よくある遺産分割トラブル事例と解決策


ここでは、よくある遺産分割トラブル事例とその解決策をご紹介しながら、「兄弟不仲でもめる相続問題を乗り越えるには」どのように対応すべきかを解説します。

遺産分割トラブルはなぜ起こるのか?

遺産分割は、金銭や公平性といった現実的な問題が直接的に関わるため、感情的な対立が生じやすく、親族間の深刻な揉め事に発展するケースが頻繁に見られます。

遺産分割協議が円滑に進まない主な原因としては、相続人同士の元々の関係性が良好でなかったり、普段ほとんど交流がない親族と急に話し合いをすることになったりする状況が挙げられます。このような場合、「他の相続人には遺産を渡したくない」といった感情が芽生えやすく、互いの主張が平行線をたどり、合意形成が著しく困難になることが少なくありません。

相続における紛争は、単に財産の分配に関する法的な問題に留まらず、長年にわたる家族関係の中で蓄積された不満や、故人に対するそれぞれの思いが複雑に絡み合って表面化することが多くあります。

感情が先行してしまうと、合理的な話し合いが阻害され、たとえ法的な解決策が提示されたとしても、それを受け入れることが難しくなる状況が生じがちです。このため、弁護士が相続問題に介入する際には、単に法律論を提示するだけでなく、相続人それぞれの感情的な背景を深く理解し、共感を示すといった側面も極めて重要になります。

このようなアプローチは、依頼者の心理的負担を軽減し、冷静な判断を促す上で不可欠であり、円滑な解決への第一歩となります。

弁護士法人かがりび綜合法律事務所が、遺産分割でよくあるトラブルの具体的な事例とその原因を深掘りし、トラブルを未然に防ぐための予防策、そして万が一トラブルが発生してしまった場合の解決策を詳しく解説します。特に、現代の相続問題で頻繁に見られる「兄弟不仲」が引き起こす相続問題に焦点を当て、専門家である弁護士がどのように解決へと導くのか、その役割とメリットについてもご紹介します。

よくある遺産分割トラブルの典型例と原因

遺産分割を巡るトラブルは多岐にわたりますが、ここでは特に相談が多い典型的な事例とその根本的な原因を解説します。

不動産の評価・分割を巡る対立

相続財産に不動産が含まれる場合、現金や預貯金のように容易に分割できないため、トラブルに発展する確率が非常に高くなります。不動産の評価方法には、固定資産税評価額、相続税評価額、公示価額、不動産鑑定士による鑑定評価額など複数の指標が存在します。どの評価額を採用するかによって相続分が大きく変動するため、相続人の間で不公平感が生まれやすく、対立の原因となります。

また、被相続人と同居していた相続人がその不動産を単独で相続したいと希望する場合、他の相続人に対して法定相続分に応じた金銭(代償金)を支払う必要があります。しかし、この代償金を支払うだけの資力が同居相続人にない場合、話し合いがまとまらず揉めることが少なくありません。

遺産に不動産しかない、あるいは預貯金が極めて少ないケースでは、不動産を売却して代金を分ける「換価分割」や、特定の相続人が不動産を相続し他の相続人に金銭を支払う「代償分割」などが検討されますが、売却価格や代償金の金額、売却のタイミングなどを巡って意見が対立することがよくあります。

不動産が相続トラブルの主要因となる背景には、その持つ特性が深く関係しています。不動産は、単なる経済的な価値だけでなく、故人との思い出や家族の歴史といった感情的な価値が強く結びついていることが多く、その流動性が低いという側面も持ち合わせています。

これにより、金銭的な公平性だけでなく、相続人それぞれの感情的な「納得感」を得ることが難しくなります。

さらに、不動産の評価基準が複数存在し、その透明性が低いと感じられることが、相続人間の不信感を生み、トラブルの泥沼化を招きやすいと考えられます。

このため、弁護士は、不動産の客観的な評価を提示するだけでなく、相続人それぞれの感情的な側面を考慮した分割案(例えば、代償分割の具体的な提案や、共有分割のリスクに関する詳細な説明など)を提示し、納得感を醸成する役割がより重要となります。

