遺留分をめぐるトラブルは、時に裁判に発展することがあります。
この記事では、遺留分侵害額請求に関する裁判例や判例を紹介し、トラブルの具体的な解決策を解説します。
このページの目次
遺留分トラブルでお悩みの方へ
相続における遺留分の重要性とトラブルの現状
相続は、故人の遺志を尊重し、残された財産を適切に分配する重要な手続きです。しかし、この手続きが円滑に進まない場合、親族間で感情的な対立が生じ、深刻なトラブルに発展することが少なくありません。
特に、「遺留分」は、特定の相続人に最低限の財産取得を保障する民法上の権利であり、これが侵害されることで多くの紛争が引き起こされています。
実際に、遺産分割に関するトラブルに次いで、「遺留分に関するトラブル」が相続問題全体の約33%を占めることが示されています。これは、遺留分が相続争いの主要な原因の一つであることを明確に示しています。
さらに、相続争いは富裕層に限った問題ではなく、遺産総額が5,000万円以下のケースが全体の8割弱を占めるなど、一般家庭においても頻繁に発生しているのが現状です。
このような状況の背景には、相続人一人ひとりが「自分の取り分」を強く主張する感情的な側面が深く影響していると考えられます。遺言書の内容が特定の相続人に偏っていたり、一部の相続人に生前贈与が行われたりするといった具体的な事象が、遺留分侵害の認識を生み出し、それが直接的にトラブルへと繋がる構造が見て取れます。
特に、遺産が少ないケースほど争いが起きやすいという事実は、個々の相続人にとっての「取り分」の重要性が、遺産総額の大小に関わらず、心理的に大きく影響することを物語っています。
また、相続トラブルの相手として50.5%が「自分の兄弟姉妹」と回答しており、最も身近な関係性の中で争いが生じやすい傾向が明らかになっています。
このような争いは、単なる金銭問題に留まらず、「骨肉の争い」と表現されるように、家族や親族間の関係性を長期にわたって破壊する可能性を秘めています。
遺留分に関する問題は、この関係性悪化の引き金となる主要な法的論点であり、その解決は単なる財産分与以上の、家族の絆を守るための意味合いを持つと言えるでしょう。
弁護士に相談するメリット
遺留分をめぐる問題は、民法や関連判例に関する専門的な知識が不可欠であり、親族間の感情的な対立が絡むため、当事者間のみで円満な解決を図ることは極めて困難です。弁護士は、このような複雑な状況において、法的根拠に基づいた冷静な交渉、調停、あるいは訴訟を通じて、公正かつ円満な解決へと導く専門家です。
早期に弁護士に相談することで、不要な感情的摩擦を避け、適切な法的手段を講じることが可能になります。
遺留分とは?基礎知識と計算方法
遺留分とは、民法によって定められた、一定範囲の相続人(遺留分権利者)が、被相続人の遺産に対して最低限取得することを保障されている割合のことです。
この制度の主な目的は、被相続人が亡くなった際に、残された一定範囲の相続人の生活を保障すること、そして共同相続人間の公平性を確保することにあります。
例えば、被相続人が有効な遺言書で「長男にすべての遺産を相続させる」と定めた場合でも、長男以外の遺留分権利者は、遺留分が侵害されていると主張し、「遺留分侵害額請求権」を行使することで、侵害された遺留分に相当する金銭を取り戻すことが可能です。
遺留分は、被相続人の財産処分の自由を制限し、相続人の権利を保護するための重要な制度です。
遺留分権利者となるのは、以下の範囲の相続人です。
- 被相続人の配偶者
- 被相続人の子(子が先に死亡している場合は、その子の子、すなわち孫などの直系卑属が代襲相続人として遺留分権利者となります)
- 被相続人の父母(父母が先に死亡している場合は、その父母の父母、すなわち祖父母などの直系尊属が遺留分権利者となります)
重要な点として、被相続人の兄弟姉妹は、法定相続人ではありますが、遺留分権利者には含まれません。
遺留分の計算は、「遺留分算定の基礎となる財産 × 個別的遺留分割合」という計算式で算出されます。
① 遺留分算定の基礎となる財産の計算
遺留分算定の基礎となる財産は、以下の財産を合計し、そこから被相続人の債務(借金などのマイナスの財産)を控除して計算されます。
- 被相続人が相続開始時(死亡時)に有していた財産(現金、預貯金、不動産、有価証券、自動車など)の合計額。
