名義変更の放置: 遺産分割協議がまとまらないまま、または手続きの煩雑さから相続登記(名義変更)が放置されることがあります。これにより、不動産を売却したり活用したりすることができず、共有状態が長く続くことになります。
- 活用方法の対立: 「不動産を売却して現金にしたい」と考える相続人と、「思い出の家だから残しておきたい」「賃貸として活用したい」と考える相続人とで、意見が対立し、不動産の処分や活用が進まないケースです。
弁護士が教える!不動産相続トラブルを解決するための2つのポイント
これらのトラブルは、決して他人事ではありません。しかし、事前に適切な対策を講じることで、そのリスクを大きく減らすことができます。
ポイント1:被相続人が元気なうちに「遺言書」を作成する
不動産をめぐる争いを未然に防ぐ最も有効な手段は、被相続人が生前に遺言書を作成することです。
- 遺言書で不動産の帰属先を明確にする: 「この不動産は長男に相続させる」といったように、誰がどの不動産を相続するのかを明確に指定することで、相続人間の対立を防ぐことができます。
- 公正証書遺言を活用する: 遺言書は、形式に不備があると無効になってしまう可能性があります。公証人が関与して作成する公正証書遺言は、法的な有効性が高く、内容も明確であるため、最も安全な方法と言えます。
当事務所では、被相続人の方の想いを丁寧にヒアリングし、法的に完璧な遺言書作成をサポートします。
ポイント2:トラブルが発生したら「弁護士」に相談する
残念ながら、遺言書がない、または遺言書があってもトラブルに発展してしまった場合は、早急に専門家である弁護士に相談することが重要です。
- 公平な立場で話し合いを促す: 弁護士が第三者として間に入ることで、感情的な対立を避け、法律に基づいた冷静な話し合いを進めることができます。
- 不動産の適正な評価: 弁護士は、不動産鑑定士と連携するなどして、不動産の適正な評価額を算出し、相続人全員が納得できる解決策を提案します。
- 裁判手続きのサポート: 遺産分割調停や審判など、裁判所の手続きが必要になった場合でも、弁護士が全面的にサポートし、皆様の権利を守ります。
特に、大阪の不動産事情に精通した弁護士に相談することで、より現実的で適切なアドバイスを受けることができます。
弁護士法人かがりび綜合法律事務所へご相談ください
「不動産相続で何をすればいいのか分からない」「家族で話し合いがまとまらない」といったお悩みをお持ちではありませんか?
当事務所は、大阪市に拠点を置き、大阪の地域特性を熟知した上で、お客様一人ひとりの状況に寄り添ったリーガルサービスを提供しています。相続問題は、お金だけでなく、家族関係にも深く関わるデリケートな問題です。お一人で悩まず、まずは私たち弁護士にご相談ください。皆様の不安を「かがりび」のように明るく照らし、円満な解決へと導くお手伝いをいたします。
初回のご相談は無料です。ご予約いただければ、土日祝のご相談も承ります。
弁護士法人かがりび綜合法律事務所

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大阪府全域、兵庫県、京都府、奈良県、和歌山県、滋賀県の皆様からご相談を承っております。
「何から始めればいいかわからない」「家族と揉めずに解決したい」といったご不安に、親身に寄り添い最適な解決策をご提案します。
初回の法律相談は無料ですので、安心してご利用いただけます。平日お忙しい方のために、事前予約制で夜間・休日相談も可能です。
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弁護士が教える!遺言書があっても遺産分割協議が必要なケース
「遺言書があれば、遺産分割協議は必要ない」─そう思われている方は少なくありません。故人の最終意思を記した遺言書があれば、その内容通りに相続手続きが進み、円満な相続が実現すると考えるのは自然なことです。しかし、残念ながら、遺言書があったとしても、すべての相続手続きが自動的に完了するわけではありません。
実際には、遺言書に不備があったり、内容が不完全だったりする場合、あるいは相続人全員が異なる意思を持っていたりする場合など、故人の意思を尊重しつつも、改めて相続人全員で話し合い(遺産分割協議)を行う必要が生じることがあります。遺言書は、相続争いを防ぐための「有効な手段」ではありますが、円満な相続を保証する「万能薬」ではありません。
本稿では、相続問題に精通した弁護士が、遺言書があっても遺産分割協議が必要となる具体的なケースと、遺言執行者の役割の重要性について、多角的な視点から解説します。