不動産が絡む相続問題においては、特に専門家による多角的なアプローチが不可欠であると言えるでしょう。

特定の相続人による財産の独占・使い込み

「親の介護を長年担ったから」「長男(長女)だから家を継ぐべきだ」といった理由で、特定の相続人が遺産を独占しようと主張し、他の相続人との間で摩擦が生じるケースがあります。

しかし、戦前の家督相続制度は既に廃止されており、現代の法律では子同士の法定相続分は原則として平等です。したがって、このような独占的な主張は法的に認められにくいのが実情です。

また、被相続人と同居していた相続人が、被相続人の財産を隠したり、被相続人の判断能力が低下している間に預貯金を勝手に引き出したり、貴金属や美術品を売却したりする「使い込み」のケースも少なくありません。

このような使い込みが疑われる場合、遺産分割協議の対象外となることが多く、別途、地方裁判所での「不当利得返還請求」や「不法行為に基づく損害賠償請求」といった訴訟手続きが必要になることがあります。

介護や貢献(寄与分)を巡る主張の食い違い

親の介護を献身的に行っていた相続人が、その貢献を理由に「多めに遺産をもらいたい(寄与分を主張したい)」と考えるのは当然の心情です。

しかし、他の相続人がその貢献を認めず、「法定相続分通りに分けるべきだ」と反発してトラブルになることがあります。

生前贈与や特別受益の有無・評価

被相続人が特定の相続人に対して、高額な生前贈与(例えば、不動産、事業資金、大学の学費など)を行っていた場合、その財産は「特別受益」として扱われることがあります。特別受益と認定されると、遺産分割時にその生前贈与された財産を相続財産に「持ち戻して」計算することになります。

この「持ち戻し」の有無や、その評価額を巡って、相続人間の不公平感からトラブルに発展するケースが見られます。例えば、長男が大学の学費を父親から全額出してもらい、次男が高卒で就職した場合、次男が不公平と感じ、長男の相続分から学費相当額が差し引かれることがあります。

「寄与分」「特別受益」「使い込み」といった問題は、いずれも過去の事実に関する主張であり、客観的な証拠が不足しがちであるという共通点があります。また、相続人それぞれの「公平性」に対する主観的な認識のズレが根底にあるため、感情的な対立を激化させやすい傾向にあります。

特に「使い込み」が疑われるケースでは、他の相続人からの「不信感」が非常に強く、これが紛争を泥沼化させる要因となることが多く見受けられます。

弁護士は、これらの主張の法的要件を厳密に判断し、証拠収集のサポートを行うだけでなく、主張の妥当性を客観的に評価し、現実的な解決策を提示する必要があります。感情的な側面を考慮しつつも、法的な根拠に基づいた冷静な交渉が求められる場面です。

遺言書の内容への不満と遺留分侵害

有効な遺言書が存在する場合、原則としてその内容に従って遺産分割が行われます。しかし、遺言書の内容が特定の相続人に著しく偏っている場合、他の相続人が自身の最低限の相続分である「遺留分」を侵害されたとして「遺留分侵害額請求」を行う可能性があります。

遺言書の有効性自体(例えば、作成時の遺言能力の有無や形式的な不備など)が争点となり、訴訟に発展することも少なくありません。例えば、被相続人が現在の配偶者や子どもに全財産を残す旨の遺言をした場合、前妻の子など他の子どもたちが遺留分侵害額請求を起こす可能性が高まります。

遺言書は故人の意思を明確にし、相続手続きを円滑に進めるための強力なツールである一方で、その作成方法や内容が不適切だと、かえって紛争の火種となる可能性があります。

特に、遺留分を侵害する内容や、特定の相続人への過度な優遇は、残された相続人の不満を爆発させ、法的な争いへと発展させる引き金となり得ます。

このため、遺言書作成の段階から弁護士が関与し、法的な有効性はもちろんのこと、遺留分への適切な配慮や、付言事項による故人の真意の伝達など、将来のトラブルを未然に防ぐための「予防法務」の視点が極めて重要であると言えます。

相続人の人数が多い・連絡が取れないケース

遺産分割協議は、相続人全員の合意が必須であり、一人でも欠けると協議全体が無効となってしまいます。相続人の人数が多い場合や、疎遠な関係の相続人がいる場合、全員の意見をまとめ、合意形成を図ることが非常に困難になります。