- 相続人に対して相続開始前10年以内になされた生前贈与。
- 相続人以外の人に対して相続開始前1年以内になされた生前贈与。
遺留分算定の基礎となる財産の範囲が、相続開始時の財産だけでなく、過去の贈与にまで及ぶ(特に相続人への生前贈与は10年間、第三者への贈与は1年間)というルールは、遺留分侵害額請求の複雑性を高める主要な要因となります。
これは、単に現在の財産状況を見るだけでなく、被相続人の生前の金銭の流れや財産処分の履歴を詳細に調査する必要があることを意味します。
特に、不動産など絶対的な評価方法が存在しない資産の場合、その評価額を巡って相続人間で争いが生じることが頻繁にあり、これが紛争の長期化や複雑化を招く典型的なパターンです。このような複雑な財産評価や過去の取引の調査には、専門家である弁護士の介入が不可欠となります。
② 個別的遺留分割合の計算
次に、各遺留分権利者の「個別的遺留分割合」を計算します。これは、各相続人の「法定相続分 × 遺留分割合」により算出されます。
③ 遺留分の金額の計算
上記で明らかになった「遺留分算定の基礎となる財産」と「個別的遺留分割合」を掛け合わせることで、最終的な遺留分の金額が算出されます。
遺留分権利者と遺留分割合一覧
相続人の構成によって、遺留分の割合は異なります。
以下に主なケースにおける遺留分割合を示します。この表は、自身のケースに当てはめて遺留分の概算を把握する上で非常に有用です。
相続人の構成 | 総体的遺留分 | 個別的遺留分(各相続人) |
配偶者のみ | 1/2 | 配偶者:1/2 |
配偶者・子1名 | 1/2 | 配偶者:1/4、子:1/4 |
配偶者・子2名 | 1/2 | 配偶者:1/4、子:1/8ずつ |
子のみ(2名) | 1/2 | 子:1/4ずつ |
父母のみ | 1/3 | 父母:1/6ずつ |
配偶者・父母 | 1/2 | 配偶者:1/3、父母:1/12ずつ |
兄弟姉妹のみ | 遺留分なし | 遺留分なし |
遺留分計算シミュレーション例
具体的な金額を用いたシミュレーションは、抽象的な割合だけでは理解しにくい遺留分の実態を明確に示します。
これにより、読者が自身の状況と重ね合わせることで、遺留分侵害の有無やその金額感を具体的に把握でき、弁護士への相談の必要性を強く認識するきっかけとなります。
相続財産 | 4,000万円(借金などの債務はなし) | ||
相続人 | 被相続人の配偶者と子ども2人(長男、長女) | ||
遺言内容 | 「長男にすべての遺産を相続させる」 | ||
計算結果 | 配偶者の個別的遺留分 | 1/2(法定相続分) × 1/2(遺留分割合)= 1/4(個別的遺留分割合) | |
遺留分の金額 | 4,000万円 × 1/4 = 1,000万円 | ||
長女の個別的遺留分 | 1/4(法定相続分) × 1/2(遺留分割合)= 1/8(個別的遺留分割合) | ||
遺留分の金額 | 4,000万円 × 1/8 = 500万円 |
相続財産 | 3,200万円 | |
相続人 | 配偶者、子1名 | |
計算結果 | 総体的遺留分 | 3,200万円 × 1/2 = 1,600万円 |
配偶者の個別遺留分 | 3,200万円 × 1/4 = 800万円 | |
子1名の個別遺留分 | 3,200万円 × 1/4 = 800万円 |
遺留分をめぐるトラブルの典型例
遺留分に関するトラブルは、その性質上、親族間の感情的な対立を伴いやすく、解決が複雑化する傾向があります。
ここでは、よく見られる典型的なトラブルのパターンを解説します。
被相続人が特定の相続人(例えば長男)に全財産を相続させるという遺言を残した場合、他の相続人の遺留分が侵害されることは、遺留分トラブルの最も典型的なパターンです。
遺言書が存在することを理由に、遺留分の支払いを拒否する相続人もいますが、遺留分は民法で保障された権利であり、遺言書の内容によっても奪われることはありません。
このような場合、遺留分権利者は遺留分侵害額請求を行うことで、正当な権利の回復を求めることになります。
被相続人が生前に一部の相続人に多額の財産を贈与したり、相続人以外の人に遺贈(死因贈与を含む)を行ったりすることで、他の相続人の遺留分が侵害されるケースも頻繁に発生します。