「遺言書があるから大丈夫」では済まない5つのケース
遺言書は、故人の最後の意思を尊重するための法的な効力を持つ文書です。法的に有効な遺言書があれば、原則としてその内容が優先され、遺産分割協議は不要となります 。しかし、以下の5つのケースでは、遺言書が存在しても相続人全員による遺産分割協議が必要になります。
1. 遺言書そのものに法的な不備・瑕疵がある
遺言書が無効になる原因は、その形式に不備がある場合です 。特に、自筆証書遺言は、財産目録を除き、全文、日付、氏名を自書し、押印するという厳格な要件を満たさなければなりません 。たとえ故人が丁寧に作成したものでも、日付の記載がなかったり、押印を忘れていたりすると、法的に無効と判断される可能性があります。
また、遺言書が有効であったとしても、遺言書に財産を受け取ると記載された人(受遺者)が故人より先に亡くなっていたり、相続放棄をしたりした場合は、その部分の遺言は効力を失います 。この場合、無効となった部分の財産について、改めて相続人全員で誰が相続するかを協議しなければなりません。
これらの事態は、遺言書が持つ本来の目的である「円滑な相続」を妨げる結果につながります。遺言書は、単に故人の意思を書き記すだけでなく、法的な要件を確実に満たし、あらゆる事態を想定して作成されるべき文書なのです。この観点から、専門家による助言は不可欠と言えるでしょう。
2. 遺言書に全ての財産が記載されていない
遺言書は、故人の全ての財産を網羅しているとは限りません。故人が遺言書を作成した後に取得した不動産や預金、あるいはデジタル遺産などの新たな財産が記載漏れとなるケースが多々あります 。
例えば、遺言書に「A銀行の預金は長男に相続させる」と記載されていても、遺言書作成後に開設したB銀行の口座や、急増している仮想通貨、さらにはオンライン証券口座などが記載されていなければ、これらの財産は遺言の効力が及ばないため、別途遺産分割協議を行う必要があります 。
また、不動産についても、登記簿上の地番ではなく住所で記載されていたり、私道部分の記載が漏れていたりと、正確性を欠くことで、記載漏れと見なされ、後から協議が必要になる場合もあります 。このような記載漏れを防ぐため、遺言書の最後に「この遺言書に記載のない一切の財産は〇〇に相続させる」といった包括的な条項を設けることが有効な対策となります 。
3. 全財産を特定の相続人へ包括的に遺贈する内容である
遺言書は、特定の財産を指定して相続させる「特定遺贈」と、財産の全部または一部の「割合」を指定して相続させる「包括遺贈」に分けられます 。例えば、「全財産を妻に遺贈する」といった内容であれば、具体的な財産の分け方を定めていなくても、妻が全てを単独で承継できるため、原則として遺産分割協議は不要です 。
しかし、「全財産の3分の1を長男に相続させる」といった包括遺贈の場合、長男は他の相続人とともに、どの財産を、どのような方法で分けるかを協議する必要があります 。例えば、土地が1つしかない場合、その土地を売却して現金を分け合うのか、あるいは特定の相続人が土地を相続する代わりに、現金で代償金を支払うのか、といった具体的な分割方法を決める必要があるのです。包括遺贈は公平な意思表示に思えますが、現実の財産分割においては、新たな話し合いの必要性を生じさせることがあります。
4. 相続人全員が遺言書とは異なる分割方法を望んでいる
遺言書は故人の意思を最大限に尊重すべきものですが、相続人全員が合意すれば、遺言書の内容と異なる分割を行うことが法的に認められています 。遺言書の内容が、相続人の感情的な問題や、現実的な事情(例えば、長男が地方に移住したため、実家を売却したいなど)に合わない場合、相続人全員の同意があれば、遺言書を無視して改めて遺産分割協議を行い、協議書を作成することができます 。
ただし、この場合、相続人以外の第三者への遺贈(受遺者)がある場合は、その受遺者の承諾も必要となります 。また、遺言執行者が指定されている場合は、その同意も必要となり得ます 。当事者同士の話し合いだけでは感情的な対立が生じやすいため、第三者である弁護士に依頼することで、冷静かつ円滑な協議を進めることが可能となります 。
5. 遺留分を侵害する内容の遺言書である
遺言書で特定の相続人に全財産を集中させる場合、他の相続人の「遺留分」が侵害される可能性があります 。遺留分とは、兄弟姉妹以外の法定相続人(配偶者、子ども、直系尊属)に法律で保障された、最低限の遺産取得分です 。
