
弁護士法人かがりび綜合法律事務所は、大阪で相続問題、遺産分割に強い弁護士として、皆様の円満な相続をサポートしています。
本記事では、ご自身の生前に財産承継に関する計画を立てる「生前対策」について、基本的な定義とその目的、なぜ現代においてその準備が不可欠なのか、具体的なメリット、そして注意点を徹底的に解説します。
単なる財産管理に留まらない、ご家族への「思いやり」としての側面を強調します。
このページの目次
生前対策とは?円満な相続のための事前準備
ご自身の財産を次世代へ円滑に引き継ぐため、そしてご家族の将来の安心のために、生前からの対策は不可欠です。
遺言書の作成、生前贈与、家族信託の検討など、お客様の状況に応じた最適な「生前対策」を総合的にサポートいたします。相続税対策だけでなく、ご家族間の争いを未然に防ぎ、お客様のご意向を最大限に尊重したプランをご提案します。早めの対策が、将来の安心へと繋がります。
相続における「生前対策」の定義と重要性
生前対策とは、将来の相続に備え、ご自身の生前に財産の分配方法や管理方法を計画し、実行することを指します。これは、単にご自身の財産を整理するだけでなく、ご自身の逝去後に残されたご家族が困らないようにするための手続き全般を意味します。主な目的は、相続発生時のトラブルや税負担を軽減し、円滑な資産承継を実現することにあります。
相続問題は往々にして被相続人の逝去後に顕在化する遺産分割や税金に関する紛争として認識されがちです。しかし、生前対策は、将来の相続に備え、ご自身の生前に計画を立て実行するという、より積極的なアプローチを採ります。
この事前対応型の法務は単に問題発生後の解決に留まらず、トラブルそのものを未然に防ぐことで、依頼者の生活全般の質を高めることに繋がります。
生前対策は、相続税の節税対策に加えて、相続人同士の紛争を未然に防ぐこと、そして残されたご家族の生活や精神的な負担を考慮することなど、多岐にわたる側面を含んでいます。
これは、ご自身の「ご家族への思いやり」を具体的な形にする作業でありご家族が争うことなく、感謝の気持ちで財産を受け取れるようにするための大切な準備と言えます。
なぜ今、生前対策が必要なのか?(突然の相続、健康寿命との差)
遺言書の作成や生前贈与、信託契約といった重要な生前対策は、判断能力が低下した後では実行が困難となるため、ご自身の意思を確実に反映させるためには、まだお元気なうちに準備を開始することが不可欠です。
また思わぬ病気や事故で突然相続が始まる可能性もゼロではありません。
生前対策は、早く始めれば始めるほど選択肢が広がり、より計画的で効果的な対策を講じることが可能になります。特に財産が多い場合や、特定の相続人に財産を残したい場合は、早期の準備が極めて重要となります。
生前対策の主な目的:トラブル回避と税負担軽減
この記事では、生前対策が目指す二大目的、すなわち「遺産分割トラブルの予防」と「相続税の負担軽減」について、具体的な方法論とそれがもたらす効果を詳細に解説します。
遺産分割トラブルの予防
ご自身が逝去した後、相続人同士のトラブルに発展するケースは少なくありませんが、その多くは「遺産の分け方」が原因となっています。遺言書がなければ、相続人全員で話し合い(遺産分割協議)によって財産の分け方を決めることになり、特に不動産など分けにくい財産が含まれる場合や、相続関係が複雑な場合に揉める傾向があります。
法的に有効な遺言書を残すことで、財産の分配方法を明確に示すことができ、遺産分割におけるトラブルを未然に防ぎます。極端な話、「特定の相続人にだけ多くの遺産を渡す」といった希望も、遺言によって法的に優先されます(ただし、遺留分には配慮が必要です)。
遺言書は、ご自身の最終意思を法的に拘束力のある形で示す重要な文書であり、その法的有効性が強調されます。しかし、遺言書作成における重要な側面として、ご家族の理解も不可欠です。
法的に完璧な遺言書であっても、その内容がご家族に事前に共有されず、感情的な納得感が得られない場合、遺留分侵害額請求といった法的な争いに発展しなくとも、ご家族間の感情的な溝や関係の悪化、最悪の場合「絶縁状態」を招く可能性があります。
