弁護士が教える!お墓の相続、どうしたらいい?
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家族が亡くなった後、お墓はどうなるの?
家族が亡くなった後、悲しみに暮れる間もなく、葬儀や相続の手続きに追われることになります。その中でも、多くの方が「お墓をどうするか」という問題に直面します。
「誰がお墓を継ぐの?」 「遠方に住んでいて、お墓を守っていくのが難しい…」 「お墓の費用は誰が払うの?」
お墓は、故人の魂が安らかに眠る場所であり、家族の絆を象徴する大切なものです。しかし、法律的な手続きや費用負担の面では、思わぬトラブルに発展する可能性も秘めています。
この記事では、お墓の相続について、法律的な側面から分かりやすく解説し、皆さんが安心して手続きを進められるよう、具体的なアドバイスを提供します。
法律上のお墓の「持ち主」は誰?
実は、お墓や仏壇、位牌といった祭祀に関する財産は、民法上、一般的な「相続財産」とは異なる扱いになります。
- 相続財産:預貯金や不動産など、遺産分割の対象となる財産。
- 祭祀財産:祭祀(祖先の霊を祀ること)のために使われる財産(墓地、墓石、仏壇、仏具、位牌など)。
法律上、祭祀財産は、遺産分割協議の対象にはなりません。その代わり、**「祭祀承継者(さいししょうけいしゃ)」**と呼ばれる特定の人が引き継ぐことになります。
祭祀承継者はどうやって決めるの?
祭祀承継者は、以下の3つの方法で決まります。
- 被相続人(故人)が指定する:故人が生前に、遺言書や口頭で誰に祭祀を継いでほしいか指定していた場合、その人が承継者になります。
- 慣習に従って決める:故人の指定がない場合は、地域の慣習や親族間の慣習に従って決めます。
- 家庭裁判所が決める:上記2つの方法でも決まらない場合、相続人や利害関係者が家庭裁判所に申し立てて、承継者を決めてもらうことになります。
「長男だから」という理由だけで当然に祭祀承継者になるわけではありません。故人の意思や、現実にお墓を守っていくことができるかどうかが重要になります。
お墓の相続でよくあるトラブル
お墓の承継は、お金の問題だけでなく、故人への想いや家族の人間関係が深く絡み合うため、トラブルに発展しやすい傾向があります。
1. 「お墓は長男が継ぐべき」という思い込み
昔からの慣習で、「お墓は長男が継ぐもの」と考える方は少なくありません。しかし、長男が遠方に住んでいたり、仕事の都合でお墓参りや管理が難しかったりする場合、承継者としての役割を果たすのが困難になります。
このような場合、「長男が継げないなら、誰がやるんだ」と他の兄弟姉妹に負担を押し付けたり、逆に「お墓は面倒だからいらない」という意見が出たりして、感情的な対立が深まることがあります。
2. 管理費用や永代使用料をめぐる争い
お墓を維持していくには、管理費用や永代使用料がかかります。 「お墓を継ぐのは長男だけど、費用はみんなで公平に分担すべきだ」 「祭祀承継者になったのだから、費用もすべて一人で負担すべきだ」
このように、費用負担をめぐって意見が対立することがあります。法律上、お墓の管理費用は祭祀承継者が負担することになりますが、実際には話し合いで決めるケースがほとんどです。
3. お墓を「いらない」と言われたらどうする?
「お墓が遠方にあって、管理が大変だから墓じまいをしたい」 「そもそもお墓は必要ない、自分は散骨を望む」
このような意見を持つ相続人がいる場合、話はさらに複雑になります。お墓の承継者が決まっても、墓じまいや改葬(お墓を移すこと)には、墓地の管理者の承諾や行政手続きが必要になります。
一部の相続人だけが勝手に手続きを進めてしまい、後から他の相続人とのトラブルに発展するケースも少なくありません。
弁護士がお墓の相続をサポートできること
お墓の相続は、単なる法律問題ではなく、家族間のデリケートな問題です。弁護士に依頼することで、感情的な対立を避け、冷静に解決へと導くことができます。
1. 祭祀承継者の選任をサポート
故人が祭祀承継者を指定していなかった場合や、相続人同士で意見が対立している場合、弁護士が間に入って話し合いを仲介します。 もし話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所への**「祭祀承継者指定の調停・審判」**の申し立てを代理し、法的な手続きを進めます。
2. 墓じまいや改葬の手続きをサポート
お墓の場所が遠い、管理が大変といった理由で「墓じまい」を検討する方も増えています。 墓じまいには、墓地の管理者との交渉や、行政手続き(改葬許可申請など)が必要です。弁護士は、これらの手続きをスムーズに進めるためのサポートを行います。 また、他の相続人との合意形成を図るための交渉も代行し、後々のトラブルを防ぎます。
3. 費用負担に関する交渉をサポート
「お墓の管理費用を誰がどれくらい負担するか」という問題は、当事者同士だけでは解決が難しいものです。 弁護士は、過去の判例や一般的な慣習をふまえ、公平な費用負担の方法を提案します。感情的な議論になりがちな金銭問題を、冷静な話し合いへと導きます。
4. 遺産分割協議とセットで進める
お墓の問題と、預貯金や不動産といった遺産分割は、一見関係ないように思えますが、実は密接に関連しています。 「お墓の管理費用を負担する代わりに、遺産を多めに受け取る」といった、柔軟な解決策を提案することも可能です。 弁護士は、遺産分割協議全体を俯瞰し、お墓の問題も含めた包括的な解決を目指します。
墓じまいと改葬、知っておきたいこと
近年、お墓の承継問題から、**「墓じまい」**を検討する方が増えています。 墓じまいとは、現在あるお墓を撤去し、遺骨を取り出して、墓地を管理者に返還することです。
墓じまいをする場合、取り出した遺骨を別の場所に移す**「改葬」**が必要になります。
改葬の方法は?
- 新しいお墓を建てる:別の霊園にお墓を新設する。
- 納骨堂に納める:寺院や霊園が管理する納骨堂に遺骨を預ける。
- 樹木葬や散骨を選ぶ:自然に還す方法を選ぶ。
どの方法を選ぶにしても、家族や親族の理解を得ることが非常に重要です。トラブルを避けるためにも、弁護士にご相談いただき、適切な手続きを踏むことを強くお勧めします。
専門家への相談が、円満な解決への第一歩
お墓の相続は、法律的な知識だけでなく、家族の想いを尊重する気持ちが不可欠です。 「お墓をどうするか、誰に相談したらいいか分からない」 「家族で話し合っているけど、どうしても意見がまとまらない」
もし、このような状況に直面したら、一人で悩まずに弁護士にご相談ください。 私たち弁護士は、あなたの心の負担を軽減し、ご家族皆さまが納得できる形で、大切な故人の想いを未来につないでいくお手伝いをします。
お墓の相続は、ご家族の絆を見つめ直す大切な機会でもあります。 円満な解決に向けて、ぜひ私たちにご相談ください

私たちは、大阪市北区(梅田)を拠点に、ご家族にとって大切な「相続」の問題を専門的に取り扱う法律事務所です。
大阪府全域、兵庫県、京都府、奈良県、和歌山県、滋賀県の皆様からご相談を承っております。
「何から始めればいいかわからない」「家族と揉めずに解決したい」といったご不安に、親身に寄り添い最適な解決策をご提案します。
初回の法律相談は無料ですので、安心してご利用いただけます。平日お忙しい方のために、事前予約制で夜間・休日相談も可能です。
相続に関するお困りごとは、ぜひ一度私たちにご相談ください。