遺言書がこの遺留分を侵害していても、遺言書自体は法的に有効ですが、遺留分を侵害された相続人は、遺留分を侵害した相続人に対して「遺留分侵害額請求」を行い、侵害された分に相当する金銭の支払いを求めることができます 。これにより、せっかく遺言書を作成しても、死後に遺留分を巡る争いが発生し、訴訟に発展するリスクが生じてしまいます 。
遺留分侵害額の計算は、故人の財産だけでなく、生前贈与や負債なども考慮する必要があるため、非常に複雑です。当事者だけで正確な計算を行うのは困難であり、専門的な知識が求められます。
遺留分侵害額の計算式は次の通りです 。
遺留分侵害額の基本計算式
- 遺留分侵害額
$=$遺留分額$−$(遺贈または特別受益の価額)$−$(遺留分権利者が相続によって得た財産額)$+$(引き継ぐ借金の額) - 遺留分額
$=$遺留分算定の基礎となる財産額$×$個別的遺留分の割合
この計算式からも分かる通り、専門的な知見がなければ正確な金額を算出することは難しく、結果的にトラブルを招く原因となりかねません。
遺言執行者の役割と重要性 – 円滑な相続のための要
遺言書があっても円滑な手続きが困難な事態を回避するための鍵となるのが、「遺言執行者」の存在です。遺言執行者は、遺言書の内容を確実に実現する役割を担い、相続財産の管理から名義変更まで、遺言の執行に必要な一切の行為を行う権限が与えられています 。
遺言執行者がいるからこそスムーズに進む手続き
遺言執行者が指定されている場合、相続人や受遺者は遺言執行者の行為を妨げることができず、手続きへの協力義務を負います 。これにより、相続人同士の意見がまとまらない場合でも、スムーズに手続きを進めることが可能になります。
遺言執行者が特に力を発揮する場面
- 不動産の名義変更(相続登記):遺言執行者は単独で不動産の所有権移転登記を行う権限が認められています 。これにより、受遺者が単独で手続きを進めることができ、他の相続人全員の協力が必要となる事態を避けることができます。
- 預貯金の解約・払い戻し:遺言執行者は、金融機関の預金口座を単独で解約し、相続人や受遺者への払い戻しを行うことができます 。遺言執行者がいない場合、通常は相続人全員の署名と実印が必要となり、手続きに多大な労力と時間がかかるため、この権限は非常に重要です。
遺言執行者がいる場合といない場合とでは、手続きに大きな違いがあります。例えば、預貯金の解約手続きでは、遺言執行者がいれば単独で必要書類を金融機関に提出し、手続きを進めることができます 。一方、遺言執行者がいない場合は、相続人全員の署名と実印が押された遺産分割協議書が必要となることが一般的です 。不動産の名義変更(相続登記)についても同様で、遺言執行者がいれば単独で登記申請ができますが、いない場合は不動産を相続する相続人全員が共同で申請する必要があります 。これらの書類収集や手続きの準備は、遺言執行者が主導して行うため、相続人全員で協力して行う場合に比べて、手続きが円滑に進む傾向にあります 。
弁護士を遺言執行者に選任するメリット
遺言執行者は相続人や友人でもなることができますが、相続手続きには多岐にわたる専門知識と煩雑な事務作業が伴います 。特に、相続人間で感情的な対立がある場合や、相続財産が複雑な場合、中立的な専門家である弁護士に遺言執行を依頼するメリットは大きいと言えます。
弁護士を遺言執行者に選任することで、遺産分割を巡るトラブルを未然に防ぎ、相続人同士が直接やり取りをすることなく、冷静かつ円滑に手続きを進められます 。また、遺言執行者の業務は、財産の調査から名義変更、遺産分割内容の実現まで多岐にわたりますが、弁護士であればこれらの手続きを一括して任せることができ、依頼者の精神的・時間的負担を大幅に軽減できます 。
遺言書作成の段階から知っておくべき最新の法改正と注意点
遺言書が真に有効なツールとなるためには、作成段階から最新の法律や社会の変化に対応しておくことが重要です。
2024年4月からの相続登記の義務化
2024年4月1日から、不動産の相続登記が義務化されました 。不動産を相続した人は、取得を知った日から3年以内に登記申請をすることが求められ、正当な理由なく期限内に申請しなかった場合は、10万円以下の過料が科される可能性があります 。
この義務化は、過去に発生した相続にも遡及して適用されます 。遺言書の内容が明確で、不動産を特定の相続人に「相続させる」と明記されていれば、遺言執行者がいなくても比較的スムーズに登記手続きを進めることが可能です 。しかし、曖昧な記載や、複数人の相続人に包括的に遺贈する内容では、遺産分割協議が難航し、義務化された期限内に登記が完了しないリスクが高まります。
デジタル遺産への対応