真に円満な相続とは、法的な解決に加えて、ご家族の関係性が維持されることを意味します。
弁護士は、単に法律の専門家として遺言書を形式的に作成するだけでなく、依頼者のご家族構成や関係性を深く理解し、遺留分などの法的制約を踏まえつつ、ご家族間の合意形成を促すアドバイスを提供することで、より本質的なトラブル予防に貢献することが期待されます。
相続税の負担軽減と納税資金の確保
一定額以上の遺産には相続税が課されます。計画的な生前対策を講じることで、この相続税の負担を大幅に軽減することが可能です。生前贈与や生命保険の活用が有効な手段となります。
例えば、年間110万円の非課税枠を利用した生前贈与は、長期的に見れば大きな節税効果をもたらします。また、自己資金でアパートを購入するなど、資産を組み替えることで相続税評価額を下げ、課税負担を軽減する方法もあります。
相続税の負担軽減は生前対策の重要な目的の一つですが、納税資金の確保も同様に不可欠な課題です。相続税は原則として現金で一括納付が求められます。不動産など換金しにくい財産ばかりの場合、相続人が納税資金を確保できず困るケースがあります。
納税資金が不足した場合、相続人は急遽不動産を売却せざるを得なくなり、市場価格より低い価格での売却や、売却にかかる時間、譲渡税、仲介手数料などの追加負担が発生するリスクがあります。
これは、せっかくの節税効果を相殺してしまう可能性を秘めています。このようなリスクに備え、生前に現金や預貯金を確保しておく、生命保険金でカバーする、あるいは不動産の一部を売却しておくなどの準備が必要です。
真に効果的な生前対策は、単に相続税額を減らすだけでなく、その税金を円滑に支払うための資金計画まで含めて検討する必要があります。生命保険の非課税枠活用は、この流動性確保と節税を両立させる優れた手段として注目されます。
残されたご家族の負担軽減と安心
ご自身の財産状況が不明瞭なまま相続が発生すると、ご家族は故人を失った深い悲しみの中で、銀行口座の凍結、不動産の名義変更、税務申告といった複雑かつ不慣れな手続きに追われることになります。これは計り知れない精神的・時間的負担となり、申告漏れや余計な税負担、ご家族間の不信感を招く原因ともなり得ます。
生前に対策を講じ、財産目録やエンディングノートで必要な情報を整理し、意思を明確にしておくことは、ご家族が直面するこれらの負担を劇的に軽減します。これは単なる実務的な利便性だけでなく、故人からご家族への「最後の思いやり」であり、ご家族が故人を穏やかに見送るための環境を整える「安心」という無形の贈り物に他なりません
生前対策は、ご家族への深い愛情と配慮の最終表現であり、ご家族が最も困難な時期に直面するであろう精神的・実務的負担を最小限に抑えるための究極の贈り物と言えるでしょう。
特定の意思を反映した財産承継の実現
相続は往々にして、ご自身の逝去後の財産分配という受動的な行為として捉えられがちです。しかし、生前対策、特に遺言書や家族信託の活用は、「誰に何を、どのように残したいか」というご自身の明確な意思を反映させることを可能にします。
これは、単に財産を「残す」だけでなく、ご自身の人生観や価値観、特定の関係性への感謝を「形にして未来に繋ぐ」という、より能動的な行為です。例えば、「特定の相続人に遺産を多く残したい」という希望がある場合、その希望を中心に対策方法を検討することができます。
この能動性により、法律で定められた法定相続分という画一的なルールを超えて、ご自身の具体的な意図、例えば特定の相続人への優遇や非相続人への遺贈を実現することが可能となります。
生前対策がもたらす具体的なメリット
ここでは、生前対策を行うことで得られる具体的な恩恵を、多角的な視点から詳細に解説します。
ご家族間の争いを未然に防ぐ効果
多くの人々は、「自分の家族は仲が良いから、相続で揉めることはないだろう」と考えがちです。しかし、相続トラブルは高額な財産を持つ家庭だけでなく、相続税がかからない「普通の家庭」でも発生しているのが実情です。