特に、絶縁状態にある相続人がいる場合、連絡が取れないために遺産分割協議自体が進まない、あるいは他の相続人が勝手に遺産を処分してしまうといったリスクが生じます。

所在不明の相続人がいる場合は、家庭裁判所に「不在者財産管理人」の選任を申し立てる必要があり、この手続き自体に時間がかかるため、遺産分割の解決までに長期間を要する可能性が高まります。

【特に注意】兄弟間の不仲が引き起こす相続トラブル

兄弟仲が良い場合は揉める可能性は低いですが、普段の交流が全くなく、相続のときだけ集まった場合は、揉めることを覚悟した方が良いでしょう。特に両親が既に亡くなり、兄弟だけで相続問題を話し合う場合、仲介役となる存在がいないため、いわゆる「骨肉の争い」となることも考えられます。

兄弟間の不仲は、遺産分割協議がスムーズに進まない大きな原因となります。長年の感情的なしこりや対立が激しく、話し合いが全くできない状態に陥ることも珍しくありません。遺産分割協議が成立しないと、遺産を有効活用できない、相続税の特例を受けられないなど、多くのデメリットが生じてしまいます。

遺産分割トラブルの典型例と解決のポイント

相続問題は複雑であり、多岐にわたるトラブルが発生しえますが、その多くは類型化できます。

以下の表は、よくある遺産分割トラブルの典型例と、それぞれの解決に向けた重要なポイントをまとめたものです。自身の状況を照らし合わせ、適切な解決策を検討する一助としてください。

トラブルの種類 主な原因 解決のポイント
不動産の評価・分割 評価方法の相違、分割の困難さ、代償金支払いの資力不足 不動産鑑定士による客観的評価、換価分割・代償分割の検討、共有分割のリスク理解
特定の相続人による独占・使い込み 「長男だから」「介護したから」といった主張、財産の隠蔽・不正使用 法定相続分の原則理解、不当利得返還請求・損害賠償請求の検討、証拠収集
介護・貢献(寄与分) 貢献度に対する認識の相違、寄与分の法的要件の厳しさ 寄与分の法的要件確認、貢献の客観的証拠提示、特別寄与料の主張
生前贈与・特別受益 贈与の有無・評価の相違、不公平感 特別受益の持ち戻し計算、贈与の証拠確認、公平な再配分交渉
遺言書の内容への不満 特定の相続人への偏り、遺留分侵害、遺言書の有効性への疑義 遺留分侵害額請求の検討、遺言書有効性の確認、付言事項の活用
相続人多数・連絡困難 全員合意の必要性、疎遠・絶縁、所在不明 不在者財産管理人選任、調停・審判への移行、弁護士による連絡代行
兄弟間の不仲 コミュニケーション不足、感情的対立、仲介役の不在 弁護士による第三者介入、遺言書による生前対策、冷静な話し合いの場設定

遺産分割トラブルが長期化する「悲惨な末路」

遺産分割争いが一度発生し、長期化すると、単に精神的な負担が増すだけでなく、相続人にとって様々な実質的な不利益が生じます。

その「悲惨な末路」を理解することは、早期解決の重要性を認識する上で不可欠です。

遺産の有効活用ができない

遺産分割が完了しない限り、各相続人は遺産をスムーズに活用することができません。例えば、不動産が共有状態のままでは、売却や賃貸といった活用が困難となり、市場の変動による売却機会を逃したり、固定資産税や維持管理費ばかりがかさんでしまったりする事態に陥りかねません。

預貯金も、相続人全員の同意がなければ引き出せないことが多く、故人の口座が凍結されたままになることもあります。

特別受益や寄与分の主張が認められなくなる可能性

民法改正により、相続開始から10年を経過した後の遺産分割では、原則として特別受益や寄与分の主張が認められなくなりました。

これは、長期にわたる紛争を避けるための措置ですが、裏を返せば、正当な主張があったとしても、時間の経過とともにその権利を行使できなくなるリスクがあることを意味します。

親族関係の悪化、断絶

相続争いの中で、相続人同士が感情的になり、互いを非難し合うことは珍しくありません。一度こじれた親族関係は修復が極めて困難であり、最悪の場合、親族間の断絶を招くこともあります。