近年、ネット銀行やネット証券、仮想通貨、電子マネー、NFTアートなど、目に見えない「デジタル遺産」が増加しています 。これらの財産は、故人のIDやパスワードが不明だと存在すら把握できないことが多く、発見が困難です。遺言書に記載がなければ、財産目録作成や遺産分割協議の段階で大きな課題となります 。
遺言書を作成する際には、これらデジタル遺産の存在を忘れずに記載し、必要に応じてアクセス情報や管理方法を明確に指定しておくことが、将来のトラブルを防ぐ上で極めて重要です。専門家は、故人の財産全体を正確に調査するノウハウを持っており、目に見えにくいデジタル遺産も漏れなく把握し、適切な遺言書作成をサポートします 。
まとめ:遺言書は「終わり」ではなく、「始まり」です
遺言書は、ご自身の意思を明確にし、相続争いを未然に防ぐための非常に有効な手段です。しかし、遺言書さえあれば全てが解決するわけではありません。遺言書の不備や記載漏れ、相続人の心情、そして遺留分などの法的権利が絡み合うことで、かえって遺産分割協議が必要となるケースも存在します。
遺言書を単なる財産の分け方を記した文書ではなく、「円満な相続を実現するための設計図」と捉えることが大切です。この設計図を法的に有効かつ、ご家族の状況に合ったものにするためには、相続問題に精通した弁護士に相談し、適切な助言を受けることが不可欠です。
遺言書の作成から、相続手続き、そして万が一のトラブルまで、相続問題に精通した弁護士にご相談ください。私たちは、皆様が安心して相続を迎えられるよう、専門家として全力でサポートいたします。

私たちは、大阪市北区(梅田)を拠点に、ご家族にとって大切な「相続」の問題を専門的に取り扱う法律事務所です。
大阪府全域、兵庫県、京都府、奈良県、和歌山県、滋賀県の皆様からご相談を承っております。
「何から始めればいいかわからない」「家族と揉めずに解決したい」といったご不安に、親身に寄り添い最適な解決策をご提案します。
初回の法律相談は無料ですので、安心してご利用いただけます。平日お忙しい方のために、事前予約制で夜間・休日相談も可能です。
相続に関するお困りごとは、ぜひ一度私たちにご相談ください。
【弁護士が解説】こんなときどうする?大阪の相続トラブルとその解決策
【弁護士が解説】こんなときどうする?大阪の相続トラブルとその解決策
皆さま、こんにちは。弁護士法人かがりび綜合法律事務所の弁護士、野条健人と申します。当事務所は大阪市中央区、北浜の地に根差して、地域の皆様の様々な法律問題に取り組んでまいりました。このブログでは、私がこれまでに扱ってきた多くの相続案件の中から、特に大阪でよくご相談いただく相続トラブルと、その解決策についてお話ししたいと思います。
相続は、誰にとっても身近な問題でありながら、いざ直面すると予期せぬトラブルに巻き込まれるケースが少なくありません。「うちは大丈夫」と思っていても、感情的なもつれや法律の知識不足から、思わぬ争いになってしまうことがあります。この記事が、皆さまの相続への備えの一助となれば幸いです。
大阪でよくある相続トラブル事例
1. 不動産をめぐる争い
大阪は全国でも有数の大都市であり、地価の高い地域が数多く存在します。そのため、被相続人が所有していた不動産、特に自宅や収益物件が相続財産の大部分を占めるケースが非常に多いです。この場合、相続人同士で「誰が不動産を相続するのか」「売却して現金を分けるのか」といった点で意見が対立し、トラブルに発展することがよくあります。
例えば、
- 長男が「家を継ぐから」と主張して、他の相続人が納得しないケース
- 特定の相続人が被相続人の生前に不動産の名義変更をしていたケース
- 共有名義の不動産をめぐり、管理や売却の方針で揉めるケース
などが挙げられます。
2. 寄与分・特別受益をめぐる争い
「寄与分」とは、被相続人の財産の維持または増加に特別に貢献した相続人がいる場合に、その貢献度に応じて相続分が増加する制度です。また、「特別受益」とは、特定の相続人が被相続人から生前贈与や遺贈を受けていた場合に、その分を考慮して相続分を計算する制度です。
大阪では、親の事業を手伝っていた子どもや、親の介護を献身的に行っていた子どもが、他の兄弟姉妹に対して「自分こそが財産を多くもらうべきだ」と主張し、トラブルになることがあります。しかし、寄与分や特別受益は客観的な証明が難しく、主張する側と反論する側で激しく対立する傾向にあります。
3. 遺言書の有効性をめぐる争い
被相続人が遺言書を作成していても、それが必ずしもトラブルを防ぐとは限りません。特に、自筆証書遺言の場合、形式不備や筆跡が被相続人のものではないと疑われ、無効を主張されることがあります。
- 遺言書が偽造されたと主張されるケース