遺産分割の割合、不動産の分け方、特定の相続人による遺産の独占主張、相続人の多さ、あるいはこれまで知らなかった相続人の存在、寄与分に関する主張など、トラブルの原因は多岐にわたり、これらはどの家庭にも起こりうる普遍的な問題です。
遺産分割は、故人の死という感情的な状況下で行われるため、普段は良好なご家族関係であっても、金銭や権利が絡むと感情的な対立が生じやすくなります。事前の明確な意思表示や話し合いがないと、些細な不満が大きな争いに発展する可能性があります。
遺言書によって財産の分け方を明確にしたり、ご家族全員で事前に話し合いを行い合意形成を図ったりすることで、相続人間でのトラブルを効果的に防ぐことができます。この一般的な誤解を解消し、どんな家庭でもトラブルのリスクがあることを認識することが、生前対策の必要性を強く認識する第一歩となります。
計画的な節税対策による経済的メリット
相続財産の額が基礎控除額を超える場合、相続税が課税されますが、早めに準備を始めることで、相続財産を基礎控除額の範囲内に収めたり、近づけたりすることが可能になり、相続税の負担を軽減できます。
生前贈与における年間110万円の非課税枠は、一見すると少額に見えるかもしれません。しかし、この非課税枠は毎年利用可能であり、例えば20年間継続すれば、合計で2,200万円もの財産を非課税で移転することが可能です。
この「継続性」こそが、生前対策における節税効果を飛躍的に高める要因となります。早く始めれば始めるほど、この複利のような効果が大きくなり、結果として将来の相続税総額を大幅に減らすことが可能になります。
また、生命保険の非課税枠(500万円×法定相続人の数)を活用することも、大きな節税効果をもたらします。この視点は、単に「節税できる」というだけでなく、「今すぐ始めることの経済的な合理性」を強く示唆しており、長期的な資産計画において極めて重要な要素となります。
認知症など将来のリスクへの備え
前述の通り、健康寿命と平均寿命の差により、将来的に判断能力が低下し、ご自身の意思表示が困難になるリスクがあります。ご自身の判断能力が低下すると、銀行口座が凍結され、不動産の売却や修繕ができなくなるなど、財産管理に大きな支障が生じるだけでなく、ご本人の意向が反映されないまま法定後見制度が適用されるリスクも存在します。
このリスクに備えるため、任意後見制度や家族信託といった制度を活用できます。任意後見制度は、ご自身が元気なうちに、将来の財産管理や介護、医療に関する事務を任せる「任意後見人」を契約で定めておく制度です。ご自身の意思を反映させながら、認知症になっても財産が適切に管理される安心感を得られます。
家族信託は、ご自身の財産を信頼できるご家族(受託者)に託し、ご自身の定めた目的に従って管理・運用・承継してもらう仕組みです。
遺言書がご自身の「死後」の財産分配に特化しているのに対し、家族信託は、ご自身の「生前」における意思能力低下時の財産管理と意思実現に対応する重要なギャップを埋める制度です。特に家族信託は、単に認知症対策に留まらず、ご自身の財産を「生きたまま」で、ご自身の意思に基づき、世代を超えてコントロールし続けることを可能にします。
例えば、特定の孫への贈与を特定の時期に行う、事業承継を円滑に進める、あるいは共有名義の不動産管理といった複雑な課題にも、柔軟かつ多世代にわたる資産承継計画を実現できます。
これらの制度は、ご自身の財産に対する「究極のコントロール」を実現し、未来の不確実性に対応できる強固な基盤を提供するため、弁護士がご自身の具体的な状況に合わせて設計・構築する専門知識が不可欠です。
スムーズな手続きとご家族の精神的負担軽減
生前に対策を講じておくことで、相続発生後の財産調査や名義変更、税務申告といった各種手続きが格段にスムーズに進みます。特に、相続放棄や限定承認の申述期限(相続を知ってから3ヶ月以内)など、期限が定められた手続きにも迅速に対応できるようになります。
