弁護士が教える!仮想通貨の相続、どうしたらいい?
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家族が残した「デジタルな財産」に困っていませんか?
最近、相続のご相談で「故人が仮想通貨を所有していたらしいのですが、どうすればいいか分かりません」というお声をいただくことが増えてきました。 仮想通貨(暗号資産)は、目に見える現金や不動産と違い、独特の難しさがあります。
「そもそも、どこにどれくらいあるのか分からない…」 「パスワードが分からない…」 「相続税はかかるの?」
そんな疑問や不安を抱えている方のために、今回は仮想通貨の相続について、弁護士の視点から分かりやすく解説します。
仮想通貨の相続、3つのステップ
仮想通貨の相続も、基本的な流れは他の財産と同じです。
- 仮想通貨の保有状況を「調査」する
- 相続税の評価額を「計算」する
- 相続人同士で「分割」する
これらのステップを順番に進めていく必要があります。
1. 仮想通貨を「調査」する
まず最初に直面するのが、「故人がどこで、どれくらいの仮想通貨を所有していたか」という問題です。
手がかりを探す
- パソコンやスマートフォンの履歴: 仮想通貨取引所のウェブサイトやアプリの利用履歴を調べてみましょう。
- メールの履歴: 取引所からのメール(口座開設の案内、取引履歴など)が残っていないか確認します。
- 自宅の書類: 仮想通貨取引所からの郵送物が届いていないか、書類やメモを探してみましょう。
注意!「秘密鍵」やパスワードの管理 仮想通貨を取引所の口座で管理していた場合、取引所が定める手続きに従って相続手続きを進めます。しかし、**「ウォレット」**と呼ばれる個人で管理する場所に保管していた場合は注意が必要です。
このウォレットにアクセスするには、**「秘密鍵」や「シードフレーズ」**と呼ばれる情報が必要になります。この情報がないと、事実上、仮想通貨を取り出すことができません。故人がこれらの情報をどこかに残していないか、慎重に探す必要があります。
2. 相続税の評価額を「計算」する
仮想通貨も、現金や不動産と同じように相続税の課税対象になります。
評価方法は? 仮想通貨の評価額は、「相続開始日(被相続人が亡くなった日)」の終値が基準になります。 この日時の価格が、相続税を計算する際の評価額となります。 複数の取引所に口座がある場合、いずれかを選択して評価することができます。
注意! 仮想通貨は価格変動が激しい財産です。相続開始日には高額だったとしても、相続手続き中に価格が大幅に下落してしまうリスクがあります。 一方で、価格が急騰することもあり、その場合は相続税の負担が急に重くなる可能性もあります。
このようなリスクを考えると、相続税の申告期限までに正確な評価額を計算し、必要な資金を準備しておくことが大切です。
3. 相続人同士で「分割」する
仮想通貨は、複数の相続人で公平に分けることが難しい財産です。
分割方法の選択
- 換価分割: 仮想通貨を売却して現金化し、その現金を相続人で分け合う方法です。価格変動のリスクを避けることができ、公平に分けやすい方法です。
- 現物分割: 相続人全員が合意すれば、仮想通貨をそのまま特定の相続人が受け取ることも可能です。この場合、他の相続人には代償金を支払う**「代償分割」**を組み合わせることもあります。
仮想通貨の性質上、換価分割がもっともトラブルになりにくい方法と言えるでしょう。しかし、特定の相続人が「今後値上がりするから売りたくない」と主張したり、代償金の支払いで揉めたりすることもあります。
仮想通貨の相続で、なぜ弁護士に依頼すべきなの?
仮想通貨の相続は、他の財産にはない独自の難しさがあるため、トラブルに発展しやすい傾向があります。弁護士に依頼することで、これらの問題をスムーズに解決することができます。
1. 仮想通貨の「探索」をサポート
故人が利用していた取引所が分からない、パスワードが分からずアクセスできない、といった場合に、弁護士が調査をサポートします。 特に、**「秘密鍵」**が見つからない場合、法的な手続きでは解決できないため、弁護士もできることは限られます。しかし、取引所への問い合わせや、他の財産から手がかりを探すなど、可能な限りのサポートを行います。
2. 複雑な法律問題・税務問題の整理
仮想通貨の相続には、法的な知識だけでなく、税務の知識も不可欠です。 弁護士は、法律的な観点から財産の権利関係を整理し、税理士とも連携して、正確な評価額を算定するサポートを行います。 「相続税がいくらになるのか」「どのように納税すればいいのか」といった不安を解消することができます。
3. 遺産分割協議の「中立な」仲介役
仮想通貨の分割方法で意見が対立した場合、当事者だけで話し合っても感情的な対立が深まるばかりです。 弁護士は、あなたの代理人として、他の相続人との交渉を代行します。それぞれの主張を冷静に聞き取り、法的根拠に基づいた解決策を提案することで、公平で円満な合意形成を促します。
4. 隠された財産・「使い込み」の調査
「故人が生前、多額の現金を仮想通貨に換えていたかもしれない」「特定の相続人が、生前に仮想通貨を自分の口座に移していたようだ」といった疑いがある場合、弁護士が調査を行います。 銀行口座の取引履歴の開示請求や、関係者へのヒアリングを通じて、隠された財産の有無や、不当な「使い込み」の事実を明らかにします。
相続の不安、まずは専門家へ相談を
仮想通貨の相続は、まだ新しい分野であり、取引所ごとに手続きが異なるなど、情報も流動的です。 「どうすればいいか分からない」「手続きが複雑で手につかない」と感じたら、一人で抱え込まず、早めに弁護士にご相談ください。
私たち弁護士は、あなたの状況に合わせて、一つひとつ丁寧にサポートします。 大切な家族が残してくれた財産を、安心して引き継げるよう、全力でお手伝いさせていただきます。
初回相談を無料としている法律事務所も多いので、まずは一度、専門家にご自身の状況をお話ししてみてはいかがでしょうか。
まとめ
- 仮想通貨も相続財産となり、相続税の課税対象です。
- 相続手続きは、**「発見」「評価」「分割」**の3ステップで進めます。
- **「秘密鍵」**やパスワードが分からないと、仮想通貨を取り出せないリスクがあります。
- 弁護士は、調査のサポート、法律・税務の整理、遺産分割協議の仲介など、仮想通貨の相続特有の問題を解決するサポートを行います。
- 複雑な問題に直面したら、早めに専門家へ相談することが、円満な解決への近道です。