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弁護士が教える!仮想通貨の相続、どうしたらいい?

2025-10-08

弁護士が教える!仮想通貨の相続、どうしたらいい?


家族が残した「デジタルな財産」に困っていませんか?

最近、相続のご相談で「故人が仮想通貨を所有していたらしいのですが、どうすればいいか分かりません」というお声をいただくことが増えてきました。 仮想通貨(暗号資産)は、目に見える現金や不動産と違い、独特の難しさがあります。

「そもそも、どこにどれくらいあるのか分からない…」 「パスワードが分からない…」 「相続税はかかるの?」

そんな疑問や不安を抱えている方のために、今回は仮想通貨の相続について、弁護士の視点から分かりやすく解説します。


仮想通貨の相続、3つのステップ

仮想通貨の相続も、基本的な流れは他の財産と同じです。

  1. 仮想通貨の保有状況を「調査」する
  2. 相続税の評価額を「計算」する
  3. 相続人同士で「分割」する

これらのステップを順番に進めていく必要があります。

1. 仮想通貨を「調査」する

まず最初に直面するのが、「故人がどこで、どれくらいの仮想通貨を所有していたか」という問題です。

手がかりを探す

  • パソコンやスマートフォンの履歴: 仮想通貨取引所のウェブサイトやアプリの利用履歴を調べてみましょう。
  • メールの履歴: 取引所からのメール(口座開設の案内、取引履歴など)が残っていないか確認します。
  • 自宅の書類: 仮想通貨取引所からの郵送物が届いていないか、書類やメモを探してみましょう。

注意!「秘密鍵」やパスワードの管理 仮想通貨を取引所の口座で管理していた場合、取引所が定める手続きに従って相続手続きを進めます。しかし、**「ウォレット」**と呼ばれる個人で管理する場所に保管していた場合は注意が必要です。

このウォレットにアクセスするには、**「秘密鍵」「シードフレーズ」**と呼ばれる情報が必要になります。この情報がないと、事実上、仮想通貨を取り出すことができません。故人がこれらの情報をどこかに残していないか、慎重に探す必要があります。

2. 相続税の評価額を「計算」する

仮想通貨も、現金や不動産と同じように相続税の課税対象になります。

評価方法は? 仮想通貨の評価額は、「相続開始日(被相続人が亡くなった日)」の終値が基準になります。 この日時の価格が、相続税を計算する際の評価額となります。 複数の取引所に口座がある場合、いずれかを選択して評価することができます。

注意! 仮想通貨は価格変動が激しい財産です。相続開始日には高額だったとしても、相続手続き中に価格が大幅に下落してしまうリスクがあります。 一方で、価格が急騰することもあり、その場合は相続税の負担が急に重くなる可能性もあります。

このようなリスクを考えると、相続税の申告期限までに正確な評価額を計算し、必要な資金を準備しておくことが大切です。

3. 相続人同士で「分割」する

仮想通貨は、複数の相続人で公平に分けることが難しい財産です。

分割方法の選択

  • 換価分割: 仮想通貨を売却して現金化し、その現金を相続人で分け合う方法です。価格変動のリスクを避けることができ、公平に分けやすい方法です。
  • 現物分割: 相続人全員が合意すれば、仮想通貨をそのまま特定の相続人が受け取ることも可能です。この場合、他の相続人には代償金を支払う**「代償分割」**を組み合わせることもあります。

仮想通貨の性質上、換価分割がもっともトラブルになりにくい方法と言えるでしょう。しかし、特定の相続人が「今後値上がりするから売りたくない」と主張したり、代償金の支払いで揉めたりすることもあります。


仮想通貨の相続で、なぜ弁護士に依頼すべきなの?

仮想通貨の相続は、他の財産にはない独自の難しさがあるため、トラブルに発展しやすい傾向があります。弁護士に依頼することで、これらの問題をスムーズに解決することができます。

1. 仮想通貨の「探索」をサポート

故人が利用していた取引所が分からない、パスワードが分からずアクセスできない、といった場合に、弁護士が調査をサポートします。 特に、**「秘密鍵」**が見つからない場合、法的な手続きでは解決できないため、弁護士もできることは限られます。しかし、取引所への問い合わせや、他の財産から手がかりを探すなど、可能な限りのサポートを行います。

2. 複雑な法律問題・税務問題の整理

仮想通貨の相続には、法的な知識だけでなく、税務の知識も不可欠です。 弁護士は、法律的な観点から財産の権利関係を整理し、税理士とも連携して、正確な評価額を算定するサポートを行います。 「相続税がいくらになるのか」「どのように納税すればいいのか」といった不安を解消することができます。

3. 遺産分割協議の「中立な」仲介役

仮想通貨の分割方法で意見が対立した場合、当事者だけで話し合っても感情的な対立が深まるばかりです。 弁護士は、あなたの代理人として、他の相続人との交渉を代行します。それぞれの主張を冷静に聞き取り、法的根拠に基づいた解決策を提案することで、公平で円満な合意形成を促します。

4. 隠された財産・「使い込み」の調査

「故人が生前、多額の現金を仮想通貨に換えていたかもしれない」「特定の相続人が、生前に仮想通貨を自分の口座に移していたようだ」といった疑いがある場合、弁護士が調査を行います。 銀行口座の取引履歴の開示請求や、関係者へのヒアリングを通じて、隠された財産の有無や、不当な「使い込み」の事実を明らかにします。