財産目録やエンディングノートで必要な情報をまとめておくことで、ご家族が混乱することなく、手続きを進めることができます。これにより、申告漏れや余計な税負担、ご家族間の不信感を招くリスクを回避できます。
ご家族は、故人の死という大きな悲しみの中で、不慣れで複雑な相続手続きに直面することが少なくありません。財産調査、書類収集、名義変更、税務申告など、これらの手続きは計り知れない精神的・時間的負担となります。
生前に対策を講じ、財産目録やエンディングノートで必要な情報を整理し、遺言書で意思を明確にしておくことは、ご家族が直面するこれらの負担を劇的に軽減します。これは単なる実務的な利便性だけでなく、故人からご家族への「最後の思いやり」であり、ご家族が故人を穏やかに見送るための環境を整える「安心」という無形の贈り物に他なりません
生前対策の具体的な方法と種類
このセクションでは、生前対策として具体的にどのような方法があるのかを、それぞれの特徴や目的、注意点とともに詳しく解説します。
遺言書の作成とその重要性(公正証書遺言の活用)
遺言書は、ご自身の逝去後に財産を「誰に」「何を」渡すかを明確に決定できる最も強力な方法です。これにより、遺産分割におけるトラブルを未然に防ぎ、ご自身の意思を最大限に尊重した財産承継を実現できます。法定相続人以外の人に財産を残すことも可能です。
公正証書遺言は、公証役場で公証人が作成するため、形式不備のリスクが極めて低く、法的効力が強く、紛失や偽造の心配もありません。
しかし、各相続人には「遺留分」という最低限の財産の取り分が法律で保証されているため、遺言書の内容が遺留分を侵害しないよう配慮が必要です。また、形式不備や、遺言内容に対するご家族の理解不足はトラブルの原因となる可能性があります。
弁護士は、遺言書作成において、法的専門知識だけでなく、ご家族間の繊細な関係性にも配慮し、円満な承継のためのコミュニケーション支援も行えるため、遺言書は単なる死後の指示書ではなく、ご家族の絆を守るための「生きたコミュニケーションツール」となり得るのです。
生前贈与の活用(非課税枠、相続時精算課税制度)
将来の相続人に財産を贈与することで、全体の財産を減少させ、相続税の節税効果を得ることができます。また、特定の財産を特定の相続人に確実に渡す「遺産分割効果」も期待できます。
年間110万円までの贈与は非課税となる「暦年課税」の非課税枠を最大限に活用することで、長期的に大きな節税効果を生み出します。また、累計2500万円までの贈与が非課税となる「相続時精算課税制度」も存在し、贈与時には贈与税がかからず、相続時に他の相続財産と合算して相続税を計算します。
ただし、一度この制度を選択すると暦年課税の非課税枠は利用できなくなる点に注意が必要です。
生前贈与は、相続税の節税に非常に有効な手段として広く認識されています。しかし、この強力なツールは、適切な知識と計画なしに進めると、大きなリスクを伴う「諸刃の剣」となり得ます。
例えば、贈与には多額の贈与税が発生するリスクが高く、節税のつもりがかえって増税にならないよう、非課税制度の適切な活用が不可欠です。
また、相続開始前3年以内の贈与は相続税の課税対象となる「持ち戻し」の規定があり、税制の特例や控除を活用しようとしても、要件を満たしていなかったために適用できず、結果的に税金が高くなってしまう事例も報告されています。
これらの事実は、生前贈与が単に財産を渡す行為ではなく、複雑な税法と相続法の知識が不可欠であることを示唆しています。
家族信託・任意後見制度の利用
これらの制度は、ご自身の判断能力が低下した場合に備え、財産管理や意思決定を円滑に行うための対策です。
任意後見制度は、ご自身が元気なうちに、将来の財産管理や介護、医療に関する事務を任せる「任意後見人」を契約で定めておく制度です。ご自身の意思を反映させながら、認知症になっても財産が適切に管理される安心感を得られます。
