借金が多い相続でも諦めない!限定承認と相続財産管理人の活用法
相続財産に借金が含まれている場合、「相続放棄」という選択肢をまず考える方がほとんどです。しかし、相続人が一人でも相続放棄を拒否したり、連絡が取れなかったりすると、相続放棄はできません。
また、「借金は多いけれど、被相続人の自宅だけは手放したくない」というご希望もあるかもしれません。
今回は、このような複雑な状況を解決するための**「限定承認」と「相続財産管理人」**の活用法について、相続の専門家が解説します。
限定承認:借金の負担を負わずに遺産を引き継ぐ
限定承認は、相続財産に借金がある場合でも、プラスの財産の範囲内でマイナスの財産(借金)を引き継ぐことができる制度です。
- 相続人全員で手続き: 限定承認は、相続人全員が共同で家庭裁判所に申し立てる必要があります。
- 財産から借金を精算: 遺産の範囲内で借金を清算するため、万が一借金がプラスの財産を上回っても、相続人自身の財産で返済する必要はありません。
- 残った財産は相続できる: 借金を精算した後、プラスの財産が残った場合は、それを相続することができます。
この限定承認は、特に被相続人が個人事業を営んでいたケースや、借金がいくらあるか不明な場合に有効な解決策となります。
相続財産管理人:行方不明の相続人や複雑な事案を解決
相続財産管理人とは、家庭裁判所によって選任され、相続財産を管理・清算する役割を担う専門家です。通常、弁護士が選任されます。
以下のような、当事者だけでは解決が困難なケースで、相続財産管理人が活躍します。
- 行方不明の相続人がいる: 遺産分割協議には相続人全員の合意が必要ですが、連絡が取れない人がいる場合、手続きは進みません。このような場合に相続財産管理人を選任し、遺産分割を進めることができます。
- 相続人全員が相続放棄した: 借金が多いため、相続人全員が相続放棄した場合、被相続人の財産は宙に浮いた状態になります。この時、相続財産管理人を選任することで、借金の清算手続きを行い、債権者とのトラブルを避けることができます。
- 自宅だけは手放したくない: 借金が多いものの、被相続人の自宅だけは残したいという場合、相続人全員が相続放棄をした上で、相続財産管理人に不動産を買い取る旨を申し立てることで、借金の負担を負うことなく自宅を確保できる可能性があります。
限定承認の手続きの注意点
限定承認は、非常に複雑な手続きです。特に、以下の点に注意が必要です。
- 3ヶ月の期限: 相続開始を知ってから3ヶ月以内に家庭裁判所に申し立てる必要があります。
- 官報公告: 裁判所に認められた後、官報に公告を行い、債権者に対して債権を申し出るよう促さなければなりません。
- 相続税・所得税: 限定承認で不動産を売却する場合、譲渡所得税が課税される可能性があり、専門家である税理士に相談しておくことが重要です。
複雑な相続は、専門家への相談が必須
相続は、法的な知識がないと対応が難しい問題です。特に、借金が絡む相続、事業承継、行方不明の相続人がいる場合など、複雑なケースでは、当事者だけで解決しようとすると、かえって事態が悪化し、大きな不利益を被る可能性があります。
当事務所では、お客様の状況を丁寧にヒアリングし、最も適切な解決策を提案します。限定承認の手続き代行から、相続財産管理人の選任申立て、債権者との交渉まで、一貫してサポートいたします。
お一人で悩まず、まずは私たちにご相談ください。