相続の不安、まずは専門家へ相談を

仮想通貨の相続は、まだ新しい分野であり、取引所ごとに手続きが異なるなど、情報も流動的です。 「どうすればいいか分からない」「手続きが複雑で手につかない」と感じたら、一人で抱え込まず、早めに弁護士にご相談ください。

私たち弁護士は、あなたの状況に合わせて、一つひとつ丁寧にサポートします。 大切な家族が残してくれた財産を、安心して引き継げるよう、全力でお手伝いさせていただきます。

初回相談を無料としている法律事務所も多いので、まずは一度、専門家にご自身の状況をお話ししてみてはいかがでしょうか。


まとめ

  • 仮想通貨も相続財産となり、相続税の課税対象です。
  • 相続手続きは、**「発見」「評価」「分割」**の3ステップで進めます。
  • **「秘密鍵」**やパスワードが分からないと、仮想通貨を取り出せないリスクがあります。
  • 弁護士は、調査のサポート法律・税務の整理遺産分割協議の仲介など、仮想通貨の相続特有の問題を解決するサポートを行います。
  • 複雑な問題に直面したら、早めに専門家へ相談することが、円満な解決への近道です。

他士業との連携でワンストップのサポートを提供

2025-09-25

大阪の皆さま、こんにちは。かがりび綜合法律事務所の代表弁護士、野条健人です。

相続は、誰にとっても身近な問題でありながら、いざ直面すると「何から手をつければいいのか」「誰に相談すればいいのか」と、不安や戸惑いを感じる方が少なくありません。

私自身、弁護士として10年以上にわたり、数多くの相続問題と向き合ってきました。大阪市、吹田市、茨木市、東大阪市、八尾市、堺市など、大阪府下のあらゆる地域の皆さまから、実に多種多様なご相談をいただいてきました。

このブログでは、相続の全体像と弁護士に相談するメリット、そして当事務所の強みについて、分かりやすく解説します。


10年以上の経験が培った「相続問題解決」のノウハウ

相続は、法的な知識だけでなく、ご家族の歴史や感情に寄り添う繊細な対応が求められます。当事務所は、長年にわたり相続問題に特化してきた経験と実績を活かし、皆さまのお悩みを根本から解決へと導きます。

例えば、大阪市内で不動産を複数相続する場合、どの不動産を誰が引き継ぐか、その評価額をどうするかなど、複雑な問題が絡み合います。私たちは、長年の経験から培ったノウハウを活かし、ご家族の状況に合わせた最適な解決策を提案します。

また、相続に関するセミナーを多数開催しており、相続に関する知識の普及にも力を入れています。これは、相続の専門家としての確固たる実績があるからこそできることです。


他士業との連携でワンストップのサポートを提供

相続手続きは、弁護士だけで完結するものではありません。相続財産に不動産があれば司法書士、多額の財産があれば税理士など、他の専門家の協力が不可欠です。

当事務所は、信頼できる司法書士や税理士などの専門家と強固なネットワークを築いています。これにより、相続登記相続税申告はもちろんのこと、相続財産の処分など、相続に関するあらゆる問題をワンストップで解決することができます。

たとえば、堺市にお住まいで、相続財産に広大な土地があり、どのように活用すれば良いかお悩みの場合、私たちは提携する不動産専門家と連携し、売却や活用方法など、多角的な視点からアドバイスを提供します。


初回相談60分無料でお悩みをじっくりお聞かせください

相続は、大切な方を亡くされた悲しみの中で向き合わなければならない、非常にデリケートな問題です。だからこそ、私たちは、皆さまのお気持ちに寄り添い、丁寧にお話を伺うことを大切にしています。

「こんなこと相談してもいいのかな」「弁護士に相談するのは敷居が高い」と迷っている方もいらっしゃるかもしれません。ご安心ください。当事務所では、初回の相談を60分無料で承っております。

吹田市、茨木市、東大阪市、八尾市など、大阪府下にお住まいの方で、相続について少しでも不安や疑問をお持ちでしたら、どうかお一人で悩まず、まずはお気軽にご相談ください。皆さまのお悩みが少しでも軽くなるよう、全力でサポートいたします。

ご相談を心よりお待ちしております。

「親は亡くなったけれど、特定の兄弟の主張が強くて何も言えない」「自分だけいつも我慢を強いられている」

2025-09-23

大阪の皆さま、こんにちは。かがりび綜合法律事務所の代表弁護士、野条健人です。

相続は、法的な手続きだけでなく、ご家族間の複雑な感情や力関係が絡み合う、非常にデリケートな問題です。

「親は亡くなったけれど、特定の兄弟の主張が強くて何も言えない」「自分だけいつも我慢を強いられている」

もし、あなたがそんな思いを抱えているのであれば、どうか一人で抱え込まず、私たちにご相談ください。

長年にわたり、大阪の地に根差し、数多くの相続問題を解決してきた私たちが、あなたの力強い味方となります。


弱い立場にいるあなたの味方となる【実績豊富な弁護士】

『かがりび綜合法律事務所』には、相続問題に精通した二人の弁護士が在籍しています。

代表の野条は、これまでの豊富な経験から、複雑な相続案件を数多く解決に導いてきました。相続財産管理人に選任されるなど、裁判所からもその実績を高く評価されています。

また、弁護士の井上は、認定心理士の資格を持ち、ご相談者様のメンタルケアも得意としています。特に、高齢のご相談者様からは「親身になって話を聞いてくれる」「安心して任せられる」と厚い信頼をいただいています。裁判所からも成年後見人未成年後見人として何度も選任されるなど、その誠実な人柄と専門性は高く評価されています。