家族信託は、ご自身の財産を信頼できるご家族(受託者)に託し、ご自身の定めた目的に従って管理・運用・承継してもらう仕組みです。単に認知症対策に留まらず、ご自身の財産を「生きたまま」で、ご自身の意思に基づき、世代を超えてコントロールし続けることを可能にします。
例えば、特定の孫への贈与、事業承継、共有名義不動産の管理など、柔軟かつ多世代にわたる資産承継を可能にします。ただし、家族信託は契約内容が複雑になりがちで、専門家のサポートが不可欠です。任意後見制度も発動手続きや費用がかかります。
生命保険の活用
生命保険は、相続税対策と納税資金の確保という二つの大きな目的を同時に達成できる有効な手段です。相続対策には、相続税の「節税」と「納税資金の確保」という二つの主要な課題が存在し、これらは時に相反することもあります。
しかし、生命保険は、その特性上、保険金が「現金」で支払われるため、相続税の納税資金を直接的に確保できるという大きな利点があります。同時に、「500万円×法定相続人の数」の生命保険金は相続財産に含める必要がなく、非課税となります。これにより、相続財産全体を減らし、相続税の節税に繋がります。
例えば、相続人が3人の場合、1,500万円(500万円×3人)までの生命保険金が非課税枠となり、この範囲内で余裕資金を生命保険に変えるだけで、相続税がゼロになるケースも存在します。
この「現金での納税資金確保」と「非課税による節税」という二つのメリットを同時に提供できる点が、生命保険の他の生前対策にはない独自の強みであり、非常に実用的かつ効率的なツールと言えます。
ただし、非課税枠を超過した場合や、受取人設定のミスがあると、意図した効果が得られない可能性があります。
財産目録の作成とエンディングノートの活用
生前対策には、遺言書、生前贈与、家族信託など多岐にわたる方法が存在しますが、その全てにおいて不可欠な最初のステップが、ご自身の財産を正確に把握し、リスト化する「財産目録」の作成です。
不動産、預貯金、株式、保険、借金など、全ての財産を網羅的に把握することで、ご家族が故人の財産状況を正確に理解でき、相続手続きの複雑化や申告漏れ、ご家族間の不信感を防ぐことができます。
自身の財産全体を正確に把握していなければ、どの財産をどのように分割するか、どの方法が節税に最も効果的か、どのリスクに備えるべきかなど、具体的な生前対策の計画を立てること自体が不可能となります。財産目録の作成は、他の全ての生前対策の前提条件であり、その効果を最大化するための強固な「基礎」を築くことになります。
エンディングノートは、契約している銀行口座や生命保険、連絡先、財産状況、葬儀やお墓に関する意向などをまとめておくことで、ご自身の逝去後にご家族の負担を減らすことができます。
ただし、エンディングノートには遺言書のような法的効力はないため、法的な拘束力を持たせたい内容は遺言書で別途定める必要があります。財産目録とエンディングノートを併せて活用することで、ご家族は故人の意思を尊重しつつ、混乱なく手続きを進めることが可能になります。
結論
生前対策は、単なる財産管理や節税に留まらず、ご自身の意思を尊重し、ご家族間の将来のトラブルを未然に防ぎ、残されたご家族の精神的・実務的負担を軽減するための、極めて重要な事前準備です。
平均寿命と健康寿命の乖離や、予期せぬ事態の発生を考慮すると、「いつかやろう」ではなく「今できることから始める」ことの緊急性が明確になります。
遺言書の作成、生前贈与の活用、家族信託や任意後見制度の利用、生命保険の活用、資産の組み換え、そして財産目録やエンディングノートによる情報整理は、それぞれが持つ特性を理解し、ご自身の状況に合わせて組み合わせることで、最大の効果を発揮します。
しかし、これらの対策は複雑な法律や税制が絡み、その実行には専門的な知識と経験が不可欠です。誤った方法や準備不足は、かえってご家族に負担をかけたり、意図しない税負担を生じさせたりするリスクを伴います。
また、税制や法改正への継続的な対応、そして何よりもご家族間のオープンな対話と合意形成が、真に円満な相続を実現するための鍵となります。
