弁護士が教える!貸金庫の相続、どうしたらいい?

弁護士が教える!貸金庫の相続、どうしたらいい?


家族が亡くなった後、貸金庫を開けるには?

相続手続きを進める中で、「故人が貸金庫を借りていたらしい」ということが分かったら、どうすればいいかご存知でしょうか? 貸金庫には、現金や通帳、証券、貴金属、重要な契約書など、大切な財産が入っている可能性があります。しかし、銀行は本人以外の開扉を厳しく制限しているため、勝手に開けることはできません。

「貸金庫の鍵が見つからない」 「中身を調べるにはどうしたらいいの?」 「家族の誰でも開けられるの?」

このような疑問や不安を抱えている方のために、今回は貸金庫の相続手続きについて、弁護士の視点から分かりやすく解説します。


貸金庫の相続、2つのステップ

貸金庫の相続は、主に以下の2つのステップで進めます。

  1. 貸金庫の有無を確認し、開扉手続きを依頼する
  2. 中身を確認し、遺産分割協議を行う

それぞれについて、詳しく見ていきましょう。

1. 貸金庫の有無を確認し、開扉手続きを依頼する

まず最初に、故人がどの銀行で貸金庫を借りていたかを調べます。

手がかりを探す

  • 自宅の書類: 故人の持ち物や書類を整理し、銀行から送られてきた貸金庫契約に関する書類や鍵がないか探してみましょう。
  • 通帳やキャッシュカード: 貸金庫の利用料が引き落とされている口座がないか、通帳の履歴を調べます。
  • 金融機関への問い合わせ: 故人が口座を持っていた銀行すべてに、貸金庫の契約があったかどうかを問い合わせてみましょう。

貸金庫の開扉手続き 貸金庫の開扉には、銀行ごとに定められた手続きが必要です。一般的には、以下の書類が必要になります。

  • 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
  • 相続人全員の戸籍謄本
  • 相続人全員の印鑑登録証明書
  • 遺産分割協議書(※相続人全員の署名と実印が必要)
  • 故人の貸金庫カードや鍵(※ない場合は、銀行が定める手続きに従います)

特に重要なのは、**「相続人全員の合意」**です。銀行は、後々のトラブルを防ぐため、相続人全員の同意がなければ、貸金庫を開扉させません。

もし、一部の相続人しか開扉に立ち会えない場合は、立ち会えない相続人から「委任状」をもらうなどの対応が必要になります。

2. 中身を確認し、遺産分割協議を行う

貸金庫を開けたら、中身を正確に把握します。 この際、銀行の担当者と相続人全員(またはその代理人)が立ち会い、**「貸金庫開披立会記録」**を作成するのが一般的です。

この記録には、貸金庫内にあったすべての物品を、詳細に記載します。この記録が、後々の遺産分割協議や相続税申告の際に非常に重要な書類となります。

貸金庫の中身をめぐるトラブル 「貸金庫には、自分の相続分に関する重要な書類が入っているはずだ」 「遺言書が入っていると聞いていたのに、見つからない」

このような場合、他の相続人への不信感が芽生え、トラブルに発展することがあります。 開扉の際には、すべての相続人が立ち会うこと開披記録を詳細に残すことが、トラブルを未然に防ぐための重要なポイントです。


貸金庫の相続でよくあるトラブルと弁護士の活用法

貸金庫の相続は、他の相続手続きに比べて、特に以下のような場合にトラブルになりがちです。

1. 一部の相続人が手続きに非協力的

遺産分割協議で意見が対立している場合、一部の相続人が貸金庫の開扉手続きに協力してくれないことがあります。 「どうせ中身はたいしたことがないから、開けなくていい」 「遺言書の内容が自分に不利だから、開けるのを拒否する」

このように、非協力的な相続人がいる場合、手続きは一向に進みません。 このような場合、弁護士は、法律的な観点から貸金庫開扉の必要性を説得したり、それでも応じない場合は、家庭裁判所に**「遺産分割調停」**を申し立てて、裁判所の関与を求めることができます。

2. 貸金庫の「使い込み」が疑われる場合

故人が生前、特定の相続人に貸金庫の中身を勝手に持ち出させていた、といった「使い込み」が疑われるケースもあります。 貸金庫は、契約者本人以外は原則として開けられませんが、例外的に代理人が開扉できる契約をしている場合があります。

弁護士は、銀行への照会などを通じて、貸金庫の開扉履歴や契約内容を調査し、不審な取引がないかを確認します。 もし、不当な「使い込み」の事実が明らかになれば、その分を遺産に加算して遺産分割を行うよう、交渉を進めることができます。

3. 遺言書が見つからない・効力に争いがある場合

貸金庫には、遺言書が保管されていることも珍しくありません。しかし、遺言書が見つからない場合や、見つかった遺言書の内容に他の相続人が納得せず、効力に争いが生じることがあります。

弁護士は、遺言書の**「検認手続き」**を代行し、遺言書が法的に有効なものであることを確認します。 また、遺言書の内容をめぐって相続人同士が対立した場合、当事者の代理人として交渉や調停を行い、円満な解決を目指します。


貸金庫と遺産分割、知っておきたいこと

貸金庫の中身は、金銭や有価証券など、遺産分割の対象となる財産です。 貸金庫の開扉後、中身を正確に把握し、その内容を**「遺産目録」に記載します。 そして、この遺産目録を元に、相続人全員で遺産分割協議を行い、「遺産分割協議書」**を作成します。

遺産分割協議書には、貸金庫の財産を「誰が」「どれだけ」相続するのかを明確に記載します。 もし、貸金庫の財産について記載がないと、後から「あの財産は遺産分割の対象ではない」と主張する相続人が出てきて、再びトラブルに発展する可能性があります。

貸金庫の開扉から遺産分割協議書の作成まで、弁護士に依頼することで、法律的な観点から完璧な手続きを進めることができ、将来のトラブルを未然に防ぐことができます。


専門家への相談が、安心への第一歩

貸金庫の相続手続きは、相続人全員の協力が不可欠であり、非常にデリケートな問題です。 「どうすればいいか分からない」「他の相続人が非協力的で困っている」と感じたら、一人で悩まず、まずは弁護士にご相談ください。

私たち弁護士は、あなたの状況に合わせて、一つひとつ丁寧にサポートします。 大切な故人が残してくれた財産を、安心して引き継げるよう、全力でお手伝いさせていただきます。

初回相談を無料としている法律事務所も多いので、まずは一度、専門家にご自身の状況をお話ししてみてはいかがでしょうか。


まとめ

  • 貸金庫の開扉には、相続人全員の同意が原則として必要。
  • 銀行への開扉手続きには、戸籍謄本や印鑑登録証明書などの書類が必要。
  • 開扉の際には、立会記録を詳細に残すことで、後々のトラブルを防ぐ。
  • 弁護士に依頼することで、非協力的な相続人への対応や、「使い込み」の調査遺言書をめぐる争いの解決が可能になる。
  • 貸金庫の中身も含めて、遺産分割協議書に正確に記載することが重要。
  • 複雑な問題に直面したら、早めに専門家へ相談することが、円満な解決への近道。

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