- 遺言書の内容が特定の相続人に不公平に有利で、他の相続人が納得しないケース
- 遺言書に記載されていない財産があり、その分配方法で揉めるケース
このようなトラブルは、遺言書があったからこそ起こることもあります。有効な遺言書を作成することはもちろん重要ですが、それに加えて、相続人全員が納得できるような配慮や、将来的な争いを想定した内容にすることが大切です。
弁護士が教える!相続トラブルを避けるための3つのポイント
相続トラブルは、決して他人事ではありません。しかし、事前に適切な準備をすることで、そのリスクを大きく減らすことができます。ここでは、弁護士の視点から、相続トラブルを避けるための3つの重要なポイントをお伝えします。
ポイント1:早めの専門家への相談
「まだ元気だから」「まだ先の話だから」と相続のことを後回しにしていませんか?相続は、被相続人が亡くなってから始まるものではありません。生前の対策こそが、円満な相続の鍵を握ります。
遺言書の作成、相続税対策、遺産分割の方針決定など、専門的な知識が必要な場面は多岐にわたります。早めに弁護士や税理士といった専門家に相談し、ご自身の財産状況を正確に把握した上で、最適な対策を立てることが重要です。特に、大阪は相続税の評価が複雑な不動産が多い地域です。不動産に強い弁護士に相談することで、より適切なアドバイスを受けることができます。
ポイント2:公正な遺言書の作成
遺言書は、被相続人の意思を明確にし、相続人間の争いを防ぐための最も有効な手段です。しかし、形式に不備があったり、内容が曖昧だったりすると、かえってトラブルの原因になりかねません。
公正証書遺言は、公証人が関与して作成するため、形式不備の心配がなく、最も安全で確実な遺言書といえます。当事務所では、公正証書遺言の作成サポートも積極的に行っております。被相続人の想いを形にするため、きめ細かなヒアリングを行い、法的にも完璧な遺言書を作成するお手伝いをいたします。
ポイント3:相続人全員での話し合い
相続が発生した後、遺産分割協議は相続人全員で行う必要があります。この話し合いがこじれてしまうと、時間と労力がかかるだけでなく、家族関係に深い亀裂が入ってしまうこともあります。
遺産分割協議をスムーズに進めるためには、弁護士が第三者として間に入り、冷静な話し合いを促すことが有効です。弁護士は、法律に基づいた公平な視点から、各相続人の主張を整理し、客観的な事実に基づいて解決策を提示します。また、感情的な対立が激しい場合でも、直接交渉を代行することで、相続人同士の直接的な衝突を避けることができます。
弁護士法人かがりび綜合法律事務所が選ばれる理由
当事務所は、大阪市中央区北浜に拠点を置き、大阪の地域の皆様に寄り添ったリーガルサービスを提供しています。
1. 大阪の地域特性を熟知
大阪の相続案件を数多く手掛けてきた経験から、大阪特有の不動産事情や家族構成、文化的な背景を理解した上で、最適な解決策をご提案します。
2. 丁寧なヒアリングと親身な対応
相続は、お金の問題だけでなく、故人への想いや家族の歴史が絡む複雑な問題です。当事務所では、お客様一人ひとりの状況にじっくりと耳を傾け、心の負担を少しでも和らげられるよう、親身に対応することを心がけています。
3. 豊富な実績と専門的な知識
相続、遺言、家族信託など、相続に関するあらゆる問題に対応できる豊富な実績と専門的な知識を有しています。複雑な案件や、他の事務所で解決できなかった案件でも、まずは一度ご相談ください。
「こんなこと相談していいのかな?」と思うような小さな悩みでも構いません。初回のご相談は無料です。お一人で悩まず、まずは私たち弁護士にご相談ください。皆様の不安を「かがりび」のように明るく照らし、解決への道筋を共に探してまいります。

私たちは、大阪市北区(梅田)を拠点に、ご家族にとって大切な「相続」の問題を専門的に取り扱う法律事務所です。
大阪府全域、兵庫県、京都府、奈良県、和歌山県、滋賀県の皆様からご相談を承っております。
「何から始めればいいかわからない」「家族と揉めずに解決したい」といったご不安に、親身に寄り添い最適な解決策をご提案します。
初回の法律相談は無料ですので、安心してご利用いただけます。平日お忙しい方のために、事前予約制で夜間・休日相談も可能です。
相続に関するお困りごとは、ぜひ一度私たちにご相談ください。
遺言執行者の役割と責任|義務を怠るとどうなる?
遺言執行者の役割と責任|義務を怠るとどうなる?
遺言書を作成しても、その内容がスムーズに実現されるとは限りません。特に、遺言書に記載された内容が複雑な場合や、相続人間で対立がある場合は、遺言書の通りに手続きを進めることが困難になることがあります。