弁護士法人かがりび綜合法律事務所は、大阪で相続問題、遺産分割に強い弁護士として、これらの多岐にわたる生前対策を、ご依頼者様一人ひとりのご状況とご希望に合わせて総合的にサポートいたします。
法的有効性はもちろんのこと、ご家族間の調和を最大限に尊重した、最適な生前対策プランをご提案し、ご自身の「家族への思いやり」を確実に未来へ繋ぐお手伝いをさせていただきます。相続に関するご不安やお悩みをお持ちの方は、ぜひ一度ご相談ください。
解決事例
この事例の依頼主 女性
相談前の状況相談者様はまだまだお元気なお歳ではありましたが、子供らのうちに次女に特に相続させたいものがありました。次女は相談者様の日ごろのサポートも行っていますが、やや障害もあってなかなか今後の生活に不安があるということでしたので、どのようにして大切な財産を大切な次女に遺すのか検討していきたいということで、まずご相談に乗ることからはじめました。
解決への流れ相談に乗らせて頂き、どのようなプランニングにするかも含めて何度も打ち合わせ致しました。そして、最終的には公正証書遺言により遺言を残すことにして、円満に手続きが終わりました。

野条 健人
遺言にも幾つか種類がありメリットデメリットもあります。
例えばですが、自筆証書遺言は、遺言書が発見されない危険や、遺言が無効となってしまう危険を十分に払拭できないですし、秘密証書遺言では遺言無効の危険は払拭されません。他方、公正証書遺言は自筆証書遺言や秘密証書遺言に比べ、事後に遺言能力が争われる危険も低いです。
他にも信託など相続財産の設計プランニングができますので、御覧になって頂いている方で、自分の父や母のことで今のうちから考えておいた方がよいと思うかたは遠慮なくご相談ください。
お客様の声・感謝の声
弁護士法人かがりび綜合法律事務所をご利用いただいたお客様から寄せられた、生前対策・遺言・遺産分割手続きに関する感謝の声を5つご紹介します。
自分の家族は仲が良いから大丈夫」と思っていましたが、先生から相続トラブルの事例を聞き、将来への不安を感じました。特に、次女に特別な思いがあり、その意思を確実に反映させるための公正証書遺言の作成をサポートしていただきました。形式不備の心配もなく、家族間の無用な争いを未然に防げたことに心から感謝しています。先生のおかげで、家族への「最後の思いやり」を形にできました。
相続税の対策として生前贈与に関心はありましたが、具体的な方法が分からず、後回しにしていました。先生から、暦年贈与の年間110万円の非課税枠を長期的に活用するメリットや、生命保険の非課税枠について詳しく教えていただき、目から鱗でした。
早く始めることの重要性を実感し、計画的な節税プランを立てられたことで、将来の経済的負担が大きく軽減できると確信しています。
高齢になり、認知症になった時の財産管理について漠然とした不安がありました。先生から任意後見制度や家族信託について丁寧に説明していただき、自分の意思を反映させながら財産管理ができる方法があることを知り、大変安心しました。
特に家族信託は、私の財産を信頼できる家族に託し、将来にわたって管理してもらえる点が魅力的でした。これで安心して老後を過ごせます。
父の相続で、財産調査や手続きに大変な苦労をした経験から、自分は家族に同じ思いをさせたくないと考えていました。先生の勧めで財産目録の作成とエンディングノートの活用を始めました。
全ての財産をリスト化し、家族へのメッセージも残せたことで、もしもの時に家族が困らないように準備できたと確信しています。これは、家族への「安心」という最高の贈り物だと感じています。
親の相続について、兄弟間で揉めないか心配でした。弁護士法人かがりび綜合法律事務所の先生は、遺言書作成の重要性はもちろん、家族間のコミュニケーション支援まで含めてサポートしてくださいました。法定相続分に囚われず、親の具体的な意図を反映させるためのアドバイスは非常に参考になりました。
将来の遺産分割トラブルを未然に防ぐための、まさに「生きたコミュニケーションツール」としての役割を果たしていただき、心から感謝しております。