遺留分侵害額請求の対象となる生前贈与は、相続人に対するものは相続開始前10年間に行われたもの、相続人以外に対するものは相続開始前1年間に行われたものと定められています。
2019年7月1日に施行された改正民法により、遺留分減殺請求は「遺留分侵害額請求」へと名称が変更され、その性質も大きく変わりました。改正前は、遺留分を侵害された財産を現物で取り戻す「現物返還」が原則でしたが、改正後は金銭での請求が原則となりました。
この改正は、遺留分侵害によって共有関係が生じるなど、現物返還が新たな問題を生み出す可能性があった点を解消し、より実務的な解決を促進することを目的としています。
また、生前贈与の持ち戻し期間が10年に限定されたことは、過去の非常に古い贈与によるトラブルが長期化するのを防ぎ、遺留分算定の透明性と効率性を高める効果があります。この法改正の正確な理解と適用は、弁護士の専門性を示す重要な要素となります。
遺留分侵害額を算定する上で、相続財産や生前贈与された財産の評価は極めて重要です。特に不動産のように、絶対的な評価方法が存在せず、評価額に幅が生じやすい資産の場合、その評価額を巡って相続人間で激しい争いが生じることが頻繁にあります。
評価額の違いは、遺留分侵害の有無やその金額に直接的な影響を与えるため、客観的かつ適正な評価が不可欠となります。
遺留分侵害額の支払いを拒否されるケース
正当な遺留分侵害額請求が行われたにもかかわらず、相手方相続人が支払いに頑として応じない、あるいは支払う現金がないと主張するケースも少なくありません。
このような場合、話し合いでの解決は困難であり、家庭裁判所での調停や訴訟といった法的手続きを通じて解決を図る必要が生じます。
時効・除斥期間に関する問題
遺留分侵害額請求権には、行使できる期間が定められています。遺留分権利者が相続の開始と、遺留分を侵害する贈与または遺贈があったことを知った時から1年間行使しない場合、または相続開始から10年間が経過した場合、この権利は時効によって消滅します。この期間の認識のずれや、権利行使の意思表示が適切に行われたかどうかが争点となることがあります。
特に、遺留分侵害額請求権の時効は、精神上の障害により事理弁識能力を欠く常況にある者に法定代理人がいない場合、一定の条件下で停止されるという最高裁判例(平成26年3月14日判決)が存在します。この判例は、民法158条1項に関連するものであり、相続人の高齢化や認知症の増加という現代社会の傾向と密接に関連しています。
この判例が示すのは、単に法律の条文を形式的に適用するだけでなく、個別の事情、特に相続人の意思能力の状態が、権利行使の可否や時効の進行に重大な影響を与えるということです。そのため、弁護士は個々のケースを慎重に検討し、適切な法的措置を講じる必要があり、依頼者の状況を深く理解し、その権利を守るための専門性と倫理観が求められます。
遺留分に関する主要な裁判例・判例解説
遺留分に関する法的な判断は、民法の条文だけでなく、過去の裁判例・判例によってその解釈や適用が具体化されてきました。特に最高裁判例は、その後の実務に大きな影響を与えるため、その動向を把握することは極めて重要です。
最高裁判例の紹介と実務への影響
判例概要
この事案は、遺言によって相続分がないと指定された相続人が遺留分侵害額請求権を行使した場合に、相続人ではない親族(具体的には被相続人の子の配偶者など)が被相続人の療養看護などで貢献した場合に請求できる「特別寄与料」を、遺留分侵害額請求権を行使した相続人が負担するのかどうかが争点となりました。
特別寄与料制度は、2019年7月1日施行の民法改正で導入された比較的新しい制度です。
判決趣旨・実務への影響
最高裁は、遺言により相続分がないとされた相続人は、遺留分侵害額請求権を行使したとしても、特別寄与料を負担しないと判断しました。
この決定は、特別寄与料制度と遺留分侵害額請求権の関係を明確にし、相続人ではない親族の貢献を評価しつつも、遺留分権利者の保護を優先する姿勢を示しています。実務上、特別寄与料の請求が遺留分権利者に及ぼす影響を考慮する上で重要な指針となります。
判例概要
共同相続人間で無償で行われた相続分の譲渡が、遺留分算定の基礎となる「贈与」に当たるかどうかが争われた事案です。
遺産分割が未了の間に、特定の相続人が他の相続人に自身の相続分を無償で譲渡した場合、その譲渡が遺留分計算の対象となる贈与と評価されるかが問題となりました。