私たちは、単に法律的な手続きを代行するだけでなく、それぞれの立場を尊重しながら、ご家族ごとのご事情に配慮した解決を目指します。


【初回面談相談90分無料】あなたの想いをじっくりお聞かせください

相続問題は、ご相談者様一人ひとりの状況が異なります。遺言書の内容、相続財産、そして何より、ご家族の歴史やこれまでの経緯、長年抱えてきたわだかまりが、解決の鍵を握ることも少なくありません。

そのため、私たちは、初回面談相談を90分無料で承っております。

時間をかけてお話を伺い、ご相談者様が抱えている不安や不満をすべて吐き出していただけるよう、安心できる場を提供しています。後悔を残さない解決のために、あなたの想いをぜひ私たちにお聞かせください。

大阪市、吹田市、茨木市、東大阪市、八尾市、堺市など、大阪府下にお住まいの方で、相続について少しでもお悩みがあれば、まずは一度、私たちにご面談ください。


【相続税・不動産登記も一括サポート】窓口1つでお手間はかかりません!

相続手続きは、弁護士の力だけでは完結しません。

相続財産に不動産があれば司法書士、多額の財産があれば税理士など、他の専門家の協力が不可欠です。

ご安心ください。私たちは、地域の保険会社代理店や寺社、福祉施設などと強固なネットワークを築き、税理士や司法書士とも密な連携を取っています。

ご依頼いただいた後は、私たちが窓口となり、相続税の申告不動産の登記まで、すべて一括でサポートします。ご自身で専門家を探す手間や、何度も手続きを繰り返す負担は一切かかりません。


【終活サポート】法的に有効な遺言書作成もお任せください

「元気なうちに、自分の意思で財産の分け方を決めたい」「家族に面倒をかけたくない」

そんなお考えをお持ちなら、ぜひ早めの対策をおすすめします。

しかし、せっかく遺言書を残しても、法的な要件を満たしていないために無効と判断され、かえってトラブルに発展してしまうケースも少なくありません。

当事務所は、裁判所から相続財産管理人成年後見人として選任された経験を持つ弁護士が所属しています。その豊富な知識と経験を活かし、あなたの想いを尊重した、法的に有効な遺言書の作成をサポートします。

「介護でお世話になった人に財産を残したい」「後で家族が揉めないような配分で残したい」など、ご希望に合わせて丁寧にご説明し、最適な方法をご提案します。


相続問題は、ご家族の絆を深く傷つけてしまうことがあります。

私たちかがりび綜合法律事務所は、あなたの力強い味方となり、後悔を残さない円満な解決を目指します。

まずは、あなたの胸の内をお聞かせください。ご相談を心よりお待ちしております。

「何から手をつければいいのかわからない」「相続人のなかに知らない人がいる」「遺産を使い込んでいる相続人がいるようだ」

2025-09-21

大阪の皆さま、こんにちは。かがりび綜合法律事務所の代表弁護士、野条健人です。

相続問題に直面したとき、「弁護士に相談するのは敷居が高い」と感じる方も少なくありません。しかし、遺産相続は、さまざまな法律的知識や複雑な手続きが求められるため、当事者だけで解決しようとすると、かえって事態が悪化してしまうことがほとんどです。

今回は、弁護士に相談することが、いかに皆さまにとって最良の解決に繋がるか、そして、かがりび綜合法律事務所がどのようなサポートを提供できるかについてお話しします。


最良の解決を目指すために:弁護士はあなたの力強い味方です

遺産相続と一口に言っても、その内容は多種多様です。

「何から手をつければいいのかわからない」「相続人のなかに知らない人がいる」「遺産を使い込んでいる相続人がいるようだ」

こうしたお悩みを抱えたとき、早めに弁護士に相談することが、最良の解決への第一歩となります。

インターネットや書籍には多くの情報があふれていますが、個々のケースに合わせた最善の解決策を見つけ出すには限界があります。弁護士は、法律の専門家として、あなたの状況に合わせた最適な手続きを提案し、迅速かつ正確に手続きを進めます。

1. 法的手続きのエキスパートとして冷静に交渉

弁護士は、法律問題の交渉を代行する資格を有しています。遺産分割協議や相続放棄、遺留分侵害額請求など、専門的な手続きを冷静かつ的確に行います。

たとえば、遺留分の侵害が疑われる場合、弁護士が介入することで、ご自身では難しい複雑な計算や法的手続きを正確に進めることができます。

また、大阪市、吹田市、茨木市、東大阪市、八尾市、堺市など、大阪府下にお住まいの皆さまから、当事務所には「思っていたよりも打ち解けやすかった」というお声を多くいただいております。私たちは、単に法的なアドバイスをするだけでなく、親身な対応を日々心がけておりますので、どうぞ安心してご相談ください。


「知らない」ことが大きな損につながる相続問題

相続問題では、「知らなかった」ということがそのまま大きな不利益に繋がることがあります。

  • 生前贈与や使い込み: 特定の相続人が多額の生前贈与を受けていた場合、公平な遺産分割のためには「特別受益」として考慮する必要があります。しかし、この知識がなければ、そのまま不公平な分割に合意してしまうリスクがあります。
  • 遺産の全貌の把握: 相続財産の管理を特定の相続人に任せていた場合、その方がすべての財産を開示してくれないケースもあります。その場合、本来もらえるはずの財産のわずかしか受け取れないことも珍しくありません。