このような時、遺言書の内容を確実に実行する役割を担うのが**「遺言執行者」**です。
今回は、遺言執行者の役割と、その職務を果たす上で知っておくべき責任について解説します。
遺言執行者の職務とは
遺言執行者は、遺言書の内容を実現するために、以下のような幅広い職務を行います。
- 遺言執行者就任の通知: 遺言執行者に就任したら、遅滞なく相続人全員にその旨を通知します。
- 相続財産目録の作成・交付: 相続財産の全容を調査し、財産目録を作成して相続人に交付します。
- 遺言内容の実行: 不動産の名義変更や、預貯金の解約、株式の処分、遺贈の実行など、遺言書に書かれた内容を具体的に実現するための手続きを行います。
- 報告義務: 遺言執行の状況について、相続人からの求めに応じて報告する義務があります。
遺言執行者の責任と義務
遺言執行者は、相続人の代理人として、善意の管理者の注意義務(善管注意義務)をもって職務を遂行しなければなりません。
この義務を怠ると、以下のような責任を負うことになります。
- 損害賠償責任: 遺言執行者が職務を怠ったり、不適切な行為によって相続人に損害を与えた場合、その損害を賠償しなければなりません。
- 報酬の不支給: 遺言執行者には報酬が支払われますが、職務を怠った場合は、その報酬が減額されたり、まったく支払われなかったりすることがあります。
- 解任: 遺言執行者が職務を怠るなど、不適切な行為があった場合、利害関係者(相続人など)は家庭裁判所に遺言執行者の解任を申し立てることができます。
遺言執行者に関するよくある疑問
Q. 遺言執行者は誰でもなれるの?
遺言書で指定された人であれば、相続人や弁護士など、誰でも遺言執行者になることができます。ただし、指定された人が就任を拒否することも可能です。
Q. 遺言執行者は家庭裁判所の監督を受けるの?
遺言書で指定された遺言執行者は、基本的に家庭裁判所の直接的な指示や監督を受けません。しかし、職務を怠るなど不適切な行為があった場合は、家庭裁判所によって解任されることがあります。
Q. 遺言執行者の職務は具体的にどう進めるの?
遺言執行者は、遺言書の内容を法的に、そして事実に基づいて具体的に実行します。例えば、遺贈の対象となる不動産を第三者に売却し、その代金を遺贈する、といった行為も職務に含まれます。
遺言執行者は弁護士に依頼するのが最善の選択
遺言執行者の職務は、法的な知識だけでなく、相続人との調整能力や、煩雑な手続きをこなすための時間と労力が求められます。
ご自身で遺言執行者として職務を遂行することに不安がある場合は、弁護士に遺言執行を依頼することを強くお勧めします。
弁護士は、法律の専門家として、遺言執行者としての義務を正確に理解し、法的なリスクを回避しながら手続きを円滑に進めます。また、相続人との間で生じうるトラブルを未然に防ぎ、遺言者の最後の意思を確実に実現します。
相続に関するお悩みや、遺言執行者の職務についてご不安な方は、お気軽にご相談ください。

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遺言書があっても遺産分割協議が必要なケース
弁護士が教える!遺言書があっても遺産分割協議が必要なケース
「遺言書があれば、遺産分割協議は必要ない」と思っていませんか?実は、遺言書があっても、遺産分割協議を行わなければならないケースがあります。
今回は、遺言書と遺産分割協議の関係、そして「遺言執行者」の重要性について、相続の専門家が解説します。
遺言書の効力と遺産分割協議
遺言書は、被相続人の最後の意思を尊重するためのものです。法的に有効な遺言書があれば、その内容が優先され、遺産分割協議は原則として不要となります。
しかし、以下のようなケースでは、遺産分割協議が必要になります。
- 遺言書の内容に遺産分割の指示がない: 例えば、「全ての財産を長男に相続させる」という包括的な内容の遺言書の場合、具体的な財産の分け方について、相続人全員で協議が必要になることがあります。
- 遺言書の内容と異なる分割を望む: 遺言書があっても、相続人全員の合意があれば、遺言書と異なる内容で遺産を分割することができます。この場合、遺言書の内容は無視して、相続人全員で遺産分割協議書を作成する必要があります。
遺言執行者の役割と重要性
遺言執行者は、遺言書の内容を具体的に実現する役割を担います。
遺言執行者の就任は義務ではありませんが、遺言書で指定されている場合は、遺言執行者が責任を持って手続きを進めることになります。
特に以下のようなケースでは、遺言執行者がいることで手続きが円滑に進みます。
- 特定の財産を遺贈する場合: 不動産や預貯金など、特定の財産を相続人以外の第三者に遺贈する場合、遺言執行者がいなければ、相続人全員の協力が必要となります。
- 遺産分割方法の指定: 遺言書で遺産分割の方法が指定されている場合でも、具体的な手続きを進めるには、遺言執行者がいるとスムーズです。
遺言執行者の職務は、相続財産の調査から、不動産の名義変更、遺贈の実行まで多岐にわたります。遺言執行者がいない場合、これらの手続きは相続人全員が協力して行わなければならず、手間や時間がかかってしまうことがあります。
まとめ:遺言書は「終わり」ではない、円満な相続のための「始まり」
遺言書は、ご自身の最後の意思を明確にし、相続争いを防ぐための非常に有効な手段です。しかし、遺言書があれば全てが解決するわけではありません。
遺言書の内容に不備があったり、相続人が納得いかない場合、遺言書を無視して協議を進めることもあります。
このような事態を避けるためには、遺言書を作成する段階で、相続問題に精通した弁護士に相談し、法的に有効かつ、ご家族の状況に合った内容で作成しておくことが重要です。

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相続の専門家が解説|知っておきたい3つの相続トラブル
相続の専門家が解説|知っておきたい3つの相続トラブル
相続は、誰にとっても避けて通れない問題です。しかし、法律的な知識がないまま進めると、思わぬトラブルに巻き込まれることがあります。
今回は、私たちがご相談を受ける中で特に多い、知っておくべき3つの相続トラブルについて、その解決策を分かりやすく解説します。
- 行方不明の相続人がいるケース
「長年連絡が取れない兄弟がいて、遺産分割協議が進められない」
遺産分割協議は、法定相続人全員の合意が必要です。もし、相続人の中に連絡先が分からない人がいる場合、協議は事実上停止してしまいます。
このような場合でも、戸籍の調査で相手方の住所を特定できれば、連絡を取ることが可能です。しかし、戸籍の調査にも限界があり、住所が特定できない場合は、不在者財産管理人を選任するなどの法的手段を講じる必要があります。
- 遺言書に「条件」が付いているケース
「長男が結婚したら財産を相続させる」
「三男が重度障害を負ったら、全財産を相続させる」
このように、遺言書に条件が付いている場合、その遺言書は有効なのでしょうか?