判決趣旨・実務への影響
最高裁は、譲渡に係る相続分に含まれる積極財産及び消極財産の価額等を考慮して財産的価値がない場合を除き、共同相続人間でされた無償による相続分の譲渡は、譲渡をした者の相続において民法903条1項に規定する「贈与」に当たると判断しました。
この判決は、遺産分割が未了の間に相続分を譲渡する行為が、遺留分計算に影響を与える可能性があることを明確にし、実務における遺留分算定の基礎財産範囲の解釈に大きな影響を与えました。
判例概要
精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者に法定代理人がいない場合、遺留分減殺請求権の時効の完成が停止されるかどうかが争点となった事案です。
具体的には、被相続人が遺言で全財産を特定の相続人に相続させ、遺留分を侵害された相続人が認知症などで判断能力が低下していた場合に、時効期間が進行するかが問題となりました。
判決趣旨・実務への影響
最高裁は、時効期間満了前6か月以内に後見開始の申立てがされ、法定代理人が就職した場合には、その就職から6か月経過するまでの間は時効が完成しないと判断しました。
この判決は、認知症などで判断能力が低下した相続人の遺留分請求権の保護を強化するものであり、実務において、時効期間の起算点や停止事由の判断に際して、成年後見制度の利用状況を慎重に確認する必要があることを示しています。
これは、高齢化社会における相続問題の複雑化に対応する重要な判例です。
その他注目判例
合資会社の無限責任社員が退社した場合において、負担すべき損失額が出資価額を超えるときの超過額について、会社に対する支払義務があることを最高裁として初めて明らかにした判決です。
これは、遺留分算定の基礎となる財産に、被相続人が負っていた債務(合資会社の債務超過分)が含まれるかという点で実務に影響を与えます。
被相続人の全財産が一部の相続人に遺贈された場合において、遺留分減殺請求権を有する相続人が遺贈の効力を争うことなく遺産分割協議の申入れをしたときは、特段の事情のない限り、その申入れには遺留分減殺の意思表示が含まれるとした事例です。
これは、遺留分請求の意思表示が必ずしも明示的である必要はないことを示しています。
下級審裁判例から見る実務の動向と具体例
最高裁判例だけでなく、下級審の裁判例も多数存在することは、遺留分に関する事案が多岐にわたり、個別の事情に応じて判断が分かれる複雑な領域であることを示しています。
これらの判例は、実務における具体的な紛争解決の指針となります。
被相続人が特定の相続人に所有不動産全部を相続させる遺言があった事案で、請求者が自身の取り分を要求し、遺産分割協議書への押印を拒否した態度が、遺留分の権利を行使する意思表示であると認定されました。
これは、遺留分請求の意思表示が明示的な言葉だけでなく、行動によっても認められる可能性があることを示しています。
遺留分算定の基礎となる財産から控除する債務について、保証債務は主たる債務者が無資力で求償権の行使による填補の実効性がない場合に限り、被相続人の財産から控除すれば足りるとする下級審裁判例があります。
これは、被相続人の債務の範囲をどこまで遺留分算定に考慮するかという点で実務的な判断を要する論点です。
遺贈と死因贈与がある場合の遺留分侵害請求の順序について、死因贈与は遺贈に次いで、生前贈与より先に遺留分減殺の対象とすべきと判断されています。
この判例は、民法改正後も解釈に委ねられている部分であり、実務上の重要な指針となります。
これらの判例が示すように、遺留分に関する問題は、単に法律を知っているだけでなく、具体的な事実関係の評価が不可欠であり、弁護士の経験と知識が結果を大きく左右します。
弁護士が「最新の裁判例や実務動向を踏まえ、法律に沿って依頼者が最善の結果を得られるように解決を図る」と強調するのは、この実務の複雑性に対応するための専門性を示すものです。
大阪における遺留分トラブルの傾向と解決事例
弁護士法人かがりび綜合法律事務所は、大阪を拠点に相続問題に取り組んでおり、遺留分に関する地域特有の傾向と豊富な解決実績を有しています。
大阪の相続トラブルの特徴と遺留分の位置づけ