弁護士が介入することで、銀行口座の開示請求などを行い、遺産の全貌を明らかにすることができます。これにより、本来あなたが受け取るべき財産を公平に分配することが可能となります。

また、費用面においても、遺産分割に関する問題であれば、財産分与の範囲内でまかなえることが多いため、実質的な負担を抑えることができます。


「冷静な第三者」として親族間の争いを仲裁

相続問題は、俗に「争続」と言われるほど、親族間の対立に発展しやすいものです。

「相手は家族だから、これ以上関係をこじらせたくない」「でも、納得できない」

こうした葛藤を抱えている方は少なくありません。

私たち弁護士は、「冷静な第三者」として、ご依頼者様の利益を最優先しつつ、相手方も納得できるような解決を模索します。

豊富な法律知識と交渉力を活かし、感情的になりがちな話し合いの要点を整理することで、驚くほどスムーズに解決へ向かうことも少なくありません。

かがりび綜合法律事務所は、法律の枠を超えた実務経験から、皆様のお気持ちに寄り添い、最良の解決を導くことをお約束します。

大阪市、吹田市、茨木市、東大阪市、八尾市、堺市など、大阪府下で相続問題にお悩みの方は、まずはお気軽に当事務所にご相談ください。

終わらない相続争いの悲惨な末路|弁護士が教える4つのリスク

2025-09-20

終わらない相続争いの悲惨な末路|弁護士が教える4つのリスク

相続が「争族」となってしまうと、その解決には多くの時間と労力がかかります。しかし、相続争いの恐ろしさは、単に感情的な対立だけではありません。遺産分割が長期間にわたって完了しないことで、法的に、そして経済的に大きな不利益を被る可能性があるのです。

今回は、相続争いが長期化することによって生じる、見過ごすことのできない4つのリスクについて解説します。


1. 遺産を有効に活用できない

遺産分割が終わらない限り、各相続人は遺産を自由に活用することができません。特に不動産は、売却や賃貸といった収益化の機会を逃してしまうことになります。

例えば、遺産分割が成立しないまま不動産を共有名義で放置してしまうと、売却するには共有者全員の同意が必要です。もし単独で自分の持分だけを売却しようとしても、買い手を見つけることは非常に困難で、見つかったとしても本来の価値よりもはるかに低い金額でしか売却できないのが実情です。

さらに、不動産の維持にかかる固定資産税などの費用は、遺産分割が成立するまで相続人全員で負担し続けなければなりません。

2. 「特別受益」や「寄与分」を主張できなくなる

遺産分割が長期化することの最大の落とし穴の一つが、特別受益寄与分の主張ができなくなることです。

  • 特別受益:生前に特定の相続人が受けた、学費や住宅購入費などの特別な利益
  • 寄与分:被相続人の事業への貢献や、献身的な介護など、財産の維持・増加に貢献した分

これらの主張は、相続人全員の公平性を保つための重要な制度です。しかし、遺産分割が10年以上もこじれると、たとえどれだけ貢献したとしても、その主張が認められなくなり、大きな不利益を被る可能性があります。

3. 親族間の関係性が悪化する

相続争いは、単なる財産問題にとどまらず、家族関係そのものを破壊してしまいます。感情的な非難の応酬は、家族の歴史に深い溝を刻み、一度壊れた関係の修復は極めて困難です。

相続争いをきっかけに親族間の縁が断絶し、家族の絆が失われてしまうケースは決して珍しくありません。

4. 相続税の優遇特例を受けられない

相続税の申告には期限があり、通常は被相続人が亡くなった日から10ヶ月以内です。この期限内に遺産分割が成立していないと、「配偶者の税額軽減」や「小規模宅地等の特例」といった、相続税を大幅に抑えることができる特例を適用することが原則としてできません。

申告期限内に分割が間に合わない場合は、「申告期限後3年以内の分割見込書」を提出することで、後日遺産分割が成立した際にこれらの特例を適用できる可能性があります。しかし、この手続き自体にも手間がかかりますし、3年以内に解決できなければ、特例を受けられず多額の相続税を支払うことになります。


まとめ:相続争いは早期解決が鍵

相続争いは、時間とともにリスクが膨らみ、解決が困難になる一方です。

これらのリスクを避けるためには、早期に専門家である弁護士に相談し、解決に向けて動き出すことが何よりも重要です。

弁護士は、法律と交渉のプロとして、お客様の代理人となり、複雑な遺産分割協議や調停をスムーズに進めます。また、特別受益や寄与分の主張、税金に関する手続きなど、見落としがちな法的リスクについても的確にアドバイスします。

相続争いで時間と心労を無駄にしないためにも、ぜひお気軽にご相談ください。

離婚の財産分与で相手から多額の請求。どう対応すべき?【弁護士が解説】

2025-09-18

離婚の財産分与で相手から多額の請求。どう対応すべき?【弁護士が解説】

「夫婦の話し合いで離婚を進めていたのに、相手が弁護士を立てて多額の請求をしてきた…」

そんな時、どうしたら良いか分からず途方に暮れてしまう方は少なくありません。

今回は、実際にあったご相談事例をご紹介しながら、離婚の話し合いがこじれた場合の対処法について解説します。

ご相談の背景

ご相談者様は、奥様と性格の不一致から離婚することになり、別居を開始。離婚条件について話し合いを進めていました。

しかし、話し合いの途中で奥様が弁護士を立て、相場の2分の1を超える多額の財産分与(約1,000万円)と、婚姻費用の支払いを請求してきました。あまりにも一方的な要求に、どうすれば良いか分からず、ご相談にいらっしゃいました。