故人の法事すらまともに開けない事態に発展したり、過去にはお骨を取り合ったりといった極端なケースも報告されています。

相続税の特例が受けられないリスク

「配偶者の税額軽減」や「小規模宅地等の特例」といった相続税を抑えるための特例は、原則として相続税の申告期限内(相続開始を知った日の翌日から10か月以内)に遺産分割が成立している必要があります。

遺産分割が間に合わない場合でも、「申告期限後3年以内の分割見込書」を提出すれば特例適用を受けられる可能性はありますが、手続きが複雑化し、一時的に多額の相続税を納付する必要が生じるなど、納税資金に困る事態にもなりかねません。

調停・審判・訴訟など法的手続きへの発展とコスト増

相続争いが当事者間での話し合いで解決しない場合、最終的には家庭裁判所での調停や審判、さらには地方裁判所での訴訟といった法的手続きに発展してしまいます。これらの手続きは、解決までに1年以上にわたる長期戦となるケースが少なくありません。

長期化は、弁護士費用や裁判費用といったコスト負担の増加を意味し、相続財産が目減りしてしまう結果を招くこともあります。

相続争いの長期化がもたらす影響は、単一の損失に留まらず、複数の不利益が連鎖的に発生する複合的な損失へとつながります。

遺産の有効活用ができない経済的損失、特別受益や寄与分といった権利の喪失、親族関係の断絶という精神的損失、そして相続税の特例が受けられないことによる追加の経済的負担や、弁護士費用・裁判費用といった直接的なコスト増大が挙げられます。

これらの要素が複雑に絡み合い、相続人にとって計り知れない負担となることが予測されます。この連鎖的な損失は、相続争いが単なる金銭問題ではなく、家族全体の未来に深刻な影響を及ぼすことを示唆しています。

したがって、紛争の兆候が見られた段階で、速やかに専門家である弁護士に相談し、早期の解決を目指すことが、これらの複合的損失を回避するための最も賢明な選択と言えます。

遺産分割トラブルを未然に防ぐ予防策

相続争いを避けるためには、被相続人が元気なうちから、あるいは相続が発生した直後から、適切な予防策を講じることが非常に重要です。

生前の段階から家族で相続について話し合う

被相続人が健康なうちに、家族間で相続について率直に話し合うことが、トラブルを未然に防ぐ上で最も効果的な方法の一つです。故人の遺産を誰にどのように相続させたいかという思いや、相続人それぞれの言い分を伝え合い、全員が納得できる相続の形を決めておくことが期待されます。

特に、デジタル資産やオンライン口座が増えている現代において、財産の存在自体が分からなくなるリスクを避けるためにも、銀行口座や証券口座の存在は、事前に家族間で共有しておくか、遺言書に明確に記載しておくべきです。

有効な遺言書を作成する

遺産の分け方に法的な拘束力を持たせるためには、有効な遺言書の作成が不可欠です。遺言書があれば、原則としてその内容に沿って遺産が分けられるため、相続人間での遺産の奪い合いを防ぐことができます。

遺言書には「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」の2種類があり、公正証書遺言は公証人が作成・保管するため、形式不備による無効のリスクが低く、家庭裁判所による検認も不要というメリットがあります。

ただし、遺言書の内容が特定の相続人に偏りすぎていると、遺留分侵害額請求などの新たなトラブルの原因となる可能性があるため、遺留分に配慮し、付言事項で故人の真意を伝えるなどの工夫が重要です。

財産目録を正確に作成しておく

被相続人のプラスの財産(預貯金、不動産、有価証券など)とマイナスの財産(借金など)を正確に確定し、一覧できる財産目録を作成しておくことは、遺産分割協議の出発点として極めて重要です。

財産目録が不正確だと、後から新たな財産が発見された場合に手続きのやり直しが必要となったり、不信感を生んだりしてトラブルの原因となります。

この作業はかなりの労力と時間、そして高度な専門性を要するため、税理士などの専門家に相談することが推奨されます。

信頼できる家族との間で信託契約を検討する(家族信託)

家族信託とは、信頼できる家族や親族などに財産管理を任せる仕組みです。遺言書と同様に、自分が亡くなった際の財産の承継先を決めておくことができるだけでなく、自分の死後、配偶者が亡くなったときの二次相続での財産の承継先まで決めることが可能です。