大阪府では、遺産分割に関するトラブルに次いで遺留分に関するトラブルが多く、相続人が自身の取り分を主張する紛争が頻発しています。司法統計によれば、遺産分割調停の新規申立数において、大阪は東京に次いで全国第2位(978件)であり、相続に関する紛争が非常に多い地域であることが明らかです。
大阪市は、日本全国の主要都市の中でも地価の変動が特に激しい地域の一つです。都市再開発やインフラ整備が進行しているため、特に市内中心部の不動産価格は上昇傾向にあります。
この地価の変動は、相続税評価額に大きな影響を及ぼすだけでなく、不動産が相続財産の大半を占める場合、その評価額を巡る争いが遺留分トラブルに直結しやすいという特徴があります。
このような地域特有の地価や税制を熟知した専門家のアドバイスは、紛争解決において不可欠です。
大阪の地域特性と不動産市場の活発さは、遺留分トラブルが地域に根差した特性を持つことを示唆しており、大阪の地価や税制に詳しい弁護士の専門性が、紛争解決において決定的な役割を果たすと考えられます。
当事務所(弁護士法人かがりび綜合法律事務所)の解決事例
弁護士法人かがりび綜合法律事務所は、大阪の相続問題に深く関わっており、遺留分に関する数多くの解決実績を有しています。
事案概要
被相続人が特定の相続人(長男)に全財産を相続させる旨の遺言を残したため、他の相続人(長女)の遺留分が侵害されたケースです。相手方相続人が遺言を盾に支払いを拒否するも、当事務所の交渉により解決に至りまし。
解決のポイント
遺留分は遺言書に優先する権利であることを粘り強く主張し、民法の規定に基づき正確な遺留分侵害額を算定しました。
相手方との交渉では、調停や訴訟も視野に入れた戦略的なアプローチを取り、依頼者の正当な権利を確保しました。
事案概要
被相続人が生前に一部の相続人(長男)に多額の不動産を贈与しており、他の相続人が遺留分侵害を主張したケースです。贈与の時期や評価額が争点となり、複雑な算定が必要となりまし。
解決のポイント
生前贈与が遺留分算定の基礎財産に含まれることを法的根拠に基づき立証しました。特に不動産の評価については、複数の評価方法を検討し、依頼者にとって最も有利かつ適正な評価額を提示しました。
結果、交渉を通じて遺留分侵害額の支払いを実現しました。
事案概要
遺留分侵害額の請求を受けた相続人が、現金資産が少なく、相続した不動産を売却できないため支払いが困難であったことから、交渉を開始しました。
解決のポイント
依頼者様が遺留分進学額相応の支払いが必要であることは理解されていましたが、現金資産が少ないこと、また、精神的な負担から弁護士による交渉依頼を希望されていました。遺留分侵害額の支払方法について、分割払い、代物弁済など、柔軟な提案を行い、双方にとって現実的な解決策を模索しました。
結果、家庭裁判所を介した調停手続きを利用し、客観的な第三者の介入のもとで合意形成を図り、現実的な解決に至りました。
事案概要
相談前の状況相談者様は、日ごろより自身の叔母の世話をしてきました。そうしたところ、叔母が交通事故に巻き込まれてお亡くなりになりました。
少し経過して、叔母のタンスより自筆証書遺言が出てきて、そのなかには、叔母の全財産を相談者様に相続させる旨の内容が記載されていました。
この後どうしたらよいのか不安になり、弁護士のもとに相談がありました。
解決への流れ
自筆証書遺言の場合、検認作業を家庭裁判所で行う必要があることと、交通事故により亡くなった叔母の慰謝料等2,000万円程を相続させる必要があり、その上で相手方保険会社とのも自筆証書遺言の有効性に基づき交渉すること、また保険金を分けてほしいという親族も現れたため、このあたりはあくまで相談者様が相続して対応する必要があることを説明したところ、ご自身での対応は難しいと判断されて、依頼をなりました。
解決のポイント
最終的には自筆証書遺言の検認作業も無事に終わり、保険会社との交渉も円満に無事にまとまって、相談者様は叔母様の相続財産を得られることになりました。
その後は、遺留分侵害額も踏まえ、適切な支払いを行い、交渉で終了しました。
遺留分トラブルを解決するための弁護士の役割
遺留分トラブルは、法律問題と感情問題が複雑に絡み合うため、専門家である弁護士の介入が不可欠です。
交渉・調停・訴訟を通じた解決プロセス
遺留分トラブルが発生した場合、弁護士は以下のプロセスを通じて解決を図ります。
まずは、遺留分侵害額請求権を行使する意思を明確にするため、内容証明郵便を送付し、相手方との交渉を開始します。