弁護士の対応と解決までの道のり

このまま婚姻費用の支払いを続けると、ご相談者様の経済的負担が増大するばかりです。そこで私たちは、早期に離婚を成立させるべく、すぐに離婚調停を申し立て、相手方の弁護士と交渉を開始しました。

相手の財産分与の主張は、一見するともっともらしいものでしたが、ご相談者様の生活実態を無視した、到底受け入れられない金額でした。

私たちは、以下の点を粘り強く交渉しました。

  • 今回の離婚は、どちらか一方に責任があるものではないこと
  • 別居時に奥様が多額の金銭を持ち出していること
  • ご相談者様の手元に、請求された金額を支払うだけの資産がないこと

これらの事実を丁寧に伝え、双方にとって納得のいく解決を目指しました。

その結果、当初の請求額から半額以下の500万円以下で合意に至り、円満に離婚が成立しました。

弁護士だからできること

この事例のように、離婚の話し合いがこじれてしまうことは珍しくありません。特に、相手が弁護士を立ててきた場合、法律の知識がないまま一人で対応するのは非常に困難です。

弁護士を立てることで、相手の不当な要求を跳ね除け、あなたの状況を冷静に主張することができます。私たちは、あなたの精神的な負担を軽減し、ご依頼者様の正当な権利を守るために最善を尽くします。

離婚問題でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。私たちは、あなたの新たな人生のスタートを全力でサポートします。

「不動産共有と自営業」

2025-09-16

ご依頼ありがとうございます。今回は「不動産共有と自営業」というテーマで、相続ブログの記事を作成いたします。自営業を営む方が相続で不動産を共有することになった際に、どのような問題が起こりうるか、そしてその解決策について、弁護士の視点から解説します。


【弁護士が解説】自営業者が直面する相続問題|不動産共有の危険性と解決策

皆さま、こんにちは。弁護士法人かがりび綜合法律事務所の弁護士、野条健人と申します。当事務所は大阪市に拠点を置き、日々、様々な相続問題に向き合っています。

事業を営む方にとって、相続は単なる財産分割に留まらない、事業の継続に関わる重要な問題です。特に、事業で使用している土地や建物が相続財産に含まれる場合、他の相続人と「不動産を共有」する状態になることが多く、これが後々の大きなトラブルに発展するケースが少なくありません。

今回は、自営業者が直面する不動産共有の危険性と、そのリスクを回避するための解決策について、具体的な事例を交えながら解説します。


1. 自営業者が直面する「不動産共有」の危険性

相続によって不動産が複数の相続人の共有名義となった場合、特に自営業を営む方にとっては、事業の継続に深刻な影響を及ぼす可能性があります。

危険性①:事業の継続が困難になる

事業で使用している不動産を他の相続人と共有している場合、その不動産を自由に活用したり、売却したりすることができなくなります。

  • 増改築や大規模修繕ができない: 不動産の増改築や大規模修繕には、原則として共有者全員の同意が必要です。兄弟間で意見が対立すると、事業拡大のために必要な改修が進められず、事業の成長が阻害される可能性があります。
  • 担保に入れられない: 事業資金の融資を受ける際、共有不動産を担保にしようとしても、他の共有者の同意がなければ銀行は融資に応じてくれません。これにより、資金調達の選択肢が狭まります。
  • 売却ができない: 共有者の一人が「事業を辞めて不動産を売却したい」と主張した場合、他の共有者は売却に同意せざるを得ない状況に追い込まれることもあります。

危険性②:固定資産税や維持費の負担で揉める

共有不動産にかかる固定資産税や修繕費用などの維持費は、共有者が各自の持分割合に応じて負担するのが原則です。

しかし、「実際に不動産を使っているのはお前だけだ」「事業で利益を上げているんだから、お前が全額払うべきだ」などと、他の共有者から不当な負担を求められ、トラブルに発展するケースが多々あります。

危険性③:将来的な相続でさらに複雑化する

共有状態が解消されないまま、共有者のうち誰かが亡くなると、その持分はさらにその相続人に細かく分割されてしまいます。いわゆる「数次相続」です。

世代を経るごとに共有者は増え、権利関係は複雑化し、最終的には面識のない親戚と共有する「共有不動産の塩漬け」状態に陥るリスクが高まります。こうなってしまうと、もはや話し合いで解決することは極めて困難になります。


2. 不動産共有の危険性を回避する3つの解決策

このような危険性を回避し、円滑な事業継続を実現するためには、事前の対策が不可欠です。

解決策①:遺言書を作成して単独相続させる

被相続人(親)がご存命であれば、最も有効な手段は遺言書の作成です。

**「事業で使用している不動産は、長男(事業承継者)に単独で相続させる」**と遺言書に明記しておくことで、他の相続人と共有状態になることを防ぐことができます。他の相続人には、代わりに預貯金や他の不動産など、遺留分に配慮した財産を相続させる内容にすることで、円満な解決を目指します。