これにより、将来にわたる財産の承継を円滑にし、トラブルを予防する効果が期待できます。

これらの予防策の重要性は、その「早期性」と「専門性」に集約されます。相続トラブルは、時間が経過するほど感情的な対立が深まり、問題が複雑化する傾向があるため、被相続人が元気なうち、あるいは相続発生後できるだけ早い段階で対策を講じることが極めて重要です。

また、遺言書の作成、財産目録の作成、家族信託の検討といった予防策は、法的な知識や専門的な手続きを伴うため、素人判断では不備が生じ、かえってトラブルの原因となるリスクがあります。このため、相続に強い弁護士や税理士といった専門家の知見を借りることが不可欠です。

専門家は、法的な有効性を確保しつつ、将来の紛争リスクを最小限に抑えるための最適なアドバイスを提供できます。早期に専門家と連携することで、相続人全員にとって納得のいく、円満な相続を実現する可能性が高まります。

遺産分割トラブルが発生してしまった場合の解決策

万が一、遺産分割トラブルが発生してしまった場合、その解決には専門的な知識と冷静な対応が不可欠です。

まずは当事者間で冷静に話し合う(困難な場合が多い)

相続人同士の仲が比較的良好であれば、まずは当事者間で話し合い、合意形成を目指すことが考えられます。しかし、感情的な対立が既に生じている場合や、兄弟間の不仲が根深い場合は、当事者だけで冷静な話し合いを進めることは極めて困難です。

親族や友人など第三者を間に入れる方法もありますが、かえって意見が飛び交い、状況が複雑化して揉めるケースも少なくありません。

弁護士への早期相談・依頼が最も有効

相続争いを当事者だけで解決することは困難であり、一人で抱え込んでしまうと、思い悩んで堂々巡りになってしまいがちです。

そのため、トラブルが発生した場合は、早めに専門性の高い弁護士に相談し、解決を依頼することが最も望ましい選択肢となります。

弁護士が代理人となるメリット

弁護士に遺産分割協議の代理を依頼することには、以下のような多くのメリットがあります。

感情的な対立を避け、冷静な話し合いを促進

相続問題は感情的になりやすく、当事者同士の話し合いでは冷静さを保つのが難しい場面が多々あります。弁護士が第三者として間に入ることで、双方の感情的な対立を抑制し、法的な観点に基づいた冷静な話し合いを促進することができます。

これにより、話がまとまりやすくなり、依頼者の心理的ストレスも軽減されます。  

② 遺産調査の代行

遺産分割協議を進めるためには、まず被相続人の遺産全体を正確に把握する必要があります。しかし、遺産調査は非常に手間と時間がかかり、金融機関や役所は平日しか開いていないため、仕事をしている相続人にとっては大きな負担となります。

弁護士であれば、依頼者の代理人として、残高証明書や取引履歴の取得など、遺産の調査を代行することができます。故人の口座がある金融機関が不明な場合でも、弁護士を通じて開示を請求したり、口座の調査を依頼したりすることが可能です。  