弁護士は、依頼者の代理人として、相手方相続人との間で遺留分侵害額や支払い方法について交渉を進めます。この段階で合意に至れば、紛争は早期に解決します。
交渉で合意に至らない場合は、家庭裁判所に「遺留分侵害額請求調停」を申し立てます。調停では、調停委員が当事者間の話し合いを仲介し、客観的な視点から解決策を模索します。
調停でも合意に至らない場合には、「遺留分侵害額請求訴訟」を提起し、裁判所の判断を仰ぐことになります。
弁護士は、訴訟手続きにおいて依頼者の主張を法的に構成し、証拠を提出することで、裁判所に適切な判断を促します。
弁護士に依頼するメリットと費用
遺留分トラブルにおいて弁護士に依頼するメリットは多岐にわたります。
法的知識と経験
遺留分の正確な計算、時効の判断、過去の贈与の評価、最新の判例や法改正への対応など、遺留分問題には専門的な法律知識が不可欠で。弁護士はこれらの複雑な問題を適切に処理し、依頼者の権利を最大限に守ります。
交渉力の強化
親族間の相続問題は感情的になりがちですが、弁護士は冷静かつ客観的な立場で交渉を進め、依頼者の精神的負担を軽減します。弁護士が間に入ることで、感情的な対立がエスカレートするのを防ぎ、建設的な話し合いを促進することが可能になります。
手続きの代行
遺留分侵害額請求には、内容証明郵便の送付、調停申立て、訴訟提起など、専門的な手続きが伴います。弁護士に依頼することで、これらの複雑な手続きを全て任せることができ、依頼者は本業や日常生活に集中できます。
費用の明確化
多くの法律事務所では、事前に費用について相談することが可能です。これにより、依頼者は安心して弁護士に相談できます。
弁護士の役割は、単に法律を適用するだけでなく、依頼者の感情的な側面への配慮、複雑な家族関係の調整、そして交渉から訴訟に至るまでの戦略的なプロセス管理に及びます。
特に遺留分問題は、金銭だけでなく「公平性」や「親の愛情」といった感情が絡みやすいため、弁護士の中立的な介入が紛争の泥沼化を防ぎ、円満な解決を促進する上で極めて重要です。
当事務所が選ばれる理由
弁護士法人かがりび綜合法律事務所は、大阪で遺留分問題に強い弁護士として、以下の強みを持っています。
相続問題に特化した豊富な経験と実績
遺留分侵害額請求を含む相続問題に特化し、数多くの解決実績を積み重ねています。これにより、多様なケースに対応できるノウハウと経験を蓄積しています。
最新の法改正・判例への対応
相続法は頻繁に改正され、新たな判例も日々生まれています。当事務所は常に最新の法律知識と実務動向を把握し、依頼者様に最適な解決策を提供します。
地域密着型のサポート
大阪の地域特性や家庭裁判所の運用傾向も踏まえ、きめ細やかなサポートを提供します。大阪の地価や税制に精通しているため、特に不動産が絡む遺留分問題において、より実践的なアドバイスが可能です。
他士業との連携
必要に応じて、税理士や司法書士など他士業と連携し、相続税申告や不動産登記など、相続手続き全体をワンストップでサポートすることが可能です。これにより、依頼者は複数の専門家を探す手間を省き、スムーズに手続きを進めることができます。
まとめ
遺留分問題は早期の相談が鍵
遺留分は、残された家族の生活と公平性を守るための重要な権利です。しかし、遺言書の内容や生前贈与、財産の評価などをめぐってトラブルに発展することも少なくありません。
遺留分に関する問題は、放置すると時効によって権利が消滅したり 、紛争が長期化・複雑化したりする可能性があります。遺留分侵害額請求権には1年という短期の時効期間があることは、早期相談が不可欠であるという結論に直結します。
この時効の存在は、単なる手続き上の期限ではなく、権利が失われるという重大な結果をもたらすため、潜在的な依頼者にとって強い行動喚起となります。
弁護士が「早期に相談して解決することをおすすめします」と強調するのは 、この法的制約と、それに伴うトラブルの複雑化・長期化のリスクを回避するためです。
そのため、相続の開始を知った段階で、できるだけ早く弁護士に相談することが、円満な解決への最も重要な一歩となります。
弁護士法人かがりび綜合法律事務所は、大阪で遺留分問題に強い弁護士として、何よりも、お客様一人ひとりの状況をしっかり汲み取り、寄り添い、最善の解決を目指します。お困りの際は、お気軽にご相談ください。