解決策②:遺産分割協議で代償分割を利用する

被相続人が遺言書を残さずに亡くなった場合、遺産分割協議で解決を図ります。

事業承継者が不動産を単独で相続する代わりに、自己資金などから他の相続人へ「代償金」を支払うことで、公平性を保ちつつ共有状態を解消することができます。これが代償分割です。

ただし、代償金の額や支払い方法について、他の相続人と合意に至る必要があります。

解決策③:弁護士に相談して「共有物分割訴訟」を検討する

遺産分割協議がまとまらず、事業継続が困難な状況に陥った場合は、共有物分割訴訟を検討することになります。

これは、裁判所を通じて不動産の共有状態を解消する手続きです。裁判所の判断によって、不動産を事業承継者が単独で取得し、他の共有者には代償金を支払うよう命じられたり、不動産を売却して代金を分けるよう命じられたりします。


3. お悩みなら、まずは大阪の弁護士にご相談ください

自営業における不動産共有の問題は、事業の未来に関わる重大な課題です。

「事業用の不動産を共有することになり、どうしていいか分からない」「遺産分割協議で代償金について揉めている」といったお悩みをお持ちの方は、一人で悩まずに、まずは弁護士にご相談ください。

当事務所は、大阪の事業承継や相続問題に精通しており、お客様の状況を丁寧にヒアリングした上で、事業の継続を最優先に考えた最適な解決策をご提案します。

初回のご相談は無料です。ご予約いただければ、土日祝のご相談も承ります。

弁護士野条健人の相続ブログ|相続問題を弁護士に依頼する5つのメリット

2025-09-07

弁護士野条健人の相続ブログ|相続問題を弁護士に依頼する5つのメリット

こんにちは。弁護士の野条健人です。 「相続なんて、家族で話し合えば何とかなるだろう」 そう考えていらっしゃる方も多いかもしれません。

しかし、相続は単に故人の財産を引き継ぐだけの手続きではありません。相続財産の種類や金額、そして何よりも、相続人同士の関係性によって、複雑な問題が次々と発生することがあります。

相続トラブルが発生した際、法的な知識がないままご自身で対応しようとすると、問題が長期化したり、思わぬ損をしてしまったりする可能性があります。 今回のブログでは、相続問題を弁護士に依頼することで得られる、5つの大きなメリットについてお話しします。


メリット1:トラブルの早期解決

相続トラブルは、時間が経てば経つほど、感情的な対立が深まり、解決が難しくなります。 遺産分割協議が難航したあげく、調停や裁判まで発展した場合、弁護士の介入なしに適切な対応を行うのは困難です。

弁護士は、法律の専門家として、冷静かつ客観的な視点から問題点を整理し、解決への道筋を示します。 早期に弁護士に相談することで、問題がこじれる前に手を打ち、スムーズに解決へと導くことができます。

メリット2:適正な遺産金額の分配が得られる

相続財産に不動産や株式などが含まれる場合、その評価額をめぐって意見が対立することがよくあります。 「実家は古くて価値がないだろう」「いや、立地がいいから高額なはずだ」といった主観的な評価では、公平な分割は望めません。

弁護士は、不動産鑑定士などの専門家と連携し、客観的な評価額を算出します。 また、特定の相続人が受けた生前贈与(特別受益)や、被相続人の療養看護に尽力した場合(寄与分)など、法律に基づいた適正な主張を行うことで、あなたが本来受け取るべき公正な取り分を確保します。

メリット3:親族間の争いを未然に抑止できる

相続問題は、ご家族の絆を壊してしまう可能性があります。 しかし、弁護士が間に入ることで、ご家族が直接交渉することなく、冷静な話し合いを進めることができます。

第三者である弁護士は、特定の相続人に肩入れすることなく、中立的な立場から交渉を行います。 これにより、感情的な衝突を避け、ご家族の関係性を守りながら、円満な解決を目指すことができます。

メリット4:交渉や書類作成などの負担が軽減される

遺産分割協議から、遺産の名義変更、相続税の申告など、相続には煩雑な手続きや、膨大な量の書類作成が伴います。 仕事や家事、育児などで忙しい中で、これらの作業をすべてご自身で行うのは、大きな負担となります。

弁護士に依頼すれば、ほかの相続人との交渉から、必要書類の作成・収集まで、ほぼすべての対応を一任できます。 あなたは、ご自身の生活に集中しながら、相続手続きを進めることができるのです。

メリット5:親族間での交渉などの精神的な負担が軽減される

相続問題の最大の苦痛は、何よりも精神的な負担ではないでしょうか。 長年信頼してきたご家族との間に生じた不信感や、話し合いが進まないことへの焦り、将来への不安など、多くのストレスを抱えることになります。

弁護士に依頼すれば、こうした精神的な負担から解放されます。 私たちがあなたの代理人として、交渉の矢面に立つことで、あなたは安心して日常を過ごすことができます。 私たちは、あなたの気持ちに寄り添い、不安な気持ちを少しでも和らげるお手伝いをします。


早期の相談が、最善の選択です

相続トラブルは、ご自身でどうにかしようとせず、早い段階で弁護士に相談するのが最善の選択です。 相続問題を弁護士に依頼すれば、煩雑な手続きから、ご家族との交渉まで、すべてをお任せいただけます。

