【弁護士が解説】自営業者の相続はなぜトラブルになりやすい?


【弁護士が解説】自営業者の相続はなぜトラブルになりやすい?

皆さま、こんにちは。弁護士法人かがりび綜合法律事務所の弁護士、野条健人と申します。当事務所は大阪市西区靭本町に拠点を置き、日々、様々な相続問題に向き合っています。

自営業や中小企業を営んでいらっしゃった方の相続は、現金や預貯金、不動産といった一般的な財産とは異なる、事業特有の財産が含まれるため、トラブルに発展するケースが多々あります。

「うちは家族経営だから大丈夫」と思っていても、相続を機に家族関係が破綻し、大切な事業が立ち行かなくなるという事例も少なくありません。今回は、自営業者の相続がなぜトラブルになりやすいのか、その主な理由と対策について解説します。


1. 事業用財産の評価が難しい

自営業の場合、店舗や事務所の不動産、在庫商品、機械設備、売掛債権など、事業に紐づいた様々な財産が相続の対象となります。これらの財産は、評価方法が複雑で、相続人全員が納得できる公正な価値を算出するのが困難です。

  • 不動産:事業用の不動産は、事業を継がない他の相続人にとって、売却して現金にしたいという思いが強く、評価額を巡って対立が起こります。
  • 在庫・機械設備:在庫や機械設備は、相続税評価額と実際の市場価値が大きく異なることがあります。
  • のれん代:長年培ってきた信用や顧客基盤といった「のれん代」も、客観的な価値を算定するのが難しく、争いの火種となります。

2. 事業の継続・承継問題が絡む

自営業の相続は、単なる財産分割に留まらず、事業の継続・承継という問題が深く関わってきます。

  • 後継者問題:複数の子どもがいる場合、誰が事業を継ぐのか、後継者以外の子どもにどうやって公平に財産を分けるのかといった問題が生じます。
  • 経営権の分散:遺言書がない場合、事業用の財産が複数の相続人に分散してしまい、事業運営に必要な意思決定が困難になるリスクがあります。
  • 代償金の支払い:事業を承継する相続人が、他の相続人に代償金を支払う場合、その金額が大きくなり、資金繰りに窮することもあります。

3. 公私混同の財産管理

家族経営の場合、事業用の財産と個人の財産が混同して管理されていることが少なくありません。

  • 経費の不明瞭さ:個人的な支出を事業の経費として計上しているケースや、その逆のケースがあり、相続財産の全容が不明確になります。
  • 使い込みの疑い:親の財産や会社の通帳を特定の相続人が管理している場合、他の相続人から「使い込みをしているのでは?」と疑われ、強い不信感を生むことがあります。

4. まとめ:トラブルを防ぐための3つの対策

自営業の相続トラブルを未然に防ぐためには、事前の準備が何よりも重要です。

  1. 事業用財産と個人財産の明確な分離 日頃から、事業の経理と個人の家計を明確に分けておくことが大切です。
  2. 専門家による財産評価 事業用財産の評価は、弁護士や公認会計士といった専門家と連携し、客観的な数値を算出しておくことが、公平な遺産分割への第一歩となります。
  3. 遺言書による明確な意思表示 最も有効な対策は、被相続人が生前に遺言書を作成し、**「事業用財産は誰に、他の財産は誰に」**と明確に意思を示しておくことです。これにより、後継者も他の相続人も、安心して事業と向き合うことができます。

自営業の相続問題は、家族の感情、事業の継続、法律が複雑に絡み合うデリケートな問題です。もし、お一人で解決できるかご不安であれば、まずは私たち専門家にご相談ください。

当事務所は、大阪の事業承継や相続問題に精通しており、皆様の不安を「かがりび」のように明るく照らし、納得のいく解決へと導くお手伝いをいたします。

皆様からのご連絡を心よりお待ちしております。

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