法律上、遺言書に条件を付すこと自体は可能です。しかし、上記のように「〜したら」という条件が不明確だと、その遺言書は無効と判断される可能性があります。
遺言書に条件を付す場合は、客観的に明確に判断できるような具体的な内容にすることが重要です。
- 「内縁の妻」に相続権はあるか?
「事実婚の関係にあった夫が亡くなった。夫の遺産を相続できるか?」
内縁関係(事実婚)の夫婦には、法律上の夫婦のような相続権はありません。したがって、遺言書がない限り、内縁の妻が夫の財産を相続することはできません。
内縁の妻が夫の財産を取得するためには、遺言書を作成してもらう、あるいは死因贈与契約を結んでおくなどの生前対策が必要です。
トラブルになる前に、専門家へご相談を
これらのトラブルは、いずれも法的な知識がないと解決が難しい問題です。ご自身だけで対応しようとすると、かえって事態が悪化してしまう可能性があります。
遺産相続に関するお悩みや疑問は、お一人で抱え込まず、私たち専門家にご相談ください。

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弁護士野条健人の相続ブログ|大阪の相続なら、かがりび綜合法律事務所へ
弁護士野条健人の相続ブログ|大阪の相続なら、かがりび綜合法律事務所へ
こんにちは。弁護士の野条健人です。 私はこれまで、大阪府内にお住まいの多くのご依頼者様の相続問題に携わってきました。 大阪には、全国的にも特徴的な相続の傾向があります。それは、以下の2つです。
- ご自宅や不動産に関するご相談が多い
- 昔ながらのご商売や会社を引き継ぐご相談が多い
今回のブログでは、なぜ大阪でこのような相続問題が起こりやすいのか、そして、弁護士としてどのように解決に導いてきたのかを、具体的な事例を交えてお話ししたいと思います。
なぜ大阪の相続は「不動産」と「事業承継」が鍵となるのか
大阪は、東京に次ぐ日本の経済の中心地です。 都心部には高層マンションやオフィスビルが立ち並び、郊外には長年住み継がれてきた戸建て住宅や、代々受け継がれてきた土地が多く存在します。
そのため、相続財産に占める不動産の割合が高い傾向にあります。 特に、都心部に近い土地は、路線価も高く、相続税の負担が大きくなることも珍しくありません。
また、「商都」とも呼ばれる大阪には、昔からご家族で商売をされてきた方も多くいらっしゃいます。 ご自身が立ち上げた会社や、ご両親から引き継いだ事業を、次の世代にどう引き継ぐか。 これは、会社の未来を左右する重大な決断であり、同時にご家族の将来を左右する、非常にデリケートな問題となります。
大阪の相続問題解決事例
私が実際に担当した、大阪ならではの相続問題解決事例を2つご紹介します。
解決事例1:大阪市内の「家屋敷」をめぐる兄弟の対立
大阪市内にご両親が所有していた家屋敷をめぐり、長男と長女が対立したケースです。 長男は「自分がこのまま住み続けて、両親の家屋敷を守っていきたい」と強く希望していました。 一方、長女はすでに持ち家があり、「住む予定もないので、売却して公平に現金で分けてほしい」と主張しました。
私はまず、当事者であるご兄弟、そしてご親族の皆様に、この家屋敷が持つ「金銭的な価値」と「感情的な価値」について、丁寧に説明しました。 そして、この家屋敷が建つ土地の価値を、地元の不動産鑑定士に依頼して客観的に評価しました。
その結果、長女が納得できるだけの金額を長男が代償金として支払うことで、最終的に合意に至りました。 長男は思い出の詰まった家屋敷を守ることができ、長女も公平な分配を受けることができました。
解決事例2:東大阪の「町工場」の事業承継
東大阪で長年、ご家族で町工場を経営されていたご主人が亡くなったケースです。 ご主人の遺産は、事業で使う土地と建物、そして会社の株式でした。 ご家族には、ご主人の後を継ぎたいという息子様と、別の道に進んでいる娘様がいらっしゃいました。
息子様は「会社を自分が引き継いで、父の事業を守っていきたい」と強く希望していました。 一方、娘様は「兄だけが会社を継ぐのは不公平だ。会社を売却して、現金を分けてほしい」と主張し、対立が生まれました。
私はまず、会社の財務状況を徹底的に分析し、株式の価値を正確に評価しました。 その上で、息子様が会社を承継する代わりに、娘様に代償金を支払う**「代償分割」**を提案しました。
しかし、息子様には代償金を支払うだけの現金がありませんでした。 そこで私は、息子様が会社の事業資産を担保に金融機関から融資を受け、その資金を代償金に充てることを提案しました。 この提案にご家族全員が納得し、息子様が事業を無事に承継することができました。
大阪の相続を円満に解決するために
これらの事例からもわかるように、大阪の相続では、不動産や事業承継に関する専門知識と、ご家族の想いを尊重する丁寧なヒアリングが不可欠です。
当事務所は、大阪市中央区に拠点を置き、大阪の地域の事情に精通しています。 大阪の不動産事情や、大阪ならではの事業承継の課題を深く理解しているからこそ、ご依頼者様の状況に合わせた最適な解決策を提案できるのです。
「実家の相続で揉めている」 「両親が遺した事業をどう引き継げばいいかわからない」 「何から手をつけていいのかわからない」
もし、このようなお悩みがありましたら、お一人で抱え込まず、ぜひ一度ご相談ください。 私たちは、皆様の不安を少しでも和らげ、ご家族の絆を守るお手伝いをさせていただければ幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
弁護士法人かがりび綜合法律事務所 弁護士 野条 健人

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借金が多い相続でも諦めない!限定承認と相続財産管理人の活用法
借金が多い相続でも諦めない!限定承認と相続財産管理人の活用法
相続財産に借金が含まれている場合、「相続放棄」という選択肢をまず考える方がほとんどです。しかし、相続人が一人でも相続放棄を拒否したり、連絡が取れなかったりすると、相続放棄はできません。
また、「借金は多いけれど、被相続人の自宅だけは手放したくない」というご希望もあるかもしれません。
今回は、このような複雑な状況を解決するための**「限定承認」と「相続財産管理人」**の活用法について、相続の専門家が解説します。
限定承認:借金の負担を負わずに遺産を引き継ぐ
限定承認は、相続財産に借金がある場合でも、プラスの財産の範囲内でマイナスの財産(借金)を引き継ぐことができる制度です。
- 相続人全員で手続き: 限定承認は、相続人全員が共同で家庭裁判所に申し立てる必要があります。
- 財産から借金を精算: 遺産の範囲内で借金を清算するため、万が一借金がプラスの財産を上回っても、相続人自身の財産で返済する必要はありません。
- 残った財産は相続できる: 借金を精算した後、プラスの財産が残った場合は、それを相続することができます。
この限定承認は、特に被相続人が個人事業を営んでいたケースや、借金がいくらあるか不明な場合に有効な解決策となります。
相続財産管理人:行方不明の相続人や複雑な事案を解決
相続財産管理人とは、家庭裁判所によって選任され、相続財産を管理・清算する役割を担う専門家です。通常、弁護士が選任されます。
以下のような、当事者だけでは解決が困難なケースで、相続財産管理人が活躍します。
- 行方不明の相続人がいる: 遺産分割協議には相続人全員の合意が必要ですが、連絡が取れない人がいる場合、手続きは進みません。このような場合に相続財産管理人を選任し、遺産分割を進めることができます。
- 相続人全員が相続放棄した: 借金が多いため、相続人全員が相続放棄した場合、被相続人の財産は宙に浮いた状態になります。この時、相続財産管理人を選任することで、借金の清算手続きを行い、債権者とのトラブルを避けることができます。
- 自宅だけは手放したくない: 借金が多いものの、被相続人の自宅だけは残したいという場合、相続人全員が相続放棄をした上で、相続財産管理人に不動産を買い取る旨を申し立てることで、借金の負担を負うことなく自宅を確保できる可能性があります。
限定承認の手続きの注意点
限定承認は、非常に複雑な手続きです。特に、以下の点に注意が必要です。
- 3ヶ月の期限: 相続開始を知ってから3ヶ月以内に家庭裁判所に申し立てる必要があります。
- 官報公告: 裁判所に認められた後、官報に公告を行い、債権者に対して債権を申し出るよう促さなければなりません。
- 相続税・所得税: 限定承認で不動産を売却する場合、譲渡所得税が課税される可能性があり、専門家である税理士に相談しておくことが重要です。
複雑な相続は、専門家への相談が必須
相続は、法的な知識がないと対応が難しい問題です。特に、借金が絡む相続、事業承継、行方不明の相続人がいる場合など、複雑なケースでは、当事者だけで解決しようとすると、かえって事態が悪化し、大きな不利益を被る可能性があります。
当事務所では、お客様の状況を丁寧にヒアリングし、最も適切な解決策を提案します。限定承認の手続き代行から、相続財産管理人の選任申立て、債権者との交渉まで、一貫してサポートいたします。
お一人で悩まず、まずは私たちにご相談ください。

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