スムーズに相続を進め、ご家族の絆を守るためにも、ぜひ一度、私たち弁護士法人かがりび綜合法律事務所にご相談ください。 私たちは、あなたの力強い味方となり、円満な解決を目指します。

弁護士法人かがりび綜合法律事務所 弁護士 野条 健人

「公正証書遺言」が最強の理由とは?トラブルを回避する3つのメリット

2025-09-05

弁護士野条健人の相続ブログ|「公正証書遺言」が最強の理由とは?トラブルを回避する3つのメリット

こんにちは。弁護士の野条健人です。 今回のブログでは、相続トラブルを未然に防ぐために、私が最もお勧めしている**「公正証書遺言」**について、そのメリットをわかりやすくお話ししたいと思います。

「遺言書」と聞くと、自分で書く「自筆証書遺言」をイメージされる方が多いかもしれません。しかし、私がこれまで多くの相続案件に携わってきた経験から、「公正証書遺言」こそが、ご家族を守る最強のツールだと断言します。

では、なぜ公正証書遺言がそれほど強力なのでしょうか。その理由を3つのメリットに分けてご説明します。


メリット1:法律の専門家が作成するから「無効」にならない

自筆証書遺言は、ご自身で気軽に作成できる一方で、書き方を少しでも間違えると、法的に無効になってしまうリスクがあります。

例えば、日付の記載がなかったり、署名がなかったり、財産の内容が曖昧だったりすると、せっかく書いた遺言書が無効と判断されてしまうのです。 そうなると、ご本人の意思は反映されず、結局は相続人全員で遺産分割協議をしなければなりません。

一方、公正証書遺言は、公証役場の公証人が、法律の専門家として、ご本人の意思を正確に聞き取り、法的に有効な文章を作成します。 そのため、「書き方が間違っていて無効になる」という心配がありません。 ご自身の想いを、確実に実現させることができるのです。

解決事例:自筆証書遺言の「無効」が招いたトラブル

ご主人が亡くなり、自筆で書かれた遺言書が見つかりました。 「すべての財産は、妻に相続させる」 と書かれていましたが、日付の記載がなく、遺言書は無効と判断されました。

その結果、ご主人のご兄弟が「私たちにも遺留分があるはずだ」と主張し、遺産分割協議は泥沼化してしまいました。 もし、ご主人が公正証書遺言を作成していれば、ご自身の意思は確実に尊重され、奥様もご兄弟も、このような辛い思いをすることはなかったでしょう。


メリット2:家庭裁判所の「検認」手続きが不要だからスムーズ

自筆証書遺言は、見つかった後、家庭裁判所で「検認」という手続きをしなければなりません。 この手続きは、遺言書を偽造・変造から守るために行うもので、相続人全員に通知が送られ、全員が立ち会う必要があります。

しかし、この手続きには、約1~2ヶ月程度の時間がかかり、手間も費用もかかります。 また、遠方に住んでいる相続人がいる場合、手続きがさらに複雑になることもあります。

一方、公正証書遺言は、公証人が作成した時点ですでに法的に有効なものとして認められているため、この検認手続きが不要です。 相続開始後、すぐに遺言書の内容に従って手続きを進めることができるので、ご家族の負担を大きく減らし、スムーズに相続を完了させることができます。

解決事例:検認手続きの煩雑さに困惑したケース

ご両親が亡くなり、遺品の中から自筆の遺言書が見つかりました。 ご兄弟は、早く相続手続きを済ませて、前に進みたいと思っていましたが、検認手続きが必要だと知り、その煩雑さに困惑しました。

兄は仕事が忙しく、妹は海外に住んでいたため、日程調整が難航しました。 その結果、手続きがなかなか進まず、ご兄弟の間で「なぜこんなに時間がかかるんだ」と不満が募り、関係がギクシャクしてしまいました。

公正証書遺言であれば、このような手続きの手間や時間がかからず、ご家族の精神的な負担も軽減できます。


メリット3:原本が公証役場で保管されるから「紛失」の心配がない

自筆証書遺言は、自宅で保管するため、紛失したり、火災などで焼失したりするリスクがあります。 また、特定の相続人が遺言書を隠したり、破棄したりする可能性もゼロではありません。

しかし、公正証書遺言は、原本が公証役場に厳重に保管されます。 そのため、紛失や偽造、破棄のリスクがありません。 ご家族に遺言書の存在を知らせておけば、万が一、見つからない場合でも、公証役場で探してもらうことができるのです。

これは、ご本人の意思が確実に守られるだけでなく、相続人全員にとっての安心材料にもなります。

まとめ

公正証書遺言は、作成に手間と費用がかかりますが、それ以上の大きなメリットがあります。 ご自身の想いを確実に実現し、何よりも**「残されたご家族が争うことなく、円満に相続を終えられる」**という安心感を得ることができます。

「遺言書はまだ早い」「自筆で書けば十分だろう」 そう思っている方もいらっしゃるかもしれません。 しかし、いざという時にご家族が困らないように、また、ご自身の最後の想いを確実に伝えるためにも、公正証書遺言の作成をぜひご検討ください。

当事務所では、ご依頼者様の想いを丁寧にヒアリングし、公証人との手続きをサポートするなど、公正証書遺言の作成を全面的にお手伝いしています。 「何から始めればいいかわからない」という方も、まずはお気軽にご相談ください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