法的な観点から最適な遺産分割案を提案

弁護士は、依頼者の心情を十分に汲み取りつつも、法律の定める範囲内で最大限に有利な条件を見出し、最適な遺産分割に関する提案を行います。

特別受益や寄与分など、法定相続分と異なる主張を行う場合でも、その法的根拠を明確にし、他の相続人との交渉を有利に進めることが期待できます。  

複雑な手続きの一任

相続手続きは、相続人調査、財産調査、遺産分割協議書の作成、相続登記など多岐にわたり、専門的な知識と煩雑な作業を伴います。

弁護士に一任することで、これらの手続きの手間を省き、依頼者は本業や日常生活に集中することができます。  

不在者財産管理人選任や失踪宣告などの手続き代行

絶縁している相続人や行方不明の相続人がいる場合、遺産分割協議を進めるためには「不在者財産管理人」の選任や、場合によっては「失踪宣告」の申し立てが必要になります。

これらの手続きは非常に専門性が高く、弁護士が代行することで、円滑かつ迅速な進行が期待できます。

調停・審判への移行について

弁護士を立てても話し合いで解決しない場合、次の段階として家庭裁判所に「遺産分割調停」を申し立てることになります。

調停と審判の違いと役割

遺産分割調停 調停は、家庭裁判所の調停委員が間に入り、相続人同士の話し合いをサポートし、合意形成を目指す手続きです。
原則として、当事者同士が直接顔を合わせることはなく、それぞれ別の待合室で待機し、調停委員が交互に意見を聞く形式で進められます。これにより、感情的な対立を避け、冷静な話し合いがしやすくなります。
遺産分割審判 調停でも合意に至らなかった場合、自動的に「遺産分割審判」へと移行します。審判では、家庭裁判所が当事者の主張や提出された証拠に基づいて、法律に則った形で遺産分割の方法を決定します。
調停とは異なり、審判では原則として双方の当事者や代理人が同じ場に出席して期日が行われることが一般的です。審判はより厳格な手続きであり、裁判所が最終的な判断を下すため、当事者の意向が全て反映されるとは限りません。

弁護士が関与するメリット

調停や審判といった法的手続きは、専門的な知識と書類作成能力を要します。弁護士は、これらの手続きを熟知しており、依頼者の主張を法的に整理し、必要な証拠を収集・提出することで、手続きを有利に進めることができます。

特に審判では、相手方と顔を合わせる必要があるため、不仲な相続人との対面を避けたい場合でも、弁護士が代理人として出席することで、依頼者の精神的負担を軽減できます。

相続問題の解決において、弁護士の役割は単なる法律の専門家にとどまりません。弁護士は、相続人間の感情的な対立を緩和し、冷静な話し合いの場を設ける「交渉力」を発揮します。この交渉力が功を奏しない場合でも、弁護士は依頼者を家庭裁判所での調停や審判といった「法的強制力への導き」へとスムーズに移行させることができます。

この一連の流れは、相続問題が当事者間の感情的なもつれから、客観的な法的手続きへと移行し、最終的に裁判所の判断によって解決に至る道筋を示しています。弁護士は、この複雑なプロセス全体を通じて、依頼者の権利を最大限に守りながら、最も効率的かつ納得のいく解決を目指すための羅針盤となる存在です。

弁護士法人かがりび綜合法律事務所が選ばれる理由

弁護士法人かがりび綜合法律事務所は、大阪で相続問題、特に遺産分割の分野において豊富な経験と実績を持つ法律事務所です。

大阪で相続問題・遺産分割に強い弁護士としての実績と専門性

当事務所は、大阪を拠点に、数多くの相続問題、遺産分割案件を手掛けてまいりました。複雑な不動産分割、感情的な対立を伴う兄弟間の紛争、使い込みや寄与分に関する問題など、多岐にわたるケースに対応し、解決へと導いてきた実績があります。相続に関する最新の法改正にも常に精通し、専門性の高いリーガルサービスを提供しています。  

相続問題は、依頼者にとって人生の大きな転機であり、精神的な負担も大きいものです。当事務所は、依頼者一人ひとりの状況や心情に深く寄り添い、親身になって耳を傾けることを重視しています。専属の弁護士とリーガルスタッフが連携し、迅速かつ的確な対応で問題解決へと導きます。

また、初回無料相談の活用を活用していただき、相続問題でお悩みの方に、まずは気軽に相談いただけるよう、初回相談を無料で受け付けております。お問い合わせフォームやお電話で、ぜひお気軽にお問い合わせください。相続問題の解決に向けた第一歩を、当事務所がサポートいたします。

相続問題を円満に解決し、これらの悲劇を避けるためには、被相続人の生前の段階から家族で話し合い、遺言書や家族信託といった予防策を講じることが最も重要です。しかし、既にトラブルが発生してしまった場合でも、決して諦める必要はありません。

当事者間での話し合いが困難な場合、弁護士への早期相談が、問題解決への最も確実な道です。弁護士は、感情的な対立を避け、冷静な話し合いを促進し、法的な観点から最適な解決策を提案します。また、複雑な遺産調査や、調停・審判といった法的手続きも一任できるため、依頼者の負担を大幅に軽減することができます。

弁護士法人かがりび綜合法律事務所は、大阪で相続問題・遺産分割に特化した専門家として、皆様の複雑な相続問題を親身にサポートし、円満な解決へと導きます。お一人で悩まず、まずは無料相談をご利用ください。

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