弁護士法人かがりび綜合法律事務所 弁護士 野条 健人

弁護士野条健人の相続ブログ|「共有」は「共倒れ」の始まり?共有物分割のトラブルを避けるために

2025-09-03

弁護士野条健人の相続ブログ|「共有」は「共倒れ」の始まり?共有物分割のトラブルを避けるために

こんにちは。弁護士の野条健人です。 相続のご相談をお受けしていると、「実家が兄と私の共有名義になっているのですが、どうすればいいでしょうか?」というお悩みをよく耳にします。

一つの不動産を複数人で所有する**「共有」**は、一見すると公平なようでいて、実は将来のトラブルの火種になりかねません。私はこれを「共倒れ」と呼んでいます。

今回のブログでは、共有名義の不動産がなぜトラブルになりやすいのか、そして、その問題を解決するための**「共有物分割」**について、具体的な事例を交えながらお話ししたいと思います。


なぜ「共有」は「共倒れ」の始まりなのか?

共有名義の不動産は、次のような問題が起こりやすいのです。

  1. 意思決定が困難になる 建物の大規模な修繕や売却など、共有不動産に関する重要な決定をするには、原則として共有者全員の同意が必要です。共有者の一人でも反対すると、何も進めることができなくなってしまいます。
  2. 維持費や税金の負担をめぐる争い 固定資産税や管理費、修繕費などは、共有者全員で負担することになります。しかし、「私は住んでいないのに、なぜ私が払わなければならないのか」「もっと安く済む方法があるはずだ」といった不満から、対立が生まれることがあります。
  3. 相続がさらに複雑になる 共有者が亡くなった場合、その持分はさらに細分化され、次の世代に引き継がれます。これにより、共有者がネズミ算式に増えていき、将来的にますます意見をまとめることが難しくなります。

これらの問題が重なり、最終的には**「共有状態のまま放置」**という、最も望ましくない状態に陥ってしまうのです。

共有名義の不動産を解消する「共有物分割」とは?

「共有物分割」とは、共有名義の不動産を、共有状態から単独名義に変更するための手続きです。 この手続きには、大きく分けて以下の3つの方法があります。

  1. 現物分割
  2. 代償分割
  3. 換価分割

1. 現物分割:一つの土地を複数に分けて所有する

これは、一つの土地を物理的に複数に分割し、それぞれの共有者が単独で所有する方法です。

【解決事例:土地を分筆して解決したケース】

ご兄弟で共有していた広い土地がありました。 兄は「この土地をすべて相続し、将来はここに家を建てたい」と考えていました。一方、弟は「土地を売却して、現金で分けたい」と主張していました。 話し合いは平行線をたどっていましたが、私は、土地を2つに分割する「分筆」を提案しました。

具体的には、兄が家を建てるのに十分な面積を確保し、弟が売却しやすいように、道路に面した部分を分筆して、それぞれが単独で所有することにしました。 この方法であれば、兄は土地を守ることができ、弟は自分の持分を自由に売却して現金化することが可能になります。 結果的に、お互いの希望が叶う形で、円満に共有状態を解消することができました。


2. 代償分割:共有者が他の共有者の持分を買い取る

これは、特定の共有者が、他の共有者の持分を金銭で買い取る方法です。 共有名義の実家に住み続けたい、といった場合に有効な手段です。

【解決事例:実家を買い取って単独名義にしたケース】

ご両親が亡くなり、実家が3人兄弟の共有名義になりました。 長男は実家に住み続けたいと希望していましたが、他の兄弟はすでに持ち家があり、代償金を受け取りたいと考えていました。 長男は代償金を支払うだけの十分な現金がなかったため、話し合いが進みませんでした。

私はまず、実家の客観的な評価額を算出し、その金額を基準に代償金の金額を提示しました。 その上で、長男が代償金を支払うための資金を、金融機関からの融資でまかなうことを提案しました。 その結果、長男は実家を単独で所有することができ、他の兄弟も納得のいく代償金を受け取ることができました。


3. 換価分割:不動産を売却して代金を分ける

これは、共有不動産全体を売却し、その売却代金を共有者で分ける方法です。

【解決事例:誰も住む予定がない実家を売却したケース】

ご兄弟で実家を共有していましたが、全員が遠方に住んでおり、実家に住む予定はありませんでした。 しかし、いざ売却しようとしても、共有者の一人が「まだ売るにはもったいない」と反対し、手続きが進みませんでした。

私は、反対している共有者に対して、空き家のまま放置することのリスク(固定資産税、維持管理の手間、老朽化による価値の低下など)について、具体的に説明しました。 また、将来的にさらに共有者が増えることで、売却がますます困難になる可能性についても伝えました。 冷静な客観的事実を伝えることで、最終的に共有者全員が売却に同意し、得られた売却代金を公平に分ける形で解決することができました。

まとめ:共有状態を解消することが、将来の安心につながる

「共有」という状態は、一見、公平に見えますが、将来的に大きなトラブルに発展するリスクを抱えています。 もし、ご家族と共有名義の不動産をお持ちでしたら、将来、**「誰がどうやって使うのか」「管理費はどうするのか」**について、早い段階で話し合うことをお勧めします。

そして、話し合いが難しい場合は、専門家である弁護士にご相談ください。 弁護士は、単に法律を適用するだけでなく、皆様の間に立ち、冷静な仲介役として、最適な解決策をご提案します。 共有状態を解消することが、ご家族の絆を守り、将来の安心につながるのです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

弁護士法人かがりび綜合法律事務所 弁護士 